表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼神剣客伝【改訂版】  作者: 春好 優
第1章亡国の王女たち
14/40

第12話依頼

すいません。展開考えてたら遅くなりました。そんなに文量ないのにダメダメですね

「ここが俺の家だよ!」


そう言って紫苑たちは少年が立っている前の方を向いた。するとそこには普通の家より大きな家、と言うよりは小さな屋敷と言っても良いぐらい普通の家とはかけ離れた立派な建物だった。

想像していた建物は商人の家なのである程度は大きいと思っていた紫苑たちだがその違いに目を見張ってしまっている。これは普通の商人が持てるような大きさでは無いためその財力が知れる。しかもこのような辺境にいるなら別荘だとも考えられる。少年の親は間違いなく豪商だと言えるだろう。

その場の少年以外の全員が喉に言葉をつまらしていると少年はそのまま門の前に立っていた雇われの門兵に話しかけた。するとその兵士は慌てて中に入って行ってしまった。


「どうしたのでしょうか?」


「分からぬがおそらくこの家の主を呼びに行ったのだろう」


「あの慌てようだし本当にこの家の子供みたいだね」


「この大きさは相当な商家みたいですね」


そうして4人が話していると門兵が1人の男性と一緒に戻ってきた。

男性は綺麗な格好をしていて健康的な体型で贅沢をしているような様子は見受けられない。むしろ質素な生活を心がけているような綺麗さを感じる。少年のような荒さは見えないもののその緑色の目とそれに写る優しさは同じであった。

門から出てすぐ男性の目に少年が写ると直ぐに駆け寄って行った。


「アルス!良かった無事で……こんな時になぜ家を出たんだ!どれだけ心配したことか」


そう言って男性は少年、アルスを抱きしめた。すると少年は申し訳無さそうにしながら頬を描いて謝った。


「ごめんなさい。パパ、でもあの子のために早く見つけなくちゃって思って……でも見つけられたんだよ!この兄ちゃんたちめちゃくちゃ強いんだ。きっとあの子も届けてくれるよ!」


「お前という子はその様子を見るに帝国兵に絡まれているところを助けてもらったんだろ?はぁ、仕方がないお前が無事ならそれでいい」


アルスの父はアルスの頭を撫でると地面に着いていた足を真っ直ぐにして紫苑たちに向き直った。


「息子を送り届けていただきありがとうございます。おそらくですが帝国兵と戦ったのですよね?すいません息子のために……」


「気にする事はない。あのもの等の行いが許せなかっただけだ」


「そうです。逆にあんな奴らを殴ってスッキリしました」


「あははそうですか。ささやかなお礼ですが是非我が家にお泊まり下さい。あなた達は私の息子の恩人なのですから。そうだ自己紹介を忘れてましたね。私の名前はリアムと申します。さぁお前もしなさい」


「はーい。僕の名前はアルス!兄ちゃん達よろしくな!」


父、リアムに施されてした自己紹介は元気いっぱいでひまわりのような笑顔を浮かべて見せた。


「天鬼紫苑と申す」


「テレスと申します。1晩だけですが宜しくお願い致します」


「ルーナって言います。お世話になります!」


「クリスと言います。部屋を貸していただき感謝します」


「……皆様いい名前ですね。ではどうぞ我が家へお入りください。我が家へようこそ」


リアムがそう言うとアルスは彼に抱っこされて連れていかれ、それを目にしながら紫苑たちは家の中へ案内された。










「すまぬが風呂はあるか?」


屋敷の中へ入り廊下を歩いていること数分紫苑は思い出したかのように言った。


「ええ、ありますよ。何故……これは失礼しました。気遣いが足りませんでしたね。ですが少しだけお話をしてもいいでしょうか?直ぐに済むので」


「気にしないでくれ。俺も不躾にすまぬ」


紫苑が謝るといえいえと言ってリアムはそのまま突き当たりの部屋に入りそれに続いて紫苑たちが部屋に入る。中は少しの装飾だけで清潔さがあるも豪華な感じは一切しなかった。普通ここまでの家ならもう少し装飾があってもおかしくはない。無駄な装飾が無いのは家主が質素な生活を好んでいるのかもしれない。

そうした観察をしているとリアムが椅子に座りその隣に息子であるアルスが座る。そして座ることを勧められ紫苑たちは横長な椅子に座っていく。4人もいるということで少し狭くは感じてしまうのは仕方がない。ところで八重香は紫苑の異空間袋にいる。どうしても白い狐と言うのは目立ってしまうからだ。


「さて、まずは先程も言いましたが息子を助けていただきありがとうございます」


リアムは頭を下げながら感謝を込めて礼の言葉を口に出した。横に座っていたアルスもそれに続いて頭を下げる。

そして直ぐに頭を上げると本題に入った。


「オホン、では、本題に入ろうと思います。率直に言います。あなた達お願いしたいことがあるのです」


「お願いですか?」


「ええ、ある人物を送り届けて欲しい。それだけです」


「そのようなことを言われましても私達には行く場所があるのです。送り届けると言われましても…」


テレスは申し訳なさそうにしながら言った。


「それはわかっております。しかし頼める方々はあなた達しかいないのですよ。この街にそのようなことをしてくださる人材は一切おりませんのでね」


「それは…」


「それにあなた達はこの森の中心を通る気ですよね?」


「…なぜわかった?」


テレス達がそれを聞いて動揺する中で黙っていた紫苑が冷静に聞き返した。


「ふふ、ただの感ですよ。それに送り届けて欲しい相手とは「コンコンおっと噂をすればですね。少し待って「僕が行くよ!」もらい…まったく仕方の無い子だ」


父であるリアムの声を遮って少年アルスはノック音のした扉まで向かった。それを見て立とうとしていたリアムは立つのを中断して座った。

アルスは扉に着くとドアを開けた。するとその扉の隙間から顕になる姿にその場の女性陣が驚き声をあげた。


「えっ?エルフなのですか?」


「わぁーすごい。初めて見た」


「何故エルフがこんなところに…」


そう彼女達の言うように扉の先にいたのはエルフだった。

テレスと同じ絹のように滑らかな髪、尖るようにして伸びた耳に病的ではなく雪のように白い肌、幼いながらもその美しい容姿。滅多に見ることすら出来ないエルフの特徴そのものだった。しかしここで騙されては行けない。エルフとは寿命が長い分成長が遅い。つまりは幼い容姿でも精神は成熟していることが多いのだ。

そんなエルフだが時たまに奴隷として闇市に出回ることがある。全てのエルフが綺麗な容姿をしているのも要因だがそれ以外にも魔力とは違った力を扱うため、色々なところで需要が出来るそうだ。

部屋の外に待機していたエルフの少女はアルスに引っ張られるままにリアムの元まで来た。


「ほらこっちだよ」


「うん」


「アルスもう少し優しくしてあげなさい」


「あっ!ごめんね?痛くなかった?」


「…気にしないで」


目線を合わせず言う少女は恥ずかしそうだった。アルスはそれに対して不思議そうに覗き込む。そのせいか彼女はぷいっとそっぽを向いてしまった。


「あはは、見ての通りですが彼女はエルフです。つい先日にこの街で倒れているのを発見しました。先程の話の続きですが依頼とは彼女を送り届けて欲しいのです」


「……なぜ助けようとする?この大陸では異種族を差別するのは当たり前のようだが」


「ええ、そうですね。しかし我が国では奴隷が禁止されていました。それにこの国はエルフとは強いつながりがあるのです。お互いに助け合って来たのですから。そんなエルフが困っていたら助けるのはこの国の民として当然なのですよ。本当なら我々だげてもどうにか出来ますが帝国兵が多い今はまずい」


この大陸では大きく6つの種族がある。人にエルフに獣人、ドワーフに吸血鬼、そして魔族だ。この中で人間が1番多く、そのためか他の種族を差別し奴隷にすることが多かった。紫苑がこの大陸に来て旅をするうちそのことを何度か見かけてしまった。助け出すことも出来ずにこの大陸のことをある程度それだけでわかってしまったのは悲しいことだ。

だがこの国は他とは違うようだ。リアムは嘘を着いていない。紫苑は感じた。

紫苑は少し考えると答えを出した。


「引き受けよう。皆もそれで良いな?」


「うん!賛成だよ」


「私も賛成です。行く先なら一緒でも大丈夫ですよ」


「私達は紫苑さんに守られている身です。紫苑さんが守りたいものを守ってください」


彼女達に反対と言う気はないようだ。3人とも助けて当たり前と言わんばかりに乗り気のようだった。1人で勝手に決めてしまってはと思っていた紫苑もそれを見て安心した。


「皆様、ありがとうございます!」


リアムは喜んだように感激したように頭を下げた。


「そうだ君も自己紹介をしなさい」


息子の横にいるエルフの少女に向かってリアムはそう言った。するとエルフの少女はこちらに向いた。


「森の民のリオ…って言います。よろしく」


「ああ、よろしく頼む」


「よろしくお願いしますね、リオ様」


「よろしくね!リオちゃん」


「よろしくお願いします。リオ殿」


「うん!」


紫苑たちに恥ずかしそうにしながら元気よくうなづいたリオ。おそらく仲良くなるまでには時間はかからないだろう。


「ああ、そうだ皆様、お風呂を所望でしたよね?もう準備は出来ていると思いますので案内させましょう」


リアムはそう言って人を呼ぶとまずは女性陣が先に風呂に入ることになりメイドと思われる人達が彼女たちをリアごと連れていった。そして部屋にはリアムとアルス、紫苑だけが残った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ