表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が選んだ婚約者  作者: 平彩まり
第1章−幼少期
13/26

Act10.小さな会議1


ーーーーーーーードロワ公爵邸


「ふむふむ。つまりだけど、ルイの熱の原因は誰かに仕組まれた可能性が高いってこと?」


今日はアリアと共にユーリ様のお屋敷へお邪魔しています。

ユーリ様のお父様も、王都での頻発している事件の終息へ向けしばらくお城へ泊まり込んでいるそうです。

ちなみに、アリアのお父様も。


「そう!私のお父様とお母様は、今回の王都での事件にルイ様のお熱が一癖噛んでいると!」


私は改めてアリアとユーリ様に事を細かくお話ししています。

あ、今日はジゼルをはじめとしたアリアとユーリ様のお付きも部屋の外です!


「なるほどね・・・つまりは、事件を起こしている人たちと、ルイに熱を出させた人が同一人物の可能性もあるわけだね・・・」


ユーリ様は顎に手を当てながら考え込みます。

それに、アリアがさらに詰め込みます。


「その可能性はあると思いますが、その人1人でこんなに大勢の方を襲ったりできますでしょうか?」


アリアは私たちが話して出た答えを紙にまとめて書いてくれています。


「えー・・・私ならやっちゃうかもしれない・・・」


私はアリアの意見に関して、一人でもやれると思いました。


「例えば、武力の力を持っていたとして、大人の人なら一晩ですごい距離を移動することが可能ですもの!」


私の意見を聴きながら、頷きながらもユーリ様が首を傾げました。


「うーん。僕はそうは思わないなぁ。これは少なくとも1人の犯行ではない気がする。

なぜかというと事件が始まってから1週間経つけれど、未だに犯人の足取りが全く掴めていないとお父上は言っていたよ。

同一人物が動いている場合は、襲い方とか周りの環境とかが似通ってくるって。でもその点に共通点がない。

それに、ただ王都の人を襲っているだけの人が、下がらない熱の風邪にさせるなんてことできるのかなぁ・・・?」


ユーリ様はお父様から聞いたことも交えて意見をしてくださいます。

確かにそうです・・・訓練場で、同じ人がつけた傷には癖があると教えてもらいました。

それは剣の握り方や拳の振り方、脚力、それらによって違うそうですが、それらは癖として痕を残すそうです。

だから傷口などを見て同一人物かどうかなどを調べる方法があるのだそうです。


「ユーリ様の意見が私ももっともだと思いますわ。

私のお父様は寡黙ですので、ユーリ様やルーナのお父様方のように情報の共有をしてはくださいませんが・・・

これは私が学んだ知識の一つでしかありませんが、ルイ様のかかっている下がらない熱は、”呪い”の魔法に寄るものだと思います。

私のお父様がルイ様の元へ呼ばれているのが何よりの証拠です。」


呪いの魔力・・・?聞くからに怪しいです・・・。

それは一体どんなものなのでしょうか?


「呪いの魔法とは、文字通り相手に呪いをかける禁術とされている魔法よ。

その魔法はとても複雑でリスクが高い為、魔力が高く、センスのある者にしか扱えないとされているわ。

そして呪いの魔法を使うには、使用対象に対する呪いたいという強い思いがないと成功せず、失敗すると己に呪いが跳ね返ってくる危険な魔法ですわ。」


アリアが真剣な表情で話す内容に、ユーリ様と私もゴクリと唾を飲みました。

なんだか触れてはいけないような、これ以上関わってはいけないような内容な気がしてきました。


「なるほど・・・となると、数人の人物による行動ってことになるのでしょうか。武力の力をもつ数人と、強大な魔力をもつ人の。」


私が恐る恐る声を出すと、ユーリ様は大丈夫と言わんばかりに背中をさすってくれました。なんだか安心します。

それと同時にさらに意見を言ってくれます。


「いや、知力を持った人がいる可能性も非常に高いと思うよ!

だって、僕やルーナ、アリアのお父上たちがこんなに頑張っているのに捕まえられない相手だよ?

優秀な知力を持った人もいるに違いないと思う」

「ぜ、全部揃ってるの・・・!?」

「可能性の話だけどね。」


ユーリ様の言葉に、私たちは黙り込みます。本当に私たちだけでルイ様を助け出せるのか。

多分、やめておいた方がいいと思うけれど、苦しんでいるルイ様を放っておくわけにもいかないです。

私は膝を抱えました。着ているドレスのフリルに顔を埋めます。

そんな時にアリアが、そういえば、とポツリと言葉を漏らし、私は顔をあげました。


「・・・そういえば、呪いの魔法には解除期間が設けられていたような気がします・・・。

家に帰ってきちんと調べて見ないとですが、確か3週間だったような・・・

呪いの魔法は、3週間以内であれば解くことができるのです。」


アリアがポツリポツリと言葉を繋げていきます。

その言葉に、私とユーリ様は目を輝かせました。


「つまりまだ3週間経っていないから、今だったら呪いを解くことができる!」

「そして呪いを解いたらルイは元どおりになれる!」


私とユーリ様は立ち上がり、二人でやったーと手を合わせます。

ですが、アリアは動かず、そのまま言葉を続けます。


「最後まで聞いてくださいませ。

ただし、呪いを解く方法を知っているのは呪いをかけた本人だけ。

そして、3週間以内に解くことができなければ、その呪いは永遠のものとなる。」


アリアの口は震えていました。


「つまりは、3週間以内に呪いが解けなければ、ルイ様は一生苦しみ続けることになるのよ。」


その言葉にユーリ様と私の顔から、笑顔がさっと消えました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ