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王女との優しい時間

 その翌日王女に会う。

「レグルスと言います。護衛が主な役目ではありますが、気軽に話しをして下さい」

 笑顔で声をかける。


「貴方は男の人?」

 と小首を傾げて聞く。


「はい、そうですよ。男性は苦手ですか?」

 低い少女の目線まで俺はしゃがみ笑って見せる。


「そうね、侍女達も女性ばかりなので……でも、貴方は……大丈夫。だってとても綺麗なんですもの」


 なんて無垢な笑顔なんだろう、と思ってしまう。この王女はこの国を背負っていかなくてはいけないのだ。それを、この小さな少女は知っている。


「私と話す時は、周りを気になさらなくていいですよ。勉学は違う者から教えて貰っているのでしょうから、私は話し相手だと思って下さい。魔法はお教えしますがね」


「では、聞いてもいいかしら?」


「何なりと」


「勇者様はほんとに居なくなってしまわれたのですか? 強い方だと聞いていたのに……」


「はい、今はもう存在しておりません。ですが、私がお側にいます。この国の為にお役に立てるようにローズの元で毎日精進しております。では、魔法の勉強を始めていきましょうか」


 王女はどの魔法も基本はすべてどれもこなせる。俺なんかより、上手く出来ているんじゃないかな? この年で流石だ! 確か今年10歳になられたはずだ。


「疲れましたか?少し休みましょう」

 すると侍女達はさっとお茶の用意を始める。今日は天気もいい庭で休もう。俺はメガネをかける。


「勿体ない! 隠してしまうのですか?」


「このように色が薄いので、太陽の日差しは眩しいのですよ」


「では、お部屋に入りますか?」


「私の事は気にされますな、太陽の日差しは身体にいいのですよ。さあ外へ行きましょう」


 庭には色鮮やかな花が咲いている。その花の香りが心地いい、ローズもこちらを見ている。その眼差しは我が子にむけるものに似ている。それはそうだろう。


 生まれる前から知っているのだ。陛下と同じく愛しいと思っているのだろう。また、戦いの日は訪れる。


 今はこの時間をゆっくり過ごそう。


 穏やかな時間が流れる。こんな時間も悪くない。今まで、何かに追われるように生きて来たからな、その頃を思うと信じられない位だ。その、穏やかな時間はそんなに俺には優しくはなかった。



 ローズから隣国の情報が聞かされた……間違いであって欲しいと思うほどの衝撃を受けた。


 ヴェズリン王が、この国を危うくする存在だと、聞かされた。隣国サルガス国は男系の王族だ。この国の女系制度について良く思っていないようだ。


 特にここ最近はこの国が注目されている。あの魔族との戦いに勝利し、隣国に魔法使いを派遣するなど、その功績を面白く思っていないと。勇者がこの国から出た事に対して面白く思わない上に今回の活躍だ。これは、どうする……。


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