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憎悪

「何?・・・・・・」

「お前が憎いと言ったのだ!お前が存在しなければよかったのだ!」

歯軋りをしながら佐山はつぶやいた。


「オレは学校を退学した後、何度も復帰しようとしたが叶わなかった・・・・。」

佐山は誠心学園高等部を自主退学したあと、自力で立ち直ろうとしたが何をやっても中途半端で集中できなかった。

もちろんそれは背後に堂本亮一の黒い気配を常に感じていたからだ。

そして次第に町のやさくれものから、大麻やコカインを買い漁るまでに身を持ち崩していた。

また一日のほとんどを暗室のような自室に閉じこもって過ごすときもあった。

暗い部屋には時として、けたたましいほどの笑い声が響いたかと思えば、何時間もの間すすり泣きの声が聞こえることもあった。


ポツリポツリと黒い空から雨が降り出してきた・・・・。

「オレはこれではいかん、と最後の決断として傭兵になった。そしててこのフィリピンにやってきた・・・・。弱った己に活を入れる最終手段として選択したのだ!」

あるとき彼はネットで傭兵について知り、強く好奇心を揺さぶられた。

誰に言うこともなく、ただ一人でフィリピンの非政府組織の傭兵に志願したのであった。


堂本は手錠に圧力を掛けて外そうと試みたが、ビクともしない・・・・。

「オレはここで鍛え抜かれた!言葉も通じないと返って気がラクだったよ・・・・。自分の復活に集中できたからな・・・・。」

二本目のバドを開けて、グビグビと口にした。

「オレは次第に全身に力が漲るのを実感できるようになっていた!この傭兵という厳しさがオレをさらに強い雄にしてくれたのだ!」

缶を握りつぶした右手からは、鮮血が流れ出ている。


「そこにふとしたことから、誠心学園が修学旅行にくることオレは知った。しかもお前と沙耶香までもが来るというではないか!!これをどう解釈するべきかな!?ワハハハッ!」

ビール缶をさらにくしゃくしゃに握りつぶしながら高笑いをした。

「あとはこれくらいのお膳立てくらいならどうにでもなる・・・・、ということだ、堂本先生。」


「佐山・・・・、それでお前はどうしたいと言うんだ。」

「簡単なことだ。お前とオレとどちらが真に強いのかを見極める。そして適正な子孫をこの世に残すのだ!」

「お前の言ってることは理解不能だ!」

「そうか・・・・、それなら説明して差し上げよう・・・・。」

何かこれから起きるであろう出来事を楽しみにしてか、舌なめずりをするようにして佐山は説き始めた。


「雄は雌に子孫を残させるために戦う。そして生き残った強い雄の種を残そうとするのは自然の摂理だ。それをオレもこれから淡々と実行に移すのだ!」

「・・・・・・・。」

佐山の当座の標的はどうやら堂本で、最終的な目的は沙耶香にあるらしい・・・・。


「ワハハハハハ!勝手にすればいい、佐山!」

「・・・・・・、どういうことだ!!」

堂本の予想外の反応に、佐山はあっけにとられた。



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