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私が選んだ婚約者  作者: 平彩まり
第1章−幼少期
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Act5.騎士団訓練場


「本日より我が娘のルーナを騎士団の訓練に参加させる。」


3歳になった直後のことだったと思います。

お母様に連れられ、私はお母様が団長を務められている王立騎士団の訓練場へと初めて足を踏み入れました。


私自身、物心つく前から体を動かすのが好きだったり、お家でも鍛錬欠かさないお母様の真似をしたりして、みんなの言う「武力」の力を持って生まれてきたのだとなんとなく理解していました。

お母様の朝の剣術の鍛錬は、引き込まれるほどに美しく、まるで踊っているように見え、初めてその姿を目にした時は幼いながらに憧れが募り、いつか絶対私もお母様のようになるんだと思ったあの日のことは今でも鮮明に思い出せるほどです。


「私、お母様みたいに、強くて綺麗で、かっこいい騎士様になりたい!」


クレセントリア公爵家はアレクサンドリア王政の始まり”武力”に関わる部分を先導し、担い、運営し、成功をもたらしてきた一家です。

当時より、「武力」の力を強く持っていることがきっかけだったようです。

「武力」の力とは一体何なのでしょうか。

私自身も誰に教わった訳ではありませんが、お父様やお母様、そして自分の身に宿る力を直感的に感じて思うのは、身体能力の高さやコントロールが周りの人より優れているということです。

走る速さ、ジャプした時の高さ、重いものを持ち上げる力など、思いつく部分はたくさんあります。

今の私の体のことで思いつくとすれば、身体能力の高さの他に、傷の治りが早かったりします。

擦り傷をしても数分後、気づいたら跡ひとつなく治っているのです。

きっと体の構造が「武力」の力を持っていない人に比べて違うんですね。


そして私に「武力」の力が宿っていることは父様やお母様もわかっていらっしゃいます。

だからこそ、早いうちから訓練をさせ、将来のために私を育てようと物心つく前から私に様々な教育を受けさせてくださっています。


お母様の騎士団の訓練場に行くのもその一環です。

早く現場を知り、現場と同じ訓練を受けさせる。

スタートが早ければ早いほど後々できることはたくさん増えるし、いち早く現場に出ることができるのでお父様やお母様と最前線に出て王国の役に立つこともできる、という理由で私は一年ほど前から時間を見つけては騎士団の方々に混ざって訓練を受けています。


そして今日も、お母様にくっついて騎士団の訓練場へとやってきました。

午前中は騎士団の方々と一緒に訓練です。


ルイ様の元へ通うようになってから気づいたのですが、騎士団の訓練場は王城からそう遠くない場所にありました。

あくまで私がきていたここは訓練場なので、普段訓練でご一緒している騎士団の方々も、訓練をしていない時は王城に待機場があり、多くの人が王城にて務めているそうなのです。

中には街の見回りをする方など、色々な役割の人がいるそうですが、私が通っている訓練場は主にお城の警備や王族の方の警護任務を任されている人が多い為、お城の近場にあるそうです。


「ルーナ様〜〜〜!!」

「ルーナ様だ!今日も可愛い〜〜!!」

「おはようございまーす!」


訓練着に着替えてみなさんが剣の打ち合いなどを訓練するフロアへ到着すると、先に稽古を初めていた方々が私に大声で声をかけてくれます。いつもの光景です。


「みなさま、おはようございます!!」


私も負けず大きな声で挨拶を返します。これは武力を持つものにとって大切なコンタクトです。

大声を出すというのは、今日も元気であるということ、やる気を出していること、などなど、相手にとっても自分にとってもいいことが多いのです。

なので騎士団では普段から挨拶は大声で、と決まっているそうです。


「ルーナちゃん、おはよう!今日も元気で何よりです!」

「おはようございます!ルーナさん!」

「あ〜ルーナちゃん、今日もとっても可愛い!!おはよう!!」


私に一番に声をかけて、駆け寄ってきてくれた方々がいます。


「月華騎士団のみなさま、おはようございます!

本日もよろしくお願いいたします!」


月華騎士団のみなさまです。

私に武術、剣術を教えてくださる優しいお姉様方です。

お母様に簡単に聞いただけですが、”月華騎士団”とは団長直属の団の一つだそうです。

このほかに、”氷雨騎士団”、”紅玉騎士団”、”蒼天騎士団”と3つあり、団長のお母様がこの4つの騎士団を束ねているのだとか。

それぞれに役割があって、月華騎士団とは月のごとく静かに活動する団だそうです。

詳しい役割はわかりませんが、他の団に比べてほとんどが女性で構成されている団とお姉様方に教えていただきました。

最前線で活躍している、そして女性が多く私のような子供でも馴染みやすい、ということでお母様が私にあてがってくださった方々です。


「こらこら。あんたら、あんまりルーナをちやほやしない!

ルーナは忙しい身なんだから、さっさと訓練を始めるぞ!」


お姉様方にちやほや?されていると、一際通った声が響きます。

声の元へ振り返ると、月華騎士団の団長さんが腕を組んで立っていらっしゃいました。


「セレーナ団長!おはようございます!

本日もよろしくお願いいたします!」


セレーナ・スターライト様。

17歳にしてその腕を買われ前線騎士団の団長様に選ばれたすごい方だとお母様が言っていた方です。

身長が高く、スラリとした見た目ですが、佇まいも美しくそして何よりもお強い!

私の憧れの方の一人です。

余談ですが、スターライト伯爵家の次女様でいらっしゃるそうです。


「よろしくね。じゃあさっそくはじめるよ!」


セレーナ団長が2度手を叩けば、先ほどまでにこやかだったお姉様方の表情は引き締まり、真剣な表情へと変わります。

それと同時に、空気もピンと張り詰め先ほどとは別の部屋にきたかのようで、私もつられて背筋がピンと伸びます。

今日も厳しい訓練の始まりです。


これが終われば、ルイ様の元へ行って思いっきり遊ぶんだから!

頑張って訓練についていきましょう!



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