少女の名前はオリハルコン
その場に居た俺達以外は当然何が起きているのか分からない。それはそうだ、いきなり少女が現れたのだ。それも、全く知らない。だが、ローズがいるからだろう。誰も慌ててはいない……それだけローズを信頼している……と言う事なのだろう。皆の注目する中、少女は陛下の胸に両手を当て静かに目を閉じる……優しい光が陛下を包む……それは、暫く続いた。
どの位の時間が経過したのか……光は徐々に消えていく。すっかり光は消えた頃には、少女は剣へと姿は戻っていた。ローズが陛下を診る……その顔から安堵した表情が分かり、皆も安心と緊張がとれて座り込む者もいた。
「良く頑張ってくれた。レグルス、後からその剣をうんと甘やかせてやってくれ」
ローズ……分かっているのかその意味を……俺は帰ってからどうしたらいいのか考えていた。
「陛下にこの薬を飲ませてやってくれ。魔力は回復したが、身体の方がまだ追いついていない。だが、もう大丈夫だ」
ローズがはっきりと大丈夫だと言ったのだこれで解決だ。この件は……ね……
「さあ、帰ろう」
ローズが言うと、側近が何かをローズに渡した。俺達は帰る。皆頭を下げローズに敬意を表す。
ほうきに乗って飛ぶ。
さあて帰って剣でも磨くか? それで喜ぶか? ……確か月夜でないと嫌がるって言っていたように思ったが……まあいいか、帰ってから聞いてみよう。
その考えは、甘かった‥‥‥剣は俺から離れてくれない……それも、少女の姿で俺の後を付いて来る。
振る返ると嬉しそうに俺を見る。オリハルコン……その様子をローズは見て
「良かったな。しっかり甘えておけその姿は長くは持たんからな」
「そうなんだ。何かしたい事はないか?」
食事を作りながら聞いてみる。
「また、キスして」
! おい! ……ローズの眉がピクリと動く……どうする、えい! と少女の額にキスをした。その後彼女は剣に戻る。
「ほお~……お前が幼女が好みとは知らなんだ……私の身体を見ても何とも思わない訳だ」
「ローズ。違うぞ、勘違いするなよ。剣の時にだな、その、なんだ……愛が欲しいって言われて、俺はそういうのは良く分からんから困ってだな……剣に口づけした……だけだ……」
「そんな事をあれが言ったのか! 全く何処で覚えてきたのやら、愛か……100年は、ほっておいたからな寂しかったのだろう」
「それにしても、どうやってあの剣を作ったんだ?」
食事をしながら、ローズに聞いてみた。
「……忘れた。随分と昔に作ったからなあ、色々やっていたら出来た。同じ物は作れんよ」
流石です。紛れもなく貴方はやっぱり“伝説の賢者”だ。
また、魔族の襲来はやって来るだろうか、その時はこの剣の力は必要になる、
……その剣を狙っている者がいた‥‥‥