閑話
暗い中で玉座に座る1人の男がいた。周りには培養液や魔法陣、机には本やフラスコなどいかにも魔術師の工房だと思えるものでいっぱいだった、そんな中で男は研究の途中でそれをほっぽり出してスクリーンに飛びついた。映っているのは侍と呼ばれるもの。それが自身の作り上げた中で成功した存在である強化ゴブリン達を従える存在。ゴブリン将軍と名付けた個体がそれにやられているのだ。
彼はそれにいたく惹き付けられていた。
「本当なら上位種のホブゴブリン以上の存在でワイバーンにすら勝てるのだがな。やろうと思えば竜にとどくことも可能すらある筈なんだがね。押されているよ。……素晴らしい!彼は本当に素晴らしい。いい研究材料に出来そうだ」
男は興奮していた。その戦いにも紫苑自信にも。
戦いが進み紫苑が獄炎を出した時だ。男の様子が少し変わった。
「な、なんだと!あれは魔力でも霊力でもない!純粋な人なら使うことが出来ない力を使っている。……どの力だ?霊気と仙気は論外だ。なら残されているのは龍気か鬼力だがどっちだ?」
男は思考の海に入っていった。それは純粋なる好奇心からなることだった。
その間にも戦いは進み終わりとなった。
「あぁ!殺されちゃったか。残念だなぁ〜もっと彼のこと観察したかったのに。でもまぁいい収穫はあったな。僕の望みだったものが見れた。彼はどこにいるのかなぁ」
そう言って彼は魔力で出来たスクリーンに地図を移した。そこには最後にゴブリンがいたところが書かれてた。
「へぇーこんな所にいるのか。てことはここかなぁ目的地は。あぁ彼はどうしたら力を見せてくれるかなぁ。頼んでも意味ないよねぇ。少し観察しちゃうか」
そう言って男はナイフを取り自身の指を少し切って元々あった陣に血を流した。血が流れると陣は光だしそこから人型の何かが現れた。
「我が主よ。ご命令を」
そこから現れたのは黒いコウモリの羽を持ち、目が黒い以外は人の悪魔だった。
「君に命令するのはこの男の観察だ。常時僕に報告してくれ」
「了解しました」
男の顔と場所を聞いた後悪魔は一瞬で消えた。既に向かっているのだろう。
「さぁて名も知らぬ者よ。君は僕を楽しませる、違うね僕の願いを叶えてくれるかな?」
そう言って男は玉座で気味悪く笑い続けるのだった。