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私が選んだ婚約者  作者: 平彩まり
第1章−幼少期
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Act11.小さな会議2



アリアの言葉に私たちは動くことができずにいました。

3週間以内に呪いを解くことができなければ、ルイ様は一生苦しみ続けるということ。

そしてその呪いを解く方法を知っているのは呪いをかけた本人だけ。

つまりは、私たちにできることは無いように見えます。


しばしの沈黙を破ったのは、アリアでした。


「この件に関わるのは、辞めておいた方がいいんじゃないかしら・・・?」


それはきっと、隣にいるユーリ様も、私自身も感じているたこと。

関わるのは危ないのでは無いか、そもそも私たちの両親たちでさえ手に負えない事件となっているのだから、私たちのような子供が加わって行って逆に迷惑をかけてしまうのでは無いか。

次々に不安が押し寄せてきます。


「正直、僕もそう思う。ルイのことは助けたいけれど・・・。」


次にユーリ様も悔しそうに眉を潜め、見えないように拳を強く握って言いました。

そう、それが正しいと思います。


でも。でも。


「私も、それが正しいと思います。

でも・・・・でも!苦しんでいるルイ様を放っておいてのほほんと生活するなんて、私・・・

私できません!!」


思わず私は本音を出してしまいました。

私の言葉に2人とも顔を上げて、私の顔を見ました。

そうです、私の目にはきっと、涙が溜まっています。

悔しいのです。大切な友達が危険な目にあっているかもしれないというのに何もできないのが。


「悔しい・・・悔しいよ・・・!

何の為に毎日訓練をしているのか、何の為に毎日勉強をしているのか、わからないよ!

ただルイ様を、友達を助けたいだけなのに、何にもできないなんて!

どうして私の力はこんなに弱いんだろう!!!」


涙が止まらなくなりました。

勢いに乗せて喋り出すと止まらない、止まらない。

しまいにはワッと泣き出した私をユーリ様とアリアは抱きしめてくれました。

そして、アリアもユーリ様も同じように大粒の涙を流していました。


3人してわんわん泣いていると、何事かと部屋の外からジゼルたちが部屋に入ってきました。

どうしたのかとなだめてくれますが、一向に涙は止まりません。

ジゼルは何となく悟ったように、私をぎゅっと抱きしめて泣き止むまで頭をそっと撫でてくれました。



そうして一体どのくらいの時間が経ったでしょう。

気づけば陽は傾いて、綺麗な夕焼け空となっていました。


私たちは盛大に泣いたこともあって泣き疲れていました。

今日はもう解散、となったので、次の集合の日を決めます。

そこで、アリアが言いました。


「ねぇ、私たちが次ルイ様に会いに行くまでにまだ呪いが解かれていなかったら、私たちも挑戦して見ましょうよ。」


その言葉に私は腫れぼったい瞼を持ち上げ、アリアを見つめました。

ユーリ様も同じくです。


「挑戦してみる価値は、あると思わなくって・・・?

もしかしたら、呪いを解くことができるかもしれないでしょう?」


悲しそうに、でも微笑んで、私たちをみて提案してくれました。

私は可能性が0ではないことに、また涙してしまいそうになりましたが、必死に我慢します。


「僕は賛成。」


ユーリ様も、いつものようにエメラルドの瞳を細めてふんわり笑って言いました。

アリアとユーリ様は、ルーナは?と言わんばかりに私を見つめます。


「やるに・・・やるに決まってます・・・!」


私も元気を振り絞ってそう答えました。

私の答えが出揃ったところで、今日は解散しました。

頭を使って、泣いて、決意して。何だか今日はとっても疲れました。


帰りの馬車の中で、眠りに落ちかけている私に話しかけます。


「ルーナ様、また成長されたのですね。

私はどこまでもご一緒いたしますよ。ルーナ様の歩まれる道に。」


意識が落ちる瞬間に見えたのは、珍しく微笑んでいたジゼルの表情でした。

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