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僕の日常
母さんは、お腹が空くと僕達兄弟を食べることがある。
それで何人死んだか覚えていないが、どうしようもない事だ。
母さんのお腹が空いている時に近づくのが悪い。
母さんは言う、昔はもっと広い所で自由に生きていた。辛い環境ではあったが、生きている事を実感できた。
今の生活、便利なものは増えたが狭い檻に押し込められて、生きている気がしない。
僕はここで産まれここで育っている。
母さんの言う世界を知らない僕からしたら、この便利な世界はただの日常である。
ああ、また母さんの虫の居所が悪くなってきた。
早めに逃げるか。兄弟達とアイコンタクトを取り、水草の影に逃げていく。
はぁ、早くごはんが降ってくればいいのに……
「ただいま~!早く、ザリガニにエサやらなきゃ。」
おお、ごはんが降ってくる合図だ。