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天使と死神

少女は次の日から1人部屋になった。

食事も質素な硬いパンから温かい食事に変わった。

少女は戸惑いながらも今の現状に満足し涙を流せばこの生活を続けられることも次第に理解していった。


そしていつかはここから抜け出せると信じいつのまにか自由に涙を流せる様になっていた。


しかし、その生活も長くはつづかなかった。

唐突に涙が全く流せなくなってしまったのだ。


次第に男達はあの手この手で少女に涙を流させようとするが全く成果をえられなかった。


業を煮やしたクリスタルカンパニーの幹部の男は麻袋で顔を被せられたある少年を少女の前に突き出し冷淡な言葉を吐く。


1時間をおまえにやる。

その間に涙を流せないのならこいつを殺す。

と、、、


少女はどうにか涙を流そうと必死になるが無情にも時間だけが過ぎ去った。


そしてついに男からのカウントダウンが始まった。


10・9・8......


涙を流せなければ誰かが死んでしまう。

少女はパニックに陥った。


そして少女は





右手の親指を左目に突き刺したのであった。


しかし、それでも涙はながれなかった。



、、、0。





嫌だ死にたくな、、、、





ドンッ

静かな部屋に嫌に響く銃声。

そして、段々と鼻に付く薬莢の臭いが漂う。


少年は無情にも頭を撃ち抜かれ床に崩れ落ちた。そして、頭に被せられていた麻袋が外れ顔が露わにされた。

その少年は同じ孤児院であり親友で初恋の相手であり心の支えであった少女の掛け替えのない人だった。


それを見た少女は絶望し絶叫した。


真っ赤な涙を流しながら


そして少女の心の何かが音を上げ壊れた、、、


その日から

少女の眼からは光も生気も失われ置物の人形の様に食事も言葉も発さない生きた屍になってしまった。

腕には最低限の栄養を摂取する為の点滴が打たれ、手足に枷を嵌められ目隠しをされた状態でただただ生かされていた。


いつか涙を流すかもしれない。

ただそれだけの可能性の為だけに




しかし、運命の日というものは突然として訪れる。


どれぐらいの日が経っただろうか

そんなことはどうでもいい

私はいつ死ねるのだろうか

私は生きている価値なんてない

私のせいでジルは死んだ

私の せいで

私のせいで

わたしのせいで

わたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせいでわたしのせ・・・・・


頭の中のラビリンスが永遠と続く


そんな永遠かと思われたラビリンスは視界が唐突に明るくなることにより呆気なく終わりを迎える。


看守がいつもの決まった時間に訪れ、鉄格子の鍵を開け点滴を変え目隠しを外し、私の状態を数秒観察しまた目隠しをして去っていった。


そしてまた自分を呪う頭のラビリンスが始まる。


しかし今日は違った。


ドスッ

私の近くで何かが落ちた音がした。

つい数秒前に明るくなった視界が再度明るくなる。


ぼやける視界の先に誰かがいるが、ハッキリとは見えない。しかし先程きた看守とは違う雰囲気である。


ぼやけた視界が徐々に雲が晴れるかの様に男の出で立ちが見えてくる。


黒いコートに左目部分だけが割れている髑髏の仮面を被り手には漆黒の拳銃を持った男が目の前に立っていた。


わたしにはその姿が昔読んだ本の死神に見えた。


私はその時初めて神様いや死神がいることを信じた。

やっと私を殺してくれる。

こんないらない子をやっとこの世から消してくれる。

私は身を乗り出し懇願する。



「死神さん、私を殺しに来てくれたんでしょう?もう、私はこんな醜く苦しい世界にいることに耐えられないの。ねぇはやく殺して。何でもするから殺して。涙は流せないけど血の涙はいくらだってあげるから。ねぇねぇ早くはやくハヤク殺してよっ」


少女は死神に唾が飛ぶのも気にせず絶叫する。


その言葉を言い放つとともに、死神の眼が一緒大きく見開かれた。


しかしそれも一瞬、

右手に持った漆黒の拳銃がゆっくりと私に向けられた。


やっとこんな世界からいなくなれる

自然に口角が上がり私はゆっくりと片目しかない眼を閉じた。





ドンッ・・・to becontinued




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