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私が選んだ婚約者  作者: 平彩まり
第1章−幼少期
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Act6.日常1


ある日の昼下がり、私とユーリ様。は見てしまいました。


私と同じく午後から王城に遊びに来たユーリ様。

いつもの通りルイ様のお部屋のドアを躊躇なく開けると、そこには。

ソファの上に、ルイ様とアリア。

ルイ様がアリアの上に跨り、アリアの顎に手を添えてスプーンを口元に運んでいます。


「まぁ!」

「お!?」


私は思わず口に両手を当てて驚きのポーズをし、ユーリ様は何やらニヤつきます。

声に気づき、こちらを見たアリアが顔を真っ赤にして一言。


「ご、誤解ですーーーーーーっ!!!!」


ーーーーーーー


夏です。じんわりと暑い日が続き、ドレスも衣替えの時期が来ました。

3人と出会ってからと言うもの、時間の流れを早く感じます。

私もルイ様とユーリ様に続き、無事4歳を迎えました。

私は最近、午前中は騎士団で訓練、午後から王城へ遊びに出かけることが日課となりました。

それから、ユーリ様もつい最近から、騎士団の訓練にたまに加わるようになったのです。

なんでも騎士団に入ることを強く望まれていたとか?


ではなく!目の前で起きているこの状況です。

私は躊躇なく部屋の中へと足を進め、未だにソファの上で一緒に寝っ転がっている二人の目の前へ向かいます。


「お二人とも!何をやっているのですか!!離れてください!」


私はくっついている二人の肩をグイグイと引っ張り、距離を離しました。

そこへようやく足を部屋に踏み入れたユーリ様も私の横へ並び、一緒にソファに座る二人を見下ろします。


「全く!お二人は一体何をしていたのですか!」


私がお二人に問い詰めている間も、ユーリ様はニヤニヤと口元を緩めています。

だらしがないです!!


「何って、別に何も・・・」

「何もしているではないですか!!」


弁明しようとするルイ様とキョロキョロと目が動いて視線の交わらないアリア。


「こうやって、あーん・・・って!」


私が二人の真似してあーんのポーズをしてみせます!

すると隣のユーリ様は吹き出しました。

何がおかしいのでしょう・・・?


「なぜ、あーんをし合う必要があったのですか!」

「ルーナ、それくらいにしといてあげなよ・・・。

二人にも色々あるんだよきっと。色々ね。」


さらに私が畳み掛けると、ユーリ様は笑いをこらえながらも私をなだめ始めました。


「色々って・・・」

「ほら、二人とも顔が真っ赤だし、きっと僕たちには言いたくない理由があるんだよ」


なんだかユーリ様は楽しそうです。

ルイ様とアリアは文字通り顔を真っ赤にして俯いてしまいました。

ん?なぜ顔が真っ赤なのでしょう?


「それとも、ルーナってば二人の秘密の部分がそんなにきになるの?」


ユーリ様は今度ニヤニヤの的を私に変えたようです。

二人のこの状況をこれ以上詮索するなということでしょうか・・・。

でもそれはお二人の為になりません!

お二人のことは、しっかり正さなければなりません!

恥ずかしいことなので、あえて口にはしまいと思っていましたがこの際なのではっきり言って今後はやめていただくように言いましょう。

私は拳を握って、大きく息を吸いました。


「違います!!

私は、二人がこんな真昼間から赤ちゃんごっこをしているのが恥ずかしいと言っているのです!!」


「え?」

「あかっ・・・????」

「なんと????」


私が発した言葉に対して、俯いている2人は顔を上げ、ユーリ様は私の顔を見たままフリーズしました。

なぜ3人とも不思議そうな顔をしているのでしょうか?


「・・・え?あれ??あれれ??3人とも、なんでそんな不思議そうな顔を??

わたし、おかしなことを言いましたでしょうか?」


そして降り立つ沈黙。

なんだか変な空気になってしまい、わたしは焦りに襲われます。

間違っていたのは、もしかして私なのでしょうか!?

どうしましょう、お二人がしていたことはもしかして普通のことなのでしょうか!?

いえ、でも、お二人は顔を赤くして俯いてらっしゃいましたし・・・


パニックです!!

まだまだ小さい私の頭をフル回転させて考えますが、答えは出ません。

目を白黒させていると、隣のユーリ様の肩が揺れ始めます。

私が目を向けると、ついにユーリ様はお腹を抱えて大声で笑い始め、お二人に言葉を投げます。


「だってさ!!お二人さん!!ぷぷっ・・・・あはは!!

赤ちゃんごっこはやめてください!!あははは」


なぜユーリ様はこんなに笑っているのでしょうか?

ルイ様とアリアは未だに呆けているようです。


「あの、私・・・何かおかしいことを言いましたでしょうか!?」


すかさずユーリ様に尋ねますが、ユーリ様は相変わらずお腹を抱えて笑ったまま、首を左右に振ります。

間違ってはいないようですが・・・なぜ??

私の頭の中には疑問ばかりが浮かびます。

ユーリ様はついには目に涙を浮かべます。


「よかったね!見つかったのが僕たちで、ルーナで・・・ふふふっ」


そして呼吸を整えながら二人にちょっと意地悪な笑顔を浮かべて言いました。

その言葉に早く反応したのはアリアでした。


「・・・・!!

違いますからね!?そういうんじゃないですからね!?

これば別にただ、私の嫌いなマンゴーと、ルイ様が嫌いリンゴをお互い頑張って食べてみようという試みでありまして・・・!!」

「ほほーう。なるほどねぇ。」


急に喋り出したと思えば、顔を真っ赤にしたまま口が止まりません。

早口で状況を説明し出したと思えば、ユーリ様が再び遮ります。


「違います!違いますから!

本当に本当に、そういうんじゃありませんからね!!」


さっきからアリア、「そういうんじゃない」って言ってますが、どういうことなのでしょう?

赤ちゃんごっこじゃないってことですか?


「あの・・・アリア?そういうのって一体・・・」

「ルーナは黙ってて!!」


いつも穏やかでふわふわのアリアとは思えない剣幕でピシャリと言われました。

ちょっと悲しいです。


「え〜でも、じゃああの体勢になったのはなんでなの〜??」


私を無視して話は盛り上がっていきます。

ユーリ様は目をキラキラさせてアリアとルイ様をさらに問い詰めていきます。


「あ、あれは、ちょうど体制が崩れてソファに倒れてしまった瞬間に、お前たちが部屋に入ってきただけだ!!

事故だ!!」


ようやく本体に戻ってきたであろうルイ様も、ユーリ様の問いかけにやや早口で答えていきます。


「なにそれ!でもそれって結局、僕たちがいない間に二人でいちゃいちゃしてたことに代わりはないんじゃないの〜??」

「いちゃっ!?」


ユーリ様、その辺にしておいた方がいいのではないでしょうか!?

アリアの目に涙がたまり初めていますよ!?泣きそうですよ!?


「ユーリ様!?そろそろおやめになってください!

ちょっと赤ちゃんごっこをしていただけじゃないですか!

そんなにお二人を咎める必要は・・・」

「ルーナは黙ってな!

本当のところどうなんだよ〜ルイ!!」


ユーリ様まで!?


「なんですかぁ!3人で楽しそうにして!!どういうことか教えてくださいよ!!」


ユーリ様がルイ様とアリアを追いかけ回し始めました。

置いてけぼりなんて嫌です!


私も輪の中に入り、3人を追いかけましました。

結局、なんで変な空気になってしまったのかは分かりませんでしたが・・・

あとでジゼルにも聞いてみましょう。


ーーーーーーーー


今日もあっという間に時間が過ぎ、帰りの時間がやってきました。

ユーリ様のお迎えとほぼ同じ時間だったので、一緒に部屋を後にして、馬車がついている玄関まで歩きます。


「結局、なんだったのでしょう。あの二人・・・」


今日あったあの出来事について、ポロっとつぶやいてしまいました。

その様子をみて、ユーリ様は無言でニッコリ笑いました。


そのまま会話もなく進み、お互いの馬車に乗り込む為に別れの挨拶をします。


「それではユーリ様、また今度。」

「ルーナもしっかり帰って休んでね。」


そのまま挨拶をして分かれると思いきや、ユーリ様は手招きして、私に耳打ちをしました。


そしてそのまま手を振って馬車に乗り込んでいきます。

私はその話の内容に、私はその場に立ち尽くしました。

そんな私をみかねて、侍女のジゼルが声をかけてくれます。


「ルーナ様?いかがなさいましたか?」


なんでもないですと短く返事をして、私も馬車に乗り込みます。

動き出した馬車に揺られながら、今日あったこと、先ほどユーリ様から教えていただいたことを考えます。


『あの二人がどうかは分からないけど、今日のあれは、恋人同士のすることなんだよ』


まさか、ルイ様とアリアが、恋人同士・・・?

まさか!そんなことがあるわけないです!


だって私たちは親友ですから。

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