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鬼神剣客伝【改訂版】  作者: 春好 優
第1章亡国の王女たち
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第16話油断

朝になると紫苑は眠そうに目を細めながら体を起こす。昨日、目を閉じたもののそこまでは寝付けずに中途半端に睡眠をとってしまったために疲れが取れることなく逆に疲れが溜まってしまった。

後に部屋にメイドが来て紫苑を朝食に呼んだのだが断ってテレス達だけで取るように言った。それを了解したメイドは直ぐに部屋を離れて行く。離れていくメイドを見送った紫苑は八重香を起こして2人して保存されていた握り飯を食べていた。特別なもので包んで居たので保存状態はしっかりしていて美味しく食べることができた。


「行かんくても良かったん?主様」


「…先程来た給仕のものが俺の顔を見て驚いておってな、そんな顔を見せる訳にも行かんだろ?」


そう言うと八重香は紫苑の顔を覗き込み彼の顔を拝見した。


「あーなるほど。……ほんまやわ。えらそうな顔してはるね」


紫苑の顔はいつものようにシュッとした目がタレ目になるくらいには疲れた表情をしていた。


「半端に寝たせいだろうな。いつもなら数日は起きてられる」


紫苑は溜息をつきながら指を目にやるとほぐしだした。意味はあるのかすら分からないのだが疲れている時は無意識にやってしまう。


「これからどうしはるの?」


「着るものはどうにかなったことだから食料と武器だ」


安全を顧みずここに来たのはテレス達の装備を整えることを優先したからだ。何故ならあの様なボロボロのドレスや鎧でアルゴス大森林を越えようとするのは、紫苑だけならまだしも3人も居てあのままの状態で行っていたらどうなっていたことかと考えてしまう。おそらく通常の倍以上はかかっただろう。だからこそ敵兵が居るこの街へと入ったのだから。元々迂回しながらだと3ヶ月はかかってしまうため既に敵に包囲網を張られているであろう迂回ルートをやめて急いだら1ヶ月で越えられるアルゴスの大森林を越えようと考えたためでもある。つまりは遠回りが一番の近道と言うやつだ。


「あの子達にも戦わせるんですか?」


八重香は心配そうに紫苑の顔を覗き込んでいた。それもそのはずで戦ったことの無い2人の少女を戦わせようとは無謀も良いとこだと思うのは普通な事だ。


「万が一があってもいいようにな。あの森は普通のものには危険だ。それにあの子達を鍛えねばならん」


そう言った紫苑の顔は何かを考ええ悩んでいるようだった。









「世話になったな。かたじけない」


紫苑は屋敷の門に居る人達に向かってそう言うと頭を下げた。他にルーナやクリスも使用人達にお礼を言っている姿があった。この短期間でどうやって仲良くなったかは分からないが使用人達と親しげに話していた。するとその中の中心の人物であるリアムが微笑みながら口を開いた。


「そんなことはありませんよ。本当ならもっとお礼をしたい程です」


リアムは謙遜したように言う。正直な話最初の方は疑いながらついて行ったものの彼と話すうちに大丈夫だと感じられたために彼を信じて紫苑はついて行った。幸いにも彼は紫苑たちをもてなしてくれた。

謙遜した様子のリアムにテレスは1歩前に出て口を開いた。


「そんなことはないです!リアム様のおかげで休められましたから」


「あはは、そう言って貰えて嬉しいですよ」


リアムはテレスの強い言葉に少し目を開きながらも嬉しそうに言う。多分テレスの感謝が伝わったということだろう。するとリアムテレスから視線を外すと紫苑に近づきちょっとと言って手で合図をして耳を近づけさせた。紫苑はどうしたのかと思い持ってリアムの指示通りにした。


「紫苑さんあの子、リオを頼みましたよ?」


「ああ、任せておけ」


「ありがとうございます。紫苑さん、あなたがそう言うと大丈夫だと安心して仕方がない。全く不思議ですね。」


不思議な人だと言うリアムは返事を聞いて安心したようなそれでもって困ったように笑みを浮かべて言う。

そんな大人の2人を横にして小さな2人が話していた。


「リオ、気をつけてね。元気でやってね」


「うん。あなたも元気で、アルス」


「…あはは、なんか君が居なくなると思うと寂しいよ」


「…ありがとう。私も寂しい。…また来てもいい?」


アルスの言葉に顔を赤くさせながらリオは恥ずかしそうに顔を伏せながら言う。何か甘い雰囲気が流れる中で大人陣である紫苑たちやメイドたちもまたその光景を見て微笑ましく眺めていた。


「うん!また、いつでも来なよ!待ってるから」


「!うん。絶対来るから待ってて、約束」


「うん。約束だよ!」


2人は笑顔を浮かべて小指を交わして約束と言って2人でまた笑う。2人はまるで恋人が誓いを建てるようにお互いを意識し合うようにお互いの目を合わせている。いや、実際に2人は気づいているのかいないのか好意、恋心を抱いているはずだ。2人の命の蝋燭の長さは明らかに違うのだ。それでも恋心に気づかない2人は種を越えて思いあっていた。

そんな2人を周りの人間はその過酷さを理解しながらも微笑ましく彼らの運命が絡み合うように願ってしまうのは仕方の無いことだ。差別など一切ない。あるのはただの純粋な気持ちだ。まあ、まだ子供ではあるのだがな。これが恋心から恋へと行くかわ2人次第であるのだが。


「アルス、お前もやるようになったな」


「? なんのこと言ってるの?」


「ふふ、まだ分からなくてもいいんだよ。それよりもリオさんまた、いつでもアルスに逢いに来てやってくれ。私は、私達はいつでも歓迎するよ」


リアムの言葉に小さく頷くリオ。横ではアルスがキョトンとしていた。まだ子供なのだから致し方ない。恋が実るのはまだ先になりそうだ。


「さて、すみません。先を急いで居られるのに長居させてしまって」


「いいえ。気にする必要はないのですよ。この度はありがとうございました。この御恩は忘れません」


「いえいえ、私の方こそ息子が世話になりました。またいつの日か会えることを祈ります」


紫苑はリアムと目を見た後に振り返りテレス達の方を向いた。


「では行こうか」


「はい」「はーい」「了解だ」


それぞれが返事をすると紫苑は歩き出した。それに続いてテレス達も歩き出す。

リアムの屋敷のもの達に最後まで手を振りながら紫苑たちは街の中へと再び入っていった。












紫苑は屋敷を離れた後いつの間にか出て来た八重香を肩に乗せながら武器屋に向かった。リアム達は服や食料を提供してくれたのだが武器は人それぞれにあったものを直接見ないことには合う武器が分からない。


「ルーナ様は弓術と短剣術に才能がありますがどう致しますか?」


「んー僕的にはシオンさんやクリスの助けになるように弓の方がいいかな」


現在紫苑たちは武器屋にて武器の選択中。ルーナとテレスは合う武器を見繕っている。クリスは剣の新調だ。クリスの武器は量産型の安物のようでどうやら城への奇襲の時に急いでいたためにそれしか持ち合わせられなかったようだ。そのために今は新たな武器を探している。その中でもルーナは弓と短剣の扱いが上手かったためにどちらかの武器を選ぼうとしている。


「どちらも選べば良かろう。特に金に困ってはおらんぞ」


「いいの?」


「いいとも」


紫苑の許可にやったーと喜ぶルーナは年相応だ。それに対してテレスはと言うと…


「はぁー、どうして私には才能と言うものが無いんでしょうか」


大きなため息を吐きながらテレスは落ち込みを見せていた。彼女の言う通りで実際テレスはこの店にある全ての武器を見事に扱えずルーナは爆笑して他は苦笑いしていた。


「ガーハッハッハッ!あそこまで才能のないもんは今までで初めてだぞ。剣も棍棒も槍も何も出来んかったのは驚きだぞ」


その言葉はダイレクトにテレスの心にダメージを与えてしまった。


「ひっぐ、ひっぐ、どうせ私なんて 何も出来ない出来損ないですよ」


店主の言葉に落ち込むテレスにさすがに不味いと思ったのか店主は慌て始めた。それに周りの者からの圧もあり冷や汗をかいている。それにクリスに関しては番犬のように殺意を店主にぶつけていた。


「お主なに俺の連れを泣かしとるのだ?」


「す、すまん俺が悪かったからな?人には得意不得意あるもんじゃねぇか。ここまで武器に関して才能が無いんならもしかしたら魔法にものすごく才能があるんじゃないか?ほら」


そう言って店主は宝石で出来たアクセサリーを持ってきた。どれも美しく武器屋をやる意味が無いのではと思ってしまうぐらいに綺麗であった。だが別のことに対して反応し者が2人居た。


「「あっ」」


店主は地雷を踏んでしまったのだ。知らないし、しょうがないのかもしれないが今のテレスには1番言っては行けない言葉だった。魔なしの厄姫、彼女に対して使われていた侮辱、それは彼女の傷心の心をさらにえぐる発言でありテレスはまた気が沈み出して今度は落ち込むだけじゃなくて本当に涙を流し始めた。


「うわぁーん!どうせ私なんて私なんてぇぇぇ!?」


「えっ?えっ?なに?どうしたんだよ嬢ちゃん!」


「貴様ァなぜ我が主を泣かしているぅ!」


「なんであんたが怒ってんだよ!意味がわかんねぇぞ」


「あららやっちゃったねおじさん」


まさにカオス酷い状況を1人は泣き1人は狼狽え1人は笑っていた。それを2人と1匹は目が点になって固まっていた。


「なんでこうなったの?」


「俺に聞くな」


「キュー」


いや、1匹は何事もないかのように紫苑の肩に乗っていた。そんなおり紫苑は店主が持ってきたアクセサリーに目を向けた。なぜ向けたのかは分からなかっが自然と現実逃避の意味を兼ねてなのか向いてしまった。先程と同じ感想だがアクセサリーは様々ありそれ1個を売るだけで当分は暮らしていけるだけの金を稼げると思うくらいに見事な装飾だった。店の商品は普通なのに。


「うるせぇ!」


「貴様何よそ見をしている!そこになおれ!」


店主が何かを言っていたようだが無視だ。

紫苑はその中のひとつに目が止まってしまった。


(ん?あれはもしや)


アクセサリーに近づいていった。紫苑がアクセサリーの前に止まるとその中の一つの白い宝石の付いた指輪を手に取った。そして何かを確信した紫苑は店主の方を向いた。店主は相変わらずクリスに説教をされていて正座をしていた。ひとつ違うとすればテレスが泣きやみクリスを止めようとしていることだろう。しかしそれを気にせず紫苑は話しかけた。


「店主ひとつ聞くがこれを売ってくれんか?」


「紫苑殿、今は少し待ってくれ、この者に礼儀と「少し静かにしてれ」…はい」


クリスは少ししゅんとなってテレスの方に戻って行った。それをテレスはよしよしと慰めている。さっきと状況が変わってしまった。しかもクリスは犬のようだ。、言うなら番犬か。

そんなおり店主は先程と違い真剣な表情をしている。


「…なんでそれを選ぶんだ?」


「これは見たところ特別な鉱石を使っているな?しかもここまで綺麗に細工出来るものはそうそうおらぬぞ」


「へぇーあんた見る目あるんだな。そうだ、それは精霊石を使った唯一の装飾品だ」


「やはりか」


「本当だ、本物の精霊石がある」


予想通りといった様子の紫苑と驚いているリオに対してほかの3人は頭に疑問符を浮かべている。それもそのはず精霊石とはその名の通り精霊自信が作り出す特別な石で滅多にお目にかかれるものでは無い。それこそこれだけに何十億という単位が着くぐらいには。

精霊石は綺麗な宝石と言うだけでなく、魔力の増幅装置にもなる。しかも効果は絶大だ。


「それの価値を見抜いたあんちゃんに売ってやりたいがこっちも商売だ。金はあんのかい?その子らに買ってやる金も含めてな」


店主は紫苑の服装を見ながら怪しんで言った。異国の者にこの国の金があるのかは疑問に思うのは普通だ。しかも古さを感じる服でもあったからだ。


「確かにこれを買えるほどの金は無いがこれならどうだ?武器も含め、全て買えると思うが」


「あん?こんな石炭みたい…な物を?おいおいおい!まさかこれはもしかして黒帝石か!」


親父が途中見る目を変えて興奮した様子で紫苑に詰め寄る。しかしその場で置いてけぼりの3人はポカーンとしていた。


「黒帝石って?クリスはわかる?」


「いいえ、初めて聞きました」


「おいおい!あんたそれでも剣を扱ってるやつかよ!」


店主の勢いがおもちゃを貰った子供のように凄すぎて2人は若干引いていた。テレスも何がなんだか分からないようで1人でことの成り行きを見ていた。すると紫苑に落ち着けられた店主が話し始めた。


「黒帝石、別名ブラックエンペラー、夜の宝石とも言われている。その名の通り鉱石の帝王だ」


「鉱石の帝王ですか?」


「ああ、これだけで国ひとつを買えるぐらいの価値はある」


「そんなにするの?!」


ルーナが思わず言うがそれもそのはずこんな石の塊で国が帰ると言われると驚きもする。


「そうだ。しかもこいつは傷がつかないし魔力伝導率がえげつないくらい高いんだ。剣にするも良し魔法補助装置としてもいい優れものだ」


「そんなに凄いものなんですか。あれ?でも傷つかないんでしたらどうやって加工するんですか?」


クリスの疑問も当然だった。基本金属を扱うにしても溶かして打って研ぐ工程が必要だがまず溶かすはまだしも研ぐことは不可能では無いだろうかという疑問だ。


「詳しくは言えねぇが簡単だ。錬金術だ」


「なるほど」


「で?どうする。交換するのかしないのか決めろ」


「くっあんたこんな店でこんなもの使うとか馬鹿じゃねぇのか?詐欺じゃねぇだろうな?」


「買わないのか?ならこれまでだな」


「まっ待て、あんちゃんには負けたよ!詐欺られても自己責任だ。それとこれらを交換させてくれ!」


「契約成立だ」








武器屋で武器を貰った後に店主は涙目を浮かべながら喜びに浸っていた。本物だと確認できた瞬間の叫び具合は凄かった。

紫苑たちは店主に挨拶をすると店を出た。


「ありがとう。紫苑さん大事にするね」「ありがとうございます。これで心置き無く戦えます」


クリスは新しい剣を手に入れてあまり分からないが口角を上げて居るので喜んでいるしルーナもしっかりと装備して喜んでいる。そんな中で紫苑は服が新しくなった服を来ているテレスに近づいた。


「テレス、良いか?」


「はい、大丈夫ですよ」


「これは今日からお主の武器だ。今はまだつけては行けないが力を制御した暁につけてくれ」


そう言ってシオンは指輪をテレスに差し出した。テレスは紫苑の手にある指輪を取り指輪を見つめた。すると小さな口を開けた。傍から見れば結婚の申し込みだろう。


「これが私の武器」


「そうだ」


「ふふ、ありがとうございます。シオン様」


テレスは頬を赤く染めながら嬉しそうに笑った。指輪を点に掲げて光に照らし観察をしていた。


「無くすでないぞ」


「はい!」


「良かったねテレス」


「それにしても綺麗な精霊石ですね」


三者三様の様子で精霊石の指輪についての感想を言っていた。よっぽど先程の説明が聞いたのか興味津々だ。

その中でクリスが指輪に行かずに紫苑の方へ近づいてきた。


「ありがとう紫苑。貴方のおかげでしっかりと主を守れる」


「それはいいのだがお主怒ると口調が極端に変わるな?戦いの時だけと思うておったら先程の店でもなっておっだろう?」


「……怒るとつい興奮してしまって口調が荒ぶるんですよ。元々家元では男ばっかりの騎士の家の出でしたから。父の口調が移ってしまって。騎士団に入ってからは口調も直したんですがね。まだ怒るとつい素がね」


「なるほどな。度々口調が変わるのはそういう事か」

.

たわいのない話をしているとガシャガシャと何か重いものを来て歩いてるような足音が聞こえてきた。この街の衛兵かと思いきや見覚えのある鎧を来た男たちが近づいきた。その鎧には紋章が刻まれており直ぐに帝国兵であると理解出来た。

紫苑はクリスに目配りをすると全員にフードを被らせた。フードは旅装束に着いていたものでリアムが気を使ってくれたのだと思う。

帝国兵が近づくと紫苑たちはそれを見ないように俯くなり後ろをむくなりしてやり過ごそうとした。

帝国兵の集団が前を通った。帝国兵はこちらを見たが何事も起きず去っていった、


「ふぅ気づかれなかったか」


「びっくりしちゃったよ。正直紫苑さん異国の服で目立つから心配しちゃった」


「そんなに目立つか?」


「浮いてるって言えますよ」


「むっ、そこまでか?」


紫苑は心配になり自分の服装を見たが自分からしたら決しておかしいところはない。しかし周りを見ても1人だけ違うことは理解出来はした。

そんな時だった。急に気配を足元から感じた紫苑は直ぐにそこから飛びのいた。すると次の瞬間には紫苑の影から手が勢いよくでてきた。それは紫苑の影と共に移動するのだが影からから出て来た手が空ぶると直ぐに手を引っ込めていた。


「大丈夫ですか、紫苑様!」


「来るな、危険だ!」


紫苑はキツめに行って駆け寄ろうとしたテレス達を止める。紫苑の言葉に動こうとした体が一気に固まってテレス達はその場に留まった。


(狙いは俺か!)


明らかに紫苑を狙った者に紫苑自身が焦る。

紫苑は手が自身の影に着いてきたことで地面ではなく影から来たことを確信して全員に言う。


「皆、影から離れろ!」


そう言うと建物の影に入っていた4人は直ぐに紫苑の言葉を理解して影から離れようとした。しかしその時にクリスに向かって魔法と思われるものが飛んできた。それにより応戦したクリスが威力の高い魔弾により吹き飛ばされ、テレス達から離れてしまう。それが狙いだったのだろう。その瞬間テレスの後ろに影を纏った何かが現れてテレスを引きずり込もうと獲物を狙う獣のように襲いかかった。

紫苑は直ぐにテレスを助けようと駆けた。がまたもやクリスに向かった者と同じものを影がこちらに放って来たのだ。直進であったために直ぐに避けたがそれによりテレスの救出は絶望的になってしまった。


(間に合わぬ!)


「危ない!」


そう言って出たのはルーナだった。彼女は咄嗟に動くとテレスに向かって突進して突き飛ばした。突き飛ばされたテレスは尻もちを着きながら着地した。テレスはその行動によって助かったが問題はルーナであった。ルーナはそのまま避けることは叶わずに影はルーナを捉えて魚人のごとく海に引きずり込むかのように影の中へと消えていった。

唖然とした様子でその一瞬を見ていたテレスはことが終わった瞬間に金縛りが溶けたように叫んだ。


「ルーナ!」


その場にはテレスの悲痛な叫びだけが響き渡った。



よくよく考えたら高校生ぐらいの歳の娘と小学生の男の子の恋って事案なのでは……

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