帰還
俺達は帰る。その途中どうしても気になって仕方がない……いつもの剣に戻った時ペンダントが落ちた。それを拾いローズに渡す……大切そうに、それを持つ……ユニコーンって、幻獣だよな? その角って……
ずっとローズの言葉が頭から離れない……あの人って……ローズが愛した人……魔王が姿を模した。あの人……
凄く優しそうな、美しい人だった……ローズは、今もあの人を想っている……
城に着く、陛下は戻っていた。王と共に出迎える。俺達を。
「大義であった」
王は側近から聞いているだろう。陛下は無論の事だが、よくもまあ知れっとそんな態度がとれるもんだ、俺も知っている。陛下の暗殺未遂は王の指示だ……陛下は寛大だ。俺だったら殴っている。
「さあ、レグルス! 王女を迎えに行くぞ!」
ほうきに乗ってローズが言う。えっと、馬車とかじゃなく……もしかして、このままいくのか……おぉーい……
俺の心配など、お構い無か……カノーブスで借りるか……ほうきの方が早いしな。
カノーブスに着いた。そこには王女が居た。
「レグルスー!」
俺にしがみ付く。
「大丈夫ですよ。もう、終わりました。さあ帰りましょう」
ローズはカノーブスの女王に礼を言って親書を渡す。俺達は馬車を借りて……帰るつもりだった……のだが……
「レグルス、私もほうきに乗せて!」
と王女は驚く事を言う。
「いや、これは……何と言いましょうか……」
と、困った俺を余所にほうきに乗った……? 乗った……おい……俺の時は逃げたじゃないか……おまえ……
「レグルス一緒に乗ってやれ、ほうきは許しているみたいだぞ」
ローズに言われる……そうみたいですね……苦笑いで答える。これって1人乗りじゃなかったっけ?
いいか、こいつがいいって言っているんだ。と俺も乗る……おっ乗れる!
ローズはそれを確認して、俺の前を先に飛ぶ。
「素敵! ほうきに乗るって気持ちいいのですね」
王女さんは嬉しそうだ。まあ、馬に乗ると揺れるからな。それに比べて、ほうきは揺れないから乗り心地は快適だよ、それに早い。
青い空を飛ぶ。さっきまでの殺伐とした現場からの帰りだと言うのに、今は、清々しい気分だ。
「ほら! 見てレグルス、鳥がこんなに近くに、私一緒に飛んでいるのね」
無邪気に空を眺める、そんな王女さんに癒されている。
そして、俺達は帰って来た。
「お父様! お母さま!」
とほうきから飛び降り走り出す。
「無事で良かった。でも、まさかほうきに乗って帰ってくるとは思いませんでしたよ」
陛下は王女さんを抱きしめる。
「ローズありがとう」
そう言う陛下に王女さんは、
「お母さま、空を飛ぶってとても気持ちがいいのですよ!」
陛下は、王女さんにそっと言う。
「ええ、知っていますよ。小さい時にローズに乗せて貰った事があるのですよ」
「そうなのですか!」
楽しそうに笑い合う、王は面白くないのだろう……すると、王女さんは王の首に抱き着く
「お父様、会えなくて寂しかったです」
その言葉を聞いた王は、娘を抱きしめる……その顔は……親父の顔だ…‥自分の子供は可愛い……か
陛下の暗殺も、もしかしたら魔王から囁かれて良いように使われていただけなのかも……今の王の顔を見ているとそう思う。
そうして、時間は過ぎていく。魔族の動きも見張っている、何かあれば直ぐわかる。
俺は聞いてみた、その首にかけてあるペンダント。
「ローズ、その角は本当にユニコーンの物なのか」
「そうだ。乙女にしか心を開かない生き物だ、幻獣とされている」
「それは、俺だって知っている。何故それをローズが持っているんだ?」
ローズはふっと笑うと。
「内緒だ」
これは、聞いても話してはくれないな、諦めるか。謎の多い“賢者ローズ”昔の彼女を知る者はもういない。昔何があったのか……魔王は知っていたのだな……
この平和になった国に、また悲しい歴史が来ない事を願うよ。俺は、賢者の弟子“レグルス”だ。
この国に危機が訪れたら、平和の為に俺は戦うだろう、それまでは、賢者に魔法を教えて貰おう。
ここまで、読んで下さってありがとうございました。