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偽りの可憐女子

「何故じゃないのですクロちゃんっ!!!!」

ビシッと指を差しながら続ける。


「クロちゃんにただならぬ危険の気配を感じて急いで来てみたら、案の定老いた泥棒猫が・・・。」

その指の先にはクロスの首元に突っ伏している咲夜がいた。


「誰が泥棒猫じゃたわけ。この小童風情が・・・」


ぷるぷると小刻みに震えながら咲夜はクロスから離れゆっくりとミレイに目を向ける。

まるでその眼光だけで人を殺せるような眼差しで。


「そんな怖い目つきで睨んでもクロちゃんはあげないのですよ?そんなに睨むから額にシワが寄っちゃってるよ?

あっ年の功はシワのなんちゃらというやつですか?」


ミレイはニッコリと可憐な笑顔で口撃を続ける。

しかし目は全く笑っていない・・・


「ほう。言うではないか小童が。」


「小童じゃなくてミレイ・ブラックウェルです。忘れないでくださいねおばあちゃま。」

ニッコリと言い放つミレイ。



「はて?いつからお主はブラックウェルになったのじゃ?そうであろうクロよ?」


咲夜は目線をミレイからは離さずクロスに尋ねる。

しかし、反対にミレイはなぜか自信ありげに、そして何かを期待する目でクロスを眺めていた。


「ん?ミレイはヒューストンだろ?違ったか?」

そう淡白に、さも当たり前の様に言い放つ。


がーーーーん。

アゴがはずれんばかりに口を開けミレイがクロスを信じられないような目をクロスに向ける。


「かかっ。滑稽じゃのう。ヒューストンちゃん♪」

咲夜はこれ見よがしに指を刺し嘲笑う。


「むぎーーーー。クロちゃんのバカちーん。あの日の約束は覚えてないのですか?

あのときのあの言葉は嘘だったのですか・・・」



ミレイは潤んだ瞳のままクロスに近づき胸に弱々しくもたれる。


「クロちゃん、、、あの夜のことは遊びだったのですか?」


頬を少し赤らめ上目遣いで問いかける。

(キタコレー‼‼‼雑誌カムカムで特集されてた絶対男を落とせるテクその②のシュチュエーション‼‼

ミレイちゃんにかかればこの程度容易いことなのですっ!これでクロちゃんは、、、、ぐへへへへっ♪)


心の声とは裏腹に完璧に演じきるミレイ、、、

ミレイ、いや女とは怖い生き物である。


「なっ、なんじゃとクロっ‼どういうことじゃ熱い夜とはっ!!お主たち、、もっもしや? …クロ覚悟はできておろうなな?」


初めて咲夜に動揺が走る。

そして、咲夜の眼から光がぬけおち背後には般若が浮かび上がりそうな雰囲気を醸し出していた。


「まずは、小童。貴様を殺す。」

咲夜の目線の先にいるミレイに殺気が放たれる。


「きゃっ」


可愛い悲鳴と共にミレイはクロスの胸にしがみ付く。

「クロちゃん怖いのです〜助けてくださいなのですぅぅぅ!」

(キタコレー‼‼カムカムのテクその③シチュエーション‼‼

秘技を2つも使ったミレイちゃんはもはや無双なのですー!ぐへへへへっ)


胸にしがみついたミレイは心の声と共に咲夜にしか見えない角度で口元だけをニヤリと歪ませる。


ブチッ。

何かが切れる音がした・・・


「ほう・・・。舐められたものじゃ。よかろう一瞬で逝かせてやろうぞ。」


咲夜の右手が静かにその姿を変え見る見るうちに鋭利な刃物に変わっていく。

そして、咲夜が動き出す。その姿は獲物を殺す般若の如く。


しかし、その動きはミレイにあと1mの所に迫った時に突如として止められる。

二人のその間にクロスが割って入る。


ビシッ!!!!


「あぅぅぅぅー。」

「ぬぅぅぅぅー。」


可愛らしい二人の悲鳴が綺麗に木霊する。


「痛いのですぅクロちゃん!!!」

「痛いのじゃクロ!!!」


またしても綺麗に二人の抗議の言葉が重なる。


「お前ら二人共いい加減にしろ。まだ任務の途中だ。」

クロスは呆れ返った眼差しで二人を咎める。


「咲夜も咲夜だ。ミレイの挑発にいちいち乗っかるな。そもそもお前はいつも俺のそばにいるから

何もないことぐらいわかるだろうが。」

ハァ…クロスは心のため息が漏れる。


「でもでもじゃ!!!うぬが寝ている時と言うことも大いに・・・」


ビシっ。

再度クロスの必殺チョップが咲夜を襲う。


「いっ痛いのじゃクロ!!!!」


「でもじゃないだろ。咲夜お前そもそも夜行性だろ。。。」

そこで咲夜はハッっとした顔をしミレイを再度睨みつける。


ミレイは頭を摩りながらもニヤニヤと怒られている咲夜を余裕の表情で眺めていた。


「ミレイもミレイだぞ。」

いきなり話が自分に向きミレイは慌てて可憐な少女モードに切り替える。


「ミレイは嘘をついていないのです。」

涙目でクロスに上目遣い攻撃を再度実行に移す。


「嘘もなにもミレイが言ってるのは、ミレイがまだ7歳ぐらいの時に一回だけしたおままごとのことだろ?」


「チッ」

ミレイは思わず舌打ちが出てしまう。



「ん?何か言ったかミレイ?」

ミレイは慌てて体裁を立て直す。

「ミレイにとっては本気だったのです!!!クロちゃんはあの時・・・」


ビシッ。


「あぅぅぅぅぅ。痛いのですクロちゃん!!!!」


「ミレイ。お前まだ結婚できる歳じゃないだろ。。。。」

がーーーーん。

アゴがはずれんばかりに口を開けミレイがクロスを信じられないような目をクロスに向ける。


ここまで乙女心をへし折るクロスも流石である。。。


「この話はこれで・・・」


そのとき背後から猛烈な殺気が三人を襲う。


クロスと咲夜は何事も無いように壁にもたれかかっている和装の男に目を向ける。


しかし、ミレイに至っては先程咲夜に向けられた殺気と比べられないほどの重圧に

無意識に体が小刻みに震えていた。


「馬鹿馬鹿しいやり取りは終わりかね?若僧よ。」

初めて和装の男は目を開け口を開く。


「わざわざ待っていてくれるとは。いつ来ても良かったのですよご老人?」

クロスは口元を歪ませにやりと笑う。


咲夜はクロスの横に無言で立つとポツリと言葉放つ。


「あやつ、まがい物ではなく本物のようじゃな。」


「あぁ。そうだな咲夜。」


to becontinued


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