第四話
どれくらい眠っていただろうか。
俺が目を覚ますと車の中にいた。
「お、やっと目を覚ましたねハーフ君」
隣にいた、きれいな顔立ちに白髪の美少女が俺に話しかけてくる。
歳は俺のほうが二つほど上といったところだろうか。
「これはどういう状況だ?」
「うーん。ため口とは感心しないなー。
こう見えても、私は君よりも二つばかり年上なんだけどね」
いくらなんでも年上には見えないが、冗談を言っている訳ではないようだ。
「失礼しました」
「うん。分かればよろしい。まあ私も何も言ってなかったからね。
私はアルフォンス=リリアーナ。アルフィと呼んでくれ。
歳は18。そして君と同じく『悪魔』だ。
よろしく、カズヤ=ドゥ=イニアレスくん」
「よろしくお願いします。カズヤでいいですよ」
「それじゃあ、カズヤ、早速だけどお姉さんがいろいろと説明してあげよう」
この人がお姉さんというのにはかなり違和感を覚える。
お姉さんの説明をまとめるとこうだ。
大日本帝国が滅びた時、初代「白髪の悪魔」の18人それぞれの戦場に赴いていた。そして数年後、現在のアリア付近の地下に再び終結した。そこで今後についての話し合いが行われたらしいのだが、意見が真っ二つに別れた。このまま穏便に暮らそうとする「保守派」と、再び大日本帝国を取り戻そうとする「復興派」に。その後も何度も議論するも決着はつかず、「保守派」は三区、四区に、「復興派」は二区に息をひそめた。
それから、どちらの派閥も目立った行動は見られていなかったが、ミクスドの独立記念式典が近づいてきたあたりから、「復興派」が何やらテロの準備を行っているらしい。そのため「保守派」も戦力を集め、テロを阻止しようとしている。というわけで俺たちは四区のアジトの一つに向かっているらしい。
「つまり、俺たちは戦争に参加するために集まってということですか?」
「まあ、端的に言えばそうなるね」
話はだいたいわかった。が、どうしてもわからない点がある。
「どうして俺がその戦いに参加しなきゃいけないんですか。なにか俺に関係があるんですか?」
「確かに、私にも君にも関係はない。私たちの先祖がつくった火種だ。
だが、テロが起きればミクスドは戦場のど真ん中になるだろう。そうなれば私たちよりももっと関係のない人が被害を受けることになる。だからこれは私たちの義務だ」
母さんが最後に言ってた義務ってのはこういうことか。
「確か、君は最近まで普通の人間として暮らしてきたはずだ。
君の人間としての知り合いが被害を受ける可能性も少なくはない。
これだけ戦う条件がそろえば十分だろう?」
それを聞いて真っ先にエミリーの顔が思い浮かぶ。
確かに条件は十二分にそろっている。
「がんばります」
目の前のアルフィに、そして自分にも言い聞かせるように冷たくつぶやいた。
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