咲夜の嫉妬
咲夜は少し不機嫌な顔をし頬を膨らませながらクロスの方に振り向いた。
「クロスもしつこい男じゃのう。たまにはうぬのかっこいい所をそこで黙って見ておれ。
ただでさえあのミレイとか言う小童ごときに研究室の死神などとクロスの二つ名と合わせたように書かれては読者達に正妻はあのミレイなのではと疑念を、、、、、」
「読者?なに言ってんだ咲夜?訳がわからん。」
「いいのじゃクロスはわからんでも!!クロスが真理をわかってしまえばこの世界は崩壊するやもしれん!!まぁいいからそこでよーく咲夜ちゃんがカッコいいとこを見て惚れ直せば良いのじゃ!」
そういうと咲夜はビシッという効果音聞こえてきそうな程に人差し指をクロスに突きつけた。
「意味はわからんが咲夜がそこまで言うなら今回は見学でもしとくか。ただ、無理だけは・・・」
クロスの言葉を遮るように咲夜は再度口を開いた。
「誰に言っておるのじゃと先程から言っておろうが?うぬの強さはそなたが一番知っておろう。それとも再度教えて・・・」
「了解だ。任した咲夜。」
半ば脅迫的な咲夜の言葉にクロスは清々しいほどのサムズアップを決める。
「うむ。物分りのいいクロスも好みじゃぞ。」
「ふっ。言っとけ。」
そして咲夜はさも興味が無いように三度ヘクターと向き合う。
「おやおや。イチャつきは終わりましたか?秒殺だの雑魚だの好き放題言われてはこちらも少々本気を出さなくてはいけませんねぇ。
もはや可憐な少女相手でも手加減できそうにもありませんよ今の私は。」
「あぁ。そういうのはいらんぞ変態。本当に秒殺で終わるからのう。さっきもいったがうぬとお前は本当に相性が最悪じゃ。
それはそれは絶対に交わることができないほどにじゃ」
「ここまでコケにされますと逆に気持ちがいいですね。まぁいいでしょう。それでは行きますよ可憐なお嬢さん。」
その瞬間トップギアに入ったヘクターが咲夜に迫る。
そしてクロスの時と同様拳を咲夜の顔を目掛け繰り出す。
ヘクターは躱す動きすらしない咲夜を見てやはりただのハッタリだったかと、落胆する。
「ふわ~。お主が遅すぎてあくびがでるわい。」
指一本で拳を止め欠伸をしている可憐な少女の姿がそこにはあった。
ヘクターが今出せる全力の初撃。それを意図も容易くあんなにもか細い腕をした少女に止められる。
それもたった一本の指で。この非現実的な光景にヘクターの思考回路が追いつかず一瞬時が止まった感覚に陥った。
「なにをそんなにも驚いているのじゃ?そもそもこんなまやかしにも気づかぬお主もやはり底が見える存在じゃということじゃな。
うぬはただ、腕が伸びきった状態でただ拳に指を置いただけじゃぞ? くくっ。驚いた顔をみるのも愉快じゃが、種明かしもまた一興じゃな。」
咲夜はそういい終わるとヘクターの腕を掴み自らに引き寄せまるでダンスのターンのように背後に廻った。
「次はうぬの番じゃの?でわ覚悟はいいかの?」
そういった瞬間、140㎝程度しかない咲夜は190㎝は優に超えるであろうヘクターの首に飛びついた。
そして
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「かぷっ。」
なんとも可愛らしい音が響き渡る。
「えっ?」「えっ?」
死神と戦闘狂の素っ頓狂な声がまさかのシンクロを起こす。
その異様な光景から1秒も経たず咲夜はヘクターから苦虫を噛んだような顔をしながら飛び降りる。
「あー嫌じゃ嫌じゃ。口が汚れてしまったではないか。これは消毒が必要じゃな。」
踵を返しクロスの元に歩みながらそう呟く。
「おいクソガキッ!!俺の体になにしやがったぁぁぁぁ!!!体がっ体がうごかねえぞクソガキがっ」
後ろからまるで口調が変わったヘクターの怒号が飛ぶ。
「あーあー煩いのう。だから言ったじゃろ。うぬとお主の相性は最悪だと。お主の使ったNウイルスなどただの劣悪品にすぎん。Nウイルスなど
ナノ細胞を真似た劣化品の劣化品じゃ。うぬの体はいまやほぼ99%以上がナノ細胞で構成されておる。そのうぬがNウイルスごときで力を得たお主に負けるわけがなかろうに。
いまお主の体内ではナノ細胞がまるで抗生物質のようにNウイルスを死滅させておる。これでこの茶番も終わりじゃ。」
顔だけヘクターに向けていた咲夜は・・・・・・・・・・・
to becontinued