ヴェズリン王
いよいよ、戴冠式は3日後となり、陛下達は出発する。無邪気に俺達に手を振る王女、俺達は頭を下げ見送る。これからどうする……ローズ……
「今日は何もしないよ。今日はね。だが、ネズミは捕まえた。今それを料理の為の下準備をしている」
ローズは笑みのない顔で何処かを見つめる。そうか、容疑者は捕まったんだ。ローズの事だ、えげつない拷問でもしているのかな?
「おい! レグルス、変な想像はしていないだろうな?」
グイっと、ローズの顔が俺を覗く、……ドキっ!
「人間に苦痛を与えて吐露させるなんてやり方は、私はせんぞ、こちら側に取り込んだのさ味方にさせた、……これで、アイツの味方は今、この城には誰も居ない……」
ローズは、そう言った。
翌日、ローズは王の部屋へと向かう。
「ローズです。今よろしいか?」
『構わん』その答えを聞いて中へはいる‥‥‥ローズ。
「王には、退屈な時間となりましょう。私が、退屈しのぎに面白いものをお見せしましょう」
「ほう、丁度良い。退屈しておった所だったのだ」
「では、ご一緒に」
と、廊下を歩き王を案内する……そして、地下牢へ降りて行く。
「おい! ローズ何故、私がこんな地下へ来ねばならん」
「ここが、最適だからですよ」
暗闇に目が馴れた頃、王はあっと、息を飲む。そこには、サルガス国から着たであろう人物が何人か椅子に座らせられていた。
キーっと、ドアが閉まる。
「ここにいる者は陛下の暗殺を企てた犯人です。ヴェズリン王よ、この顔に見覚えはないですかな」
「何故私に聞く、知る訳なかろう」
顔を引きつらせて言う
「可笑しいなあ、貴方の側近の1人もいますよ。さあ、よく顔を見て下さい」
ローズは再び言う。
「貴方の計画はもう知っている……残念だよ、ヴェズリンよ、この国の為に力を注いでくれると信じていたのに……少なくても、アトリアはな…」
「‥‥‥くっ‥‥‥」
「おのれ! この国に謀反を起こさせるつもりだな? ローズお前が裏で操っておったのか!」
「その言葉、そのまま返そう。ここへ……」
と、誰かが入ってきた、その顔を見て王は愕然とする……
「…兄上……リゲル……」
「お前の計画はローズに話した。諦めろ、私は和が国、自分が大切なんだよ。お前の為に危ない橋は渡れない。この国とは良い関係でいたいのでな、お前の小さな野望に付き合ってはおれん」
「……それでは……約束が違う……」
と、ヴェズリン王は、ジリジリと後退りする。
「約束など、した覚えはない」
そう言われて、ヴェズリン王は座り込む。それを上から見下ろすローズ。そして、もう1人の人物に向きを変え
「リゲル閣下、お忙しい中、足を運んで下さりありがとうございました。では、直ぐに転移魔法でカノーブスまでお送りさせて頂きます」
「助かるよ、ローズ」
「ヴェズリンよ、俺は今の地位で満足しているんでね。お前の考えには賛同できない。悪いな」
そう言ってローズと出て行く。