閑話
「ん〜さっぱりする〜」
そんな気の抜けた声を出すルーナは気持ちよさそうな顔をしながら湯につかり体を伸ばしていた。体を伸ばすと控えめな胸が張って余計に小さく見えた。それを見てテレスは笑みを浮かべる。楽しそうにしているのを見て自分も嬉しくなったからだ。
「久しぶりのお風呂ですからね。本当に気持ちいいです」
「はい、疲れが取れる感じがします」
クリスもどうやら久しぶりにお風呂に入れたことに喜んでいる。ルーナのように動きでは表していないが表情はルーナ程までとは行かないが緩んでいた。そういうテレスも頬を赤く染め、肩まで湯に浸かり持ちよく感じていた。ゆっくりとか湯を手から肩までかけているのだからそれがわかるだろう。
「ほらリオちゃんもこっち来なよ。気持ちいよ」
不意にルーナは端で入りずらそうにしていたリオに声をかけた。リオはどうやらどうしたら良いのか分からないようで端でこちらを伺っていた。
少し警戒した様子でリオは3人を見つめると口を開いた。
「良いの?私も一緒で」
「そんなこと気にしなくていいんですよ。だからそんなとこにいたら風邪を引きますから早くお入りください」
リオはどうやら自分のことを卑下しているのかリオ自身がテレス達と入るのを遠慮していた。しかしそんなことを気にする訳もなくテレスは彼女が風邪を引くのを心配して早く入るように施した。
「ありがとう。私なんかを受け入れてくれて」
その時テレスは違和感を覚えた。しかしテレスは会ったばかりの者への物だったので気にする事はなかった。
「そんなことないよ!私なんかなんて言っちゃダメ」
リオの言葉にそういうルーナは怒るようにそして慰めるように優しく言う。それに対してリオは驚いたように目を見開く。テレスも同じ気持ちであるクリスも口を挟む。
「そうです。そのように自分を悪くいうのはよくありません」
「でも」
「でもじゃないよ」
まるで妹と接するように話す2人を見てテレスは笑顔を浮かべた。
「ありがとう。あなたたちのおかげで少し元気出た」
リオはどうやら2人のおかげで元気が出たようで先程と違い笑顔を浮かばるようになった。
「そういえばリオちゃんは何歳なの?」
「私?私は15歳」
「15歳?!失礼だけどそんな年に見えないよ」
「うん、エルフは他の種族より歳を取るのが遅いから。しょうがないよ」
「そう言えばそんなこと聞いたことがありましたね。エルフは種族ごと精霊と契約したことで種族の寿命が長くなったとか」
「よく知ってるね。その通りで私達エルフは精霊様と契約した種族。その恩恵は血を通してもたらされる」
精霊と聞いてテレスは自身の力のことを思い出していた。自身に精霊の力が宿っている理由は分からないがもしかしたらこの少女に聞いたら何か分かるのだろうか。
「精霊の力と言えばテレスの修行はどうなったの?」
考え事をしていたテレスはそのルーナの問にドキッとした。自身が考えていたことを先に言われてしまったからだ。
「テレスさんの力ですか?」
「うん、そうだよテレスはね霊気って言う力があるんだよ」
「冗談はやめて、そんな人間がせいれ…いの?」
リオはテレスをまじまじと見つめると少しずつ言葉が続かなくなって行った。何かを見たのだろうか。リオの目は見開かれて驚いているのが分かる。
「まさかそんなことが」
「どうしたの?」
「いえ!なんでもない。でもその事はあまり人には言わない方が良いよ」
「アハハ、わかってたんだけどリオなら何か分かるかなと思って、もちろん他の人には絶対に言わないよ。テレスごめんね。勝手にこんなこと言っちゃって」
苦笑いをしながらリオに説明するルーナは慌てていた。おそらくテレスのために言ったけど勝手に言ったことを悪く感じているのだろう。
「良いですよ。私のために聞いてくれたんですから」
「次は気をつけましょうね」
「うん、次は気をつけます」
そう言って少しショボントするルーナは元気なようで落ち込んでいた。昔から元気だけど失敗したあとは小さなことだろうと落ち込むくせがあったのだ。
「さてと、そろそろ上がりましょうか。これ以上はのぼせてしまいます」
「そうですね。ルーナもリオもそれでいいですか?」
「うん。大丈夫だよ」
「私も大丈夫です」
テレス達は浸かっていた湯から出入口に向かった。入口に向かうと既に服が用意されており、メイド達が全員にすぐ服を着せてくれた。それぞれ寝間着だが明日からのものと見せられた旅用の服もあった。それぞれの服の説明が成されるとそれらは全部テレス達が宿泊する部屋へと持っていかれるようだ。ちなみに早めの交流と言うことで寝る部屋はリオと皆が同じになるようだ。
テレス達はお風呂から出るとメイドに案内されてシオンが待つ食堂へと向かって行った。
リオは少しだけ言葉足らずな感じを出せたらなって思ってます。