変態の自信
少し短いですがご容赦ください。
「おい。変態。頭撃ち抜いても再生するとささすがに引くぞ?」
「それはお褒めの言葉と受け取っておきましょう。いやはやこの程度で驚かれるとはこちらとしても拍子抜けですね。死神さま。」
「まぁいい。咲夜。スピードをちと上げる。ちゃんとついて来いよ。」
「誰に物を言っておるのじゃ?」
「ふっ。ならいくぞ変態っ。」
クロスは右手に刀に変わった咲夜を携え突如として消える。
いや正確には消えた様に見えた。
あまりのスピードに常人であれば誰もが視認できるものではなかった。
だが、ヘクターにはクロスの動きが見えていた。
しかし、敢えてなにもしなかった。
そして口元が自然と歪む。
死神の本気の攻撃も受け切れるだけの自信がそうさせる。
ザンッ、、、
クロスは正面から刀を振るう。
まさに一刀両断とはこの事を言うのだろう。
たった一振りでヘクターの身体は左右に分かれる。
しかし、圧巻だったのはその後だった。
クロスは一太刀、一太刀が全く見えない速度で刀を振るった。
側から見ればまるで牛の解体ショーの様にヘクターは細切れにされていく。
しかし、よく見るとヘクターの身体は再生しようとしているがクロスの太刀さばきのが数段早いため全く再生が追いついていなかった。
死神と呼ばれるクロスも人間である。
見ている側からはわからない程度だが、徐々に攻撃するスピードが落ちていく。
その結果ヘクターはみるみるうちに元の姿に
戻っていく。
そしてついには、刀が刃ごと掴まれ止められる。右手一本ただそれだけで。
「死神さま。調子に乗りすぎですよ?しかしご覧の通りかすり傷一つついておりませんよ私は。あっこれは失礼。死神さまはまだまだ本気ではありませんよねその程度で?」
またもやヘクターの口元だけが歪み音速をも超えそうな速度で髑髏の仮面をめがけ拳が放たれる。
拳をクロスは首を後ろに反らし躱そうとするが髑髏の仮面に掠ってしまう。
掠っただけ。ただそれだけだが仮面は掠った右眼の部分が砕け散りクロスの四分の一程の顔が晒される。
その直後、刀は再度ダガーに変化しヘクターの手から逃れ、クロスは首を反らした反動でそのまま地に手をつけヘクターの顎に蹴りを直撃させる。そしてそのままバク転の様な形で後方に距離をとった。
「ちょっといまのはイラっとしたぞ変態?」
「死神さま。そろそろその呼び名はやめて頂きますか?それとも・・・口の利き方から教えてやろうか?」
「口の利き方がなってねえぞ三下?まぁいい。咲夜。少しリミッター外すがいいか?」
「何を言っているのじゃ。あんな雑魚にわざわざお主がリミッターを外すほどの相手じゃなかろうに。」
「ちょっと勘違いしている変態にお灸を据えてやろうと思ってな。」
「だめじゃだめじゃ。そんなことでクロスがあんな状態になるのは嫌じゃ。あの状態のクロスはあまり好きでは無いからのう。あっ勘違いするでわないぞ。クロスの事は好きであってあの状態のクロスはあんまり好まないと言う意味じゃ。いや違うのう。えっとじゃな、どんなクロスも好きじゃが、あの状態のクロスは好きの中であまり好きではないと言う事じゃ。んー待て待てこれもまた違う気がするのじゃ。んーなんて言えばいいのかわからなぬが、うぬはクロスが好きと言うことじゃ!!!わかったかクロスよ!そういうことじゃからダメじゃっ!」
咲夜はそう言うと両手を腰に当て無い胸を大きく張り満足そうにうんうんと頷いていた。
「そういう事とはどういう事ですかね咲夜さん?全く意味がわからないのですが?」
「まぁクロスが照れるのも仕方ないのう。ただ、あやつに腹わた煮え繰り返っているのはわしも同じじゃ。なんせあやつは妾の身体をあの小汚い手で羽交い締めにしたのじゃからな。この罪死ですら償えんと思えよ変態。」
いままで軽口を叩いていた咲夜の目が唐突に鋭くなり殺意を帯びた眼光をヘクターに向ける。
「おやおや。なんとも恐ろしい。そんな眼はその美しいお顔には似合いませんよ。とりわけラブトークは終わりましたか?暇すぎてまたもや薬を打ち込んでしまいましたよ。」
ヘクターはNウイルスが入っていたと思われる注射器を地面に投げ捨てる。
「お主は本当に阿呆じゃの。そんなもの幾ら使おうとお主など秒殺じゃ。言っておくがうぬとお主の相性は最悪じゃぞ。黒と白ほど絶対に交わらぬ程にじゃ。阿呆にはわからぬと思うがな。」
そういうと咲夜は初めてヘクターと正面で対峙する。
「おい咲夜。なに勝手に話を進めてんだ。わざわざ咲夜が出るまでも無いだろ。」
to becontinued