魔剣と少女
俺はどうしたらいい……ローズのこんな顔は見たくない、胸の奥がチクチクする……
「ローズ、剣をどうやったら完成させる事が出来る」
俺は、ローズの目線に並ぶようにしゃがみ、静かに聞く。
「私にも、分からんのだ……あれが教えてはくれんのだ」
「そうか、では俺が聞いてみよう。俺の剣だからな」
そう言って部屋を出て、剣を置いてある部屋に入る。そして、聴いてみる。
『お前は何が欲しいんだ。ローズが言っていた何故話してくれないんだ。俺にも話せないのか……』
剣から不思議な感情? が伝わってくる。何だか少女がモジモジしている……そんな不思議な感じで……そして剣は言う。
『‥‥‥私は‥‥‥愛が欲しい‥‥‥』
! 何と、思いもよらない答えが返って来た。余りに予想外すぎて何て言ったらいいのか、そうか……何となく今まで感じていた“それ”は、この剣はまさしく少女なのだ。愛か……俺もよく分からんが? どうしたもんか、
「俺は愛など難しい事は良く分からん。だが、お前は俺にとってかけがえの無い存在だよ」
そう言って剣を胸に抱く。そして、そっと口づけをする。
剣は再び輝き始める。その光の向こう側から、少女の姿が見える。その少女は俺の額に口づけを返してくれた。バタンとドアが開きローズが入ってくる。少女の姿の剣を見て驚いた様子はない、
「そうか、お前の欲しい物は貰ったのだな。良かったな」
と、その少女に言う。
嬉しそうに笑って少女は剣に戻る。輝いていた光も無くなる……まだ俺は今の状況が飲み込めていない。ローズは笑顔を見せて言う。
「ありがとう。剣は完成したよ……それで、お前は何をしたのだ? 親同然の私には答えてくれなかったのだ。教えろ」
と笑顔で迫ってくる。恥ずかしくて言えない……
「まあいい。これで薬を持って城へ行ける。早速行こう! レグルス。剣を持て」
俺とローズと剣と、一緒に森の家を出た。ほうきに乗って城へ向かう。城の中は静まり返っている、ローズと陛下の寝室に入る、陛下……顔色が悪い…‥‥
「人の周りには魔力のオーラあってがその人間を包んでいるのだが、陛下のオーラは薄く、穴が開く。そのたび魔力を補うようにして穴を塞いできたが、今回はその穴が数か所あって魔力が漏れている。もうその場しのぎにやってきた事では補えん。なので、この剣の力を借りてすべての穴をふさぎオーラを戻す」
「レグルス、ここに来い。剣を抜き陛下の側に置いてくれ」
俺はローズの言うまま。剣を抜き陛下の隣に置いた。
ローズが言う、
「剣よ、お前の力を貸して欲しい。その魔力で陛下のオーラを癒してくれ」
俺も、
「お前の力が必要なんだ。お前しか出来ないんだ。頼むよ」
すると、剣は光初め少女の姿になる。