状況整理
異世界?世界の異変?神の使徒?
手紙の内容を理解すると、突拍子もない内容に混乱していたが、一度大きく深呼吸をし、なんとか平静を取り戻すと、運営によるドッキリだと判断した。
一度ログアウトする為、メニューを開こうと操作したが、メニューが開けない。他のログアウト方法も試してみたが、成功せず、再び混乱しそうになったがなんとか平静を保つ。通常ではありえない異常事態を前にし、ようやく現状を異世界(仮)と認識すると、1つ疑問に思う。
私は宝玉を入手していただろうか?
手紙に書かれていた通りならば、異世界(仮)に送られる条件は宝玉を入手する必要がある。しかし最後にログインしていた時の手持ちに宝玉と名のついたアイテムは見ていない。それなら過去に入手し、既に使用したのだろうかと考えてみると、宝玉と思しきアイテムを思い出す。
ある日、最高ランクの素材の1つである[暗黒物質]の採取場所を発見し、大量に入手していた際に閃く。
複数の[暗黒物質]を凝縮させれば、凄いものが出来ないだろうか?と。物は試しと早速試してみると、実験は成功。完成した物体は、光にかざして見ても一切光を通す事のない程に黒い球だった。かざして見続けていると、手を滑らせてしまい、左目の部分に落としてしまう。反射的に左目を覆い、落としたはずの球を探したが見つから無いので、探すのを諦めた。その後、左目に異常がないか確認すると、先ほどの黒い球と左目が一体化しており、[深淵の魔眼]という名称の取り外し不可の装備品になっているのが判明した。
結局、もう一度黒い球を作ろうとしたが何故か作れず、詳しいことは分かってないので何とも言えないが、あれが宝玉だったのだろうと判断した。
異世界に来た理由に自分なりの結論を出し、次に考えるべきは異変への対応だろうが、これに関しては既に決めている。
それは、他の人に任せる事だ。
一人で出来ることなど高が知れており、強力な魔物が原因だった場合、危険が大きい。なので最初から多人数でいるであろう他のプレイヤーに異変の解決は任せ、私はのんびりと異世界を漫遊しようと決意した。