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異世界転生したくてしょうがない俺の一生

作者: みそおじ

俺は異世界転生にあこがれていた。

きっかけは中学生時代図書館で読んだ異世界転生物のライトノベルだった。


俺は異世界転生しても困らないように猛勉強を始めた。

もちろん戦闘でも困らないように剣道や空手、柔道の習い事も始めた。

幸い俺の頭と体は恵まれたほうだったらしく国内テストで上位、習い事の方も優秀な成績を収めた。

俺の容姿は中の下程度だったが異世界でハーレムを目指す俺はそこらへんも怠ることなく様々な女子にやさしくしてはいざ告白となると「え?なんだって?」状態を心掛けた。


高校時代になりあることに気づき始める。

「現実世界の努力は結構だが肝心の異世界に行く努力をしていない」ということに。

俺は勉強、習い事、恋愛だけではなく道端の警備を行うことにした。

こうしていればいつかトラックに轢かれそうな誰かを助けることで異世界に転移することができるはずだと思ったがそんなことは起こるはずもなく俺の主な仕事は小学生や老人の誘導になりつつあった。

町中で俺の評判は高まったが俺の目的はそんなことではなかった。


大学に進んだ俺は警官を目指すことにした。殉職すればそのまま素敵な異世界生活が待っているからだ。

法律の知識は警官を目指すうえで役立つだろうしそのほかの異世界で役立ちそうな知識もこのころに身に着けたものが多い。

このころには死亡フラグなる者に着目して実践を行っていた。

雨の日に田んぼへ行ってみたり海の港で釣りをしてみたり暗い夜道を歩いてみたりしたが実際は何も起こらない。

起こったとしても貧弱な不審者が女子供を襲っている現場だったりで死にそうになるどころか逆に助けてしまい警察に表彰されてしまうが俺の目的はそんなものではなかった。


念願の警官になった俺は様々な場所を探して回った。

これからは自ら死亡フラグに挑めばいいのだ。こんなに楽なことはない。

そう思ったのが間違いだった。この国の警官は優秀すぎた。事件はほとんど俺が関わるだけで解決し。たまに反撃してくる犯人もいたが大体俺を狙わずに相棒を狙ってくるのでそれを守ることがほとんどだった。


俺は特殊部隊の隊員になった。上司に勧められたからだ。

毎日の訓練は厳しいものだったが異世界に行った時のステータスになることを思えば容易いものだった。

しかしこの国は平和すぎた。出番がない。あっても仲間が優秀すぎて出番がなかった。たまに負傷する仲間がいたがその時は俺が全力で守ったので死傷者は出なかった。

知らぬ間に俺は「守護神」と呼ばれていたらしい。


俺は特殊部隊を引退した。定年退職というやつだ。

この頃の俺は衰える自身を何とか鍛えつつ異世界に行くことをあきらめてはいなかった。

自主的に交通整理のボランティアを行ったりしたがいまだに俺を殺すような事象は起こらなかった。


俺はすっかり老いてしまった。今では公園の草抜きをしたりしている。

異世界に行くことも半ばあきらめつつある。

だがある時公園で遊んでいた少年がボールを追いかけ道路に飛び出した。

そこには高速で少年に迫りくるトラックがいた。

俺は全力で走り少年を公園の方に引き戻したが自分自身は戻ることができずトラックに轢かれてしまった。


俺は見知らぬ暗闇の中にいた。

目の前には生前の世界でも見たことのないほどの美しい女性がいた。

彼女はどうやら女神らしい。女神は俺の人生を大変賞賛し是非俺を神の一柱に加えたいと言ってきた。

だが俺はそれを丁重にお断りすると異世界への転生をお願いした。

女神は大変残念そうだったがそれを了承してくれた。

光に包まれ浮遊していく俺の体。


そして目を開いた先には…ぼんやりながら俺を抱える誰かのぬくもりを感じた。

俺の異世界生活が始まった!!

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