バーサーカーと呼ばれる変態
「大変申し訳ございません。興奮してしまい名乗るのも忘れておりましたね。私の名はジョゼフ・ヘクター。以後お見知りおきを。」
優雅にお辞儀をしながらそう名乗るこの男、
民間軍事会社 アカデミー社のトッププレイヤーであるが、任務よりも戦闘、否、殺し合いを優先させ異常なまでに戦闘に執着心を持つことから、バーサーカーなどと呼ばれている。
「あっ間違っておりますねこれは。私の名など覚えてもらわなくて結構でございます。なぜなら、この後どちらかは必ず屍となって地面に平伏しているのですから。」
ヘクターはそう言い終えると同時に床を蹴りクロスの目の前まで迫り強襲をかけた。
その距離7~8mはあっただろう距離を一歩で零距離まで迫り右手に持っていたタガーをクロス喉元に切りつけた。
この初撃だけ見てもこの者がどれだけの強者だということは一目瞭然であった。
そして、喉元を斬られ鮮血が舞う。
それはだれもが疑いも無く容易く創造できる未来。斬りつけた本人さえも。
しかし、相手は死神である。
刹那の瞬間で迫ったダガーでの一振りをクロスは一歩も動かず上半身を軽く反らしただけでかわし、左手に持った愛銃を振り上げた。
カキンッ
その直後ヘクターに握られていたタガーは主人の下から離され宙を舞い地面に突き刺さった。
「準備運動は終わりか?」
クロスがヘクターに問いかける。
ヘクターは目を見開いて驚愕するがそれも一瞬。本能的に後ろに飛び退いた。
「これはこれは素晴らしい。私の初手をかわされたのは何年振りでしょう。いささか死神さまを見くびっておりましたね。」
ヘクターはにやけ顔をしたままそう答える。
しかし、本心は全く逆であった。
次元が違う。
強者故に一太刀交わしただけでわかってしまう程の実力差。
ヘクターは背中に嫌な汗が流れているのに気づいていた。
しかしそれと同時に脳内に快感が押し寄せていた。
自分よりも圧倒的に強い相手と殺し合いができる。
そして殺したときの感触を想像するだけで今にも射精してしまいそうなほど男は興奮していた。
「おっさん、おれも手伝おうか?あんた一人じゃ手に負えなさそうだし。」
後ろに控えていたチャラ男がヘクターに問いかける。
しかし、そう言い終えると同時に喉元から鮮血を噴出しその場に倒れた。
「あなたは何をおっしゃておるのですか?私の極上の愛玩具を横取りしようとでも?その罪は死んで償ってもらいますよ?あーもう死んじゃっていましたか。雑魚はこれだから困りますね。」
ヘクターは瞳孔が開いた状態でクロスを再度見つめる。
「仲間を殺して平気なのか?まあ俺にとっては手間が省けて好都合だが。」
「お見苦しいところをお見せしまして大変申し訳ございません。ただ、同僚であって仲間だとは思ったことは一度もございません。」
「そうか。なら別にどうでもいいが、さっさと続きを始めていいか?」
「いやはや、私くし如きを待ってくれるとは死神様もお優しいのですね?」
「待とうが待たぬも結果は変わらないからな。」
「それはそれは。その自信が歪んだ時の顔を想像するだけで興奮してきますな」
「ふっ。この変態が。気が変わった。次はこちらから仕掛けさせてもらうとしよう。」
その瞬間ク、、、、
to be continued