天使の涙
看守がクリスタルを発見した翌日早朝に少女はある部屋の椅子に座らされていた。
少女は何故こんな所に連れてこられたか想像もつかずただただ俯き怯えていた。
やがて唐突にドアが開かれ、
少女はビクリと肩を震わせ開かれたドアを恐る恐る見つめた。
そこには脂ぎった額をハンカチで拭いながら作り笑いを浮かべた中年の男が立っていた。
その男は開口一番手に持たれているクリスタルを掲げながらこれをどこで手に入れたか教えて欲しいと優しく微笑んだ。
しかし、少女には全くわからかった。
何度も同じ質問をされるがその度に正直にわからないと答えた。
すると、次第に作り笑いの男の表情が徐々に変わっていき唐突に平手が少女の頬を襲った。
少女は一瞬何が起きたか分からず唖然とした。その間も男は狂ったかの様に喚き散らしていた。
それからどの位の時間が経っただろうか。
少女は徐々に過度になっていく本当の暴力というものに晒され、力なく手足を拘束され椅子に座らされていた。
そして何かの多寡が外れたのだろうか、少女は突然として嗚咽を漏らしながら泣き叫んだ。
男はそれを見て呆れ顔をしながら乱暴にドアを開け部屋を出て行き、少女は泣き疲れたのかその数分後には眠ってしまっていた。
数時間後、男は少女の尋問を再度行う為部屋に戻ってきた。
するとどうだろうか。
少女の足元に看守が発見したときと同じクリスタルが転がっているではないか。
男は興奮気味に少女に近づき拾い上げると間違いなく同じクリスタルであった。
しかし男はすぐに疑問が浮かび上がる。
このクリスタルは一体どこから?
ボディチェック等は確実に行っており、手足も拘束してある為この部屋からも確実に出ていない。
ではどうやって。
男は考える。
尋問中の経緯と看守の証言を頭で一から並べ、
ある事を思い出す。
幼い頃に行った教会での神父からの話である。
天使から流れる涙は恐ろしく綺麗で人を魅了する宝石となる。
しかし、天使に涙させたものは大いなる罰が下ると。
男は唐突にこの事を思い出し、なぜだかわからないが確信に近い程の自信で、このクリスタルは涙で形成されているのではないかと考えた。
男は少女を無理やり起こし、作り笑顔でこういった。
君の仕事は今日から涙を流すことだ。涙を出す方法はなんでもいい。
自分から涙をながせるのであれば僕たちは何もしない。
流せないのであれば無理やりにでも涙を流させてあげるよ。と
その日から少女の生活は一変した。
一人、、、、、to becontinued