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記憶を無くした勇者は記憶を取り戻す

 何が起こっている……ローズは知っているのか?


「なあローズ! 今この世界で何が起こっている。俺にも教えてくれ」


「魔族が増えている、この国に今の所被害はない。だが、隣の国は被害に遭ったと情報を受け取っている」

魔族……


「魔王は倒されたんだよな? そう、聞いたが」


「そうだ、魔王は倒された。だが、魔族はいる。新しい王が誕生したとしても不思議ではない」


「そうか、では魔王をまた倒さないといけないのか……だが、それでは、また…‥同じ事の繰り返しだ」


 ローズは何も言わない。


「ローズ、俺について何か知っているんじゃないのか?」


「何故そう思う」


「何となくだ。もう封印した奴はいないんだろう? 知っているのなら教えてくれないか」


 暫く沈黙が続く……ローズは、黙っているが、話さないつもりなら、いつもみたいにはぐらかすはずだ。


「知りたいか?」


「知りたい」


 と俺は即答した。


「では、お前の記憶を呼び起こそう……もう拒んではいないようだ……だが、お前にとって辛い事には変わりはない、あの状態で放置されたのだからな、それは分かっているな」


 いつになく厳しい表情を俺に向ける、


「そうだな、恨まれるような事を俺はしたのだろう。どんな罪を犯したのか、俺は思い出さないといけない気がするんだ。自分と向き合わないと……贖罪を……どうすれば許される……そもそも許されるか、どうかも怪しいが、それでもこれから生きていく為に恐れてはいけないと俺は思うんだ。今はローズが居てくれる、ローズがいれば耐えられるよ」


 そう笑って見せた。


「そこに横になれ」

 ローズに言われベッドに横になる。


「目を閉じろ」


 俺の目の上にローズの手が置かれた。意識は深く沈んでいく……見えてきたのは、子供の俺……一緒にいるのは……弟か? 剣の稽古をしている……


 意識はもっと深くなっていく……この光景は……戦場……だ……沢山の遺体がある。それは? 人間ではない! ……俺は戦っている……仲間であろう人物に指示を出している。

 

 その1人が前線で敵をひきつけている……俺は……目の前には……魔王! ……強い……俺はかなりダメージを受けたようだ……ヒーラーが俺の力を回復させる……戦いは続いた……俺は仲間に指示を出し、戦う‥‥‥どうやら……俺は……その戦いで勝利したようだ。だが、嬉しいと言う感情は無い……仲間も疲れている、安堵感だけ……魔王の首を持って帰る……


 そこから‥‥‥後ろから不意打ちを受け俺は意識を無くした、どうやらそこで記憶を消されたようだ……痛みと絶望と……虚無…そ…れから‥‥‥あの笑い声‥‥‥


 俺は思い出した…その時ローズの声がする。


「思い出したか? 勇者コル・レオニス」

 ベッドから起きローズを見る。


「やはり俺を知っていたんですね」


「有名人を知らない訳はないだろう?」

 笑顔で言うローズ。


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