サルガス国の陰謀
俺はローズに顔を見る、その表情は陰り、辛そうだ。
「ローズ、それは……本当なんだな……」
「だから、お前をここへ連れて来た。何としても陛下を守らねばならん、暗殺の計画があったのは事実だ。陛下のオーラが薄く、時々穴が開くその事を知っているのは、ほんの少しの者しか知らない。それを……あのままだったら、陛下を失いこの国を危うくする所だった」
そうか、陛下の治療の後ローズは何かを渡されていた! その情報だったのか!
「きっと王は面白くないはずだ」
「王女はこの国の第一継承者だ。陛下にもしもの事があってもこれは変わらない。だが、法を改定されたら話は変わる」
「この国の実権は今は、アトリアにある、……だから、私は反対したのだ。男系の王族からの婚姻など」
辛そうだ。きっとこの事を案じて先の王、陛下にローズは反対して何度も抗議したに違いない……
その危惧した事が現実になってしまう、ローズの胸の内を思うと、こっちまで辛くなる。
ローズに何か策はあるのだろう。この状況になるのを何より望んでいなかったのだ、もしも……その時がきたら。と、俺に何が出来る……魔族相手なら、魔剣で何とかなる。が、国政に関するとなれば、俺に出来る事は無い、だが、其々の大臣は人格者だと聞いている。俺が勇者として認めて貰えたのも、その後ろ盾があったからだそこはローズも知っている。どうする……
「レグルス、王女の傍にいてくれ。彼女はこの国の希望だ」
「分かっている、任せろ!陛下の事は、ローズ、頼む」
「側近は私の知る者ばかりだ。何かあれば直ぐ分かる。サルガス国の思うようにはさせん!」
そうか、あの日ローズが何故朝早く陛下の様子の変化を知る事が出来たのか……なる程、側近からの連絡があったのか……対処が遅かったら……そう思うと、知らなったとはいえ俺は‥‥‥
「ローズ、俺に何か出来ないか! 教えてくれ!」
ローズは俺の顔を見て、言う。
「策は考えてある、お前にも協力してもらう。私の弟子だからなそれに、魔剣にも協力してもらおう」
しばらくして、魔族に被害に遭ってこの国から魔法使いを派遣した隣の国、カノーブス国からあの時の礼がしたいと報告を受けた、代表でローズが出向く事になった。カノーブス国も女系の王族だったはずだ、
俺は城に残る。護衛対象から離れるのはまずいからな、“側近達も剣や魔法を使う、腕は確かだ! ”
とローズは言っていた。何やらコソコソと動いていたようだったからな、これもローズの策の1つかも知れない、俺は今日も王女の話し相手をする、すっかり懐かれた。