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鬼神剣客伝【改訂版】  作者: 春好 優
第2章隠れ里
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22話蛇の王

本当はこれで終わらせる気だったのに長引いてます。アハハ、このままどこまでかけるのか楽しみだなぁ

目の前に現れたバジリスクにその場の全員が固まる。バジリスクの額からは血が出ていて先程の八重香の結界に阻まれた奴だとすぐに理解出来た。

 バジリスクは八重香の結界を警戒してなのかこちらを襲って来ることは今のところはなく様子を伺っていた。


「まさかこのような場所まで追いかけて来るなんて…」


 突然の事でテレスは驚いている。近くにいるリオもバジリスクの先程よりも濃密な殺気、食べるという気がしている様子にたじろいでいた。

 

「バジリスクは1度狙った獲物はずっと追いかけ続ける。出逢ったら見つからないようにするか、倒すかの2択だけだ」


「…ということはここでやるしかないということですか?」


「そうなるな。里に連れていく訳にも行かないしな。だが勝てるかどうか…」


「さっきまでの威勢はどうしたんですか?逃げられないならやるしかないですよ?」


「そっちこそさっきまでの強気な口調はどうした?そんな覇気もない言葉出してるなら後ろで膝でも抱えて震えてろ」


 2人は罵りあいながらもお互いに武器を構える。クリスは剣を、ルクスは弓を構える。


「テレス様、お下がりください」


「で、ですが………分かりました。貴方に任せます」


 何かを言いかけたテレスはクリスの自信ある目を見てその言葉をそのまま仕舞った。


「私も出る」


「やめといたほうが良い。お前何があったか知らないが理力が弱まってるだろ?逆に邪魔になる」


 やる気を出していたリオだがはっきりと告げられたことでその気を落とす。理力とは魔力とは違うのでよく分からないがリオは力が弱くなっているようだ。奴隷にされかけていた時に何かあったのかもしれない。例えば力を奪う何かをされたとか。

 言われたことが図星であったようでリオは顔を伏せた。


「…分かった。貴方も気をつけてね」


「おう。お前に言われなくても大丈夫だ」


「かっこつけて油断しないでね」


「一言余計だ!そんなことするわけないだろ!」


「どうだか」


 仲が悪いのか良いのか分からない。でも2人は何処か楽しそうにしている。

 テレスとリオの2人はすぐに後ろに下がり邪魔にならない所まで避難する。八重香も今回は大人しくして見守っているようで何も言わずに抱かられていた。

 だが、そんな暇もなくテレス達が避難している所で、何もないことを確認したバジリスクが武器を構える2人に襲いかかる。普通の蛇よりも大きいくせにそのスピードは相当なものだった。


「チッ速い!避けるぞ!」


「言われなくても!こっちだ、バジリスク!」


 2人はそのまま飛び退くそれに合して蛇はクリスを追うようにして曲がる。注目をテレス達ではなく、クリス自身に合わせることに成功したようだ。思惑が上手く行ったおかげでテレス達は避難が出来て、ルクスは弓を扱うためにバジリスクと距離をとるために木に一足で登る。

 クリスが足を地につけると同時にバジリスクが大きな口を開けて彼女に迫る。口の中には無数の歯がぎっしりと詰まっており、噛まれればどうなるかの未来は容易に予想出来た。しかもバジリスには毒がある。かすり傷でも追えば死ぬだろう。

 クリスは向かって来るバジリスクを見て冷や汗を流す。思っていたよりもバジリスクが速く、地を蹴り避けるまでの時間が無かった。

 バジリスクの牙がクリスに迫る。

 

 ヒュン

 

 風を切るような音が鳴る。それと同時にグサッという肉を刺すような音が聞こえ、クリスに血がかかる。


「ギィヤアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


 バジリスクはクリスにもうすぐでその歯によって串刺しになっていただろうに、噛み付くのもやめて体を大きく動かし、のたうち回る。

 ほろりと涙のような血がバジリスクの顔を流れる。元を辿れば目に行き着くがその目には矢がひとつ刺さっていた。


「何油断してんだ!死ぬ気か!」


 いつの間にかクリスの後ろに来ていたルクスが怒鳴る。彼は弓を構え、またいつでも矢を打てるように準備をしていた。


「分かってます!」


「なら次はしっかりやれよ!」


 強めに言うクリスだが実際は自分の油断をわかっていた。相手に見せるために大袈裟に動いたは言いものの自分が避けるまでのことを考えられずにいたもの事実。主を守っても自分が簡単にやられれば元も子もない。だからこそクリスはより一層の緊張をして気を引き締めた。


「キシャァァァ!」


 まだのたうち回るバジリスクは相当痛かったのだろう。のたうち回るうちに折れた矢の真ん中から羽根が血をつけながら転がり、合間に見える矢の刺さる目はこぼれた血よりも多く体を流れ痛々しかった。だが同情するようなことは一切なく、2人は何も言うことなくチャンスだと感じて動き出す。

 まず、クリスが剣を構えてバジリスクに向かう。


「王国流剣術・輪翔」


 クリスの剣は回転するかのように動いて、地面や空中を行き来して動くバジリスクの頭を正確に打ち上げるようにして切り上げる。剣は見事にバジリスクの頭に当たって空に上げられる。巨体を軽々と打ち上げる腕力は相当なものだ。日頃から鍛えている以外にもう既に無意識に魔力を纏って戦っているから凄いものだ。

 魔力を纏い、強化するというものは難しい。初心者などは体を動かすと同時に魔力を体に通すことを意識しなければならない。意識してやることを同時に2つ以上考えてやるのは案外出来ないものだ。特に体を動かしている時は。息を吸いながら水や飯を同時に取れと言っているようなもの。

 そんなことを無意識に出来るからこそ簡単に出来ている。無意識の領域と言うやつだ。無意識にやれば同時にやることが難しいものでもできるようになる。相当な訓練が必要ではあるが、それを簡単にするからこその王国の天才騎士と言われるのである。

 そうして持ち上げられたバジリスクの体は天に向かい無防備な状況となる。そしてそれと同時にまた、矢が射られる。


「風理・風貫」


 理力によって生み出された風を纏った矢はその破壊力、殺傷能力を増してバジリスクの頭に迫る。風の暴意を宿した矢はそのままバジリスクの頭に当たり、強風が辺りを過ぎ去り、砂埃が舞う。


「やったのか?」


 何かがたったような音がした。しかし気のせいだろう。

 砂埃が少しずつ晴れていく。そこに警戒しながら2人は近づく。先程のような叫び声は聞こえない。

 突然砂埃が揺れ、吹き飛ぶ。一瞬の間にクリス達に襲いかかる砂によって視界が奪われたがすぐに視界ははっきりと晴れる。

 視界が晴れた先にはとぐろを巻くバジリスクがいた。バジリスクはとぐろの上の先からこちらを片目で見下ろしていた。


「流石にダメか」


「そうみたいですね。流石は蛇の王ということですか」

 

「お前、俺のときと違うくないか?」

 

「そんなことはないですよ。普通です。それよりも速く木に登ったらどうですか?死にたくなければね」


「分かってる!チッ……やっぱり違う」


 バジリスクを警戒しながらも2人は軽口を言う。クリスの言葉に言い返しながらすぐに後ろを向いて行く。これだけで蛇ならすぐに襲って来そうだがバジリスクはクリスを見ていた。そのためにルクスのことは完全に無視だった。理由は単純にクリスから自身の血の匂いがしたためであり、舌を出してシューと言って警戒している。

 クリスは目を合わせないように目の潰れた方の顔を見る。血が出ている目以外には特に傷はなく、頭の鱗にかすり傷のような痕があるだけだった。


「何も効いていないとは…少しは聞いていると思っていましたが。ですが、諦める訳には行かないですね」


クリスは剣を構えそのままバジリスクの体を に剣を振るう。そのスピードと魔力なら傷ぐらいはつけれそうなものなのだがガキンと火花が散るとその蛇の鱗にふせがれてしまった。 


「シャアアア!!」


「クッ!」


 バジリスクは隙を突くようにして、上からクリスに向かって噛み付こうとする。それをクリスは剣で受け流し耐える。そのまま切り替えそうとするがすぐに元の状態へと戻ってしい避けられる。

 また元のとぐろの上へと戻ったバジリスクはまたクリスを見下ろす。おそらくは隙を狙っているのだろう。クリスの方から目線は離れない。だがまともに顔も見れない状況での、この攻撃はクリスからしたら苦しいものになる。

 そんなことをクリスが考えながら警戒していると真横から弓が飛んでくる。それは残されたバジリスクの片目を狙って飛ん出来た。だが、その矢はバジリスクがとぐろの中へ頭を入れたことで回避された。


「チッやっぱり2度目はダメか!」


 生い茂る木々の葉の中からルクスが言う。

 バジリスクは頭をとぐろから出すと矢が飛んできた方向を向いて口から毒々しい液体を吐いた。それは明らかに毒液だった。


「危ない!」


「うわっ!嘘だろ!」


 バジリスクの毒液は木々にかかると一瞬で全てを溶かし、そのまま地面に落ちる。毒液が落ちた地面は色が黒く変わり、ジュワァと音と蒸気を噴出していた。

 間一髪でどうにか木々から飛び出し、逃げたルクスは冷や汗をかきながら息を吐く。


「危なかったぁ。少しでも遅れてたら死んでたぞ。これは…」

 

 自分がいたところの悲惨さを見て思わず言葉が漏れたようで恐怖を宿すかのように瞳は揺れていた。そこでまた襲って来ようとしたバジリスクに2人は飛び退き離れ、一瞬で隠れる。蛇に対してバジリスクダメかもしれないがどうにかなると信じたい。クリスはバジリスクを見ながら考える。


(毒液を吐けるなら何故今まで使わなかったんでしょうか?私達を普通に舐めているのか、それとも別に理由が…)


「クリス?大丈夫ですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。何も問題などありません」

 

自身の真横から聞こえてきた声に普通に返した。


(あれ?今私は誰に返事をしたんですか?)


 疑問を感じたクリスは振り向く。するとそこには美しい金色の髪を持つ自身の主、テレスティナがいた。


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