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スキルが一つしかない世界で、魔王は倒せますか?  作者: けいけき
北の都市メリティ・レイバース
27/29

27話 新水

「マグ…何があった…?」


「うぅぅ、ひっぐ…あぁぁ!」


マグの顔は涙でボロボロになっていた。

必死に言葉にして伝えようとするが…うまく声が出せないようだ。

ラーズはマグを見て、話にならないなと思い、奴を睨みつけた。

死体の上で座っているクソ野郎を…。


「いや〜、随分遅かったね〜!ゼバスがうまく時間を稼いでくれたおかげかな!」


アインは死体の上で座るのをやめ、何かをラーズに投げつけた。

それを優しく、手でキャッチをする。

ラーズは、それを見た瞬間…殺気が湧き上がり、アインという男を必ず殺すと心に堅く誓った。


「本当にしぶとかったよー、そいつ。弱いくせに、一丁前にカッコつけてたからさ、バラバラにしちゃった!」


アインから渡された物、それはメリティ騎士団の中で一番ラーズに慕っていたドリスの首だった…。


ラーズは、ドリスの首を抱き抱え、ドリスの顔を見て呟いた…


「ドリス…本当に昔から、無茶しやがって…。お前の事だ!きっとマグを守る為に、精一杯戦ったんだろ!…そして、俺が来るのを待っていた…」


ラーズは、ドリスの首をゆっくりと置き、辺りを見渡す。

お前らも…俺が来るまで耐えててくれたんだろ…

本当に馬鹿な奴らだなぁ〜。

逃げろよ…。すぐに俺の所まで来て、助けを求めろよ…。

ラーズは、顔を下に向け、ほんの一粒の涙を流した。


「別れの挨拶はできたかい?そろそろ戦いたいんだけど…」


アインにとっては知った事ではない。

さっさと強い奴と戦いたいというその願望しかなかった。

その言葉を聞き、ラーズはついに怒りの頂点に達した。


「…殺す。」


一気にアインに飛びかかり、渾身の一撃を食らわそうとする。

だか、アインはその場には居なかった。

ラーズがすぐに振り返ると、アインはさっきまでラーズが立っていた所にいた。


「ほらほら!鬼さんこちら!」


そう言って煽り倒し、ドリスの首を踏みつけた。

ラーズは、また飛び掛かろうとしたが、一度冷静になり、考え始める。

さっきの攻撃は確実に当たるはずだ…避けれるわけない。

つまり、コイツは何らかのスキルを使った…。


「おい!お前…名前は?」


「俺は、死兆のアイン!君は、ラーズ・ダリファーって言うんだろ?コイツらがずっと口にしてたから覚えたぜ!」


アインは、剣で死体をツンツンしながら、言った。

しかし、ラーズは平常心を保っていた。

アイン…情報とか特にないな。

新しい魔族か?それとも、単に情報がないだけか。

まあどっちにしろ、ここで必ず殺す!

ラーズは杖を上に向け、玲の時に出した魔法を使った。---杖の先からは大量の水が放出された。


「……?何してんの?」


「黙って見とけ」


こいつ…詠唱を言わなかった。時短…いや無詠唱か!結構戦闘慣れしているな!

アインは少しラーズのことを見定めた。


---空に一つの大きな水の球体が出来た。

その瞬間…アインは何かを感じ取る。

あの水の球体…えげつないぐらい魔力を感じる…。

こいつの大技か?いや、もしかしたら俺に少しでも意識を逸らそうとしての罠か?

魔力探知がうまく作動するといいけど…


ラーズは、杖をアインに向けた。


「何?まだ意味わからないことするの?」


「スキル発動…液輪(リングリクイド)


近くの噴水の水がアインの顔周辺に集まり、アインの顔を包み込んだ。

予想外の攻撃…アインは慌て出す。

…さて、どうやって抜け出してくる?


アインは慌てながらも、頭を使って考えていた。

どうする…?俺のスキルを使えば、こんな水簡単に避けれるが、、あいつに気付かれたくないな…。

しかも、警戒して周りにもさっきの魔法で出した

水で小さな玉を作って、まきびしのように空中にばら撒いてやがる。

…やるしかないか!


アインから魔力の反応。

ラーズはすぐに構え、アインを直視した。


「ぐびるばぶどぶ(スキル発動)」


アインが消えた…。

ラーズは驚き、その周辺を観察する。

…魔力の残影!

魔力探知で後を追うと……俺の後ろ!


「あばよ!」


キーン!

ラーズは杖で何とか防ぐが、相手は双剣使い。

片方の剣で、さらに追撃。

ラーズは、杖で受け止め、応戦する。


「ハハハハ!お前、魔法だけじゃなく近接の戦闘もできるのか!!」


「幼い頃、それが出来ないと死んでしまう時代たったからね!」


激しい攻防…両者一歩も引かない。

アインの剣がラーズの頬を擦るが、ラーズは反撃をする。

それをさらに、アインは防いだ。


「幼い頃って…あの厄災の時代か!…確かに、、鍛えとかないと死んでいたな!」


アインは両方の剣を使い、ラーズをぶっ飛ばした。

激しい攻防により、両者はひどく疲労している。


「ずっと…魔王軍の奴らに聞きたかった…。」


「…何をだ?」


「おかしいと思ってよ…20年前に、魔王は倒された…それなのに、今生きている。たった20年で…復活なんて出来るのか…?」


ラーズの問いに、アインは明るく返事をした。


「魔王様は生きてるよ。ちゃんと魔王城にいるし…

もしかしたら、その20年前の魔王討伐が嘘なんじゃない?」


「…そんなわけない。」


ゾクッ!

アインは生まれて初めて、背筋が凍った。

この殺気…。今すぐにこいつをここで殺さないと!

すぐに終わらそうと剣を構えた。


「そろそろ終わりにしよう…」


また…後ろから魔力。

ラーズはサイドに上手く避け、後ろを確認した。

なっ…!!

信じられない…手が浮いている!!


アインは軽く舌打ちをし、ラーズに攻めかかる。

俺は一瞬でアインの身体に何か変化がないかを確認した。

……アインの右腕がない。

鋭い音…ラーズはアインの鋭い剣捌きにより、腹を斬られた。


ぐはっ…。

クソッ!せっかくあいつのスキルが分かったのに…

もろに受けてしまった…。

ラーズは、膝をついたが、気合いで立ち上がった。

そして、アインの方を指差し、強く言う。


「お前のスキルは瞬間移動(テレポート)だな!しかも、部位的!」


アインは図星な顔をした。

まさか、さっきの攻撃で自分のスキルを当てられるなんて思ってもいなかったからだ。

パチパチパチパチ!

アインはラーズの答えに、大きく拍手をした。


「そうだ…俺のスキル瞬間移動は、部位的にも全部にも出来る。優れ物ってわけ!」


すると…ラーズが大声を出し、爆笑する。

その笑い声に嫌気が刺し、ラーズに襲いかかる。


「なに、笑ってんだよ!!」


先程にも増して、速い攻撃…しかもスキルを交互に組み合わせながらの猛攻、絶対に終わりだと誰しもが思った。


…!!

こいつ!俺の攻撃を全て避けただと…。部位的瞬間移動もありの攻撃だぞ!普通に当たるだろ!


「すごく驚いてるな〜。どうやら、形勢逆転のようだな。そしてお前の情報はもう分かった。」

「お前のスキル瞬間移動は、半径10m内しか出来ない。そして、部位の移動は基本的に頭、胴、手、足だろ?」


ーーッ!

今の攻撃だけで、もうそこまで情報を!?

どうやら、こいつ…本物だな。

いいぜ!今度は本気で---


ドバーーン!!!

何と先程、ラーズが空に作ったでかい水の球体が、アインを飲み込んだ!


とてつもない…衝撃、アインは少し気を失うが、、何とか意識を保った。


しまった…これの事を忘れていた。

また息が出来ない…でも大丈夫だろ。

スキルを使ってしまえば、出れる……。

………まさか!!あいつ!


ラーズは、水の中に閉じ込められているアインを見て、フッと馬鹿にしながら微笑んだ。


このままでは、俺は負ける!死ぬ!

まさか…こいつがここまで出来るとは…

この水は、魔法で生成した水!そして魔力が染み渡っている水。略して魔水。


スキルでも、珍しいのが他の人にもスキルを付与することが出来るものだが、魔力単体は付与出来ない。

つまり、俺の魔力とラーズの魔力は反発し合っている!

そして今!…ラーズの魔水は、俺の肌、髪全てに貼りついている。


…俺のスキル瞬間移動は、中央を俺とする為、魔力を出し、原点を作り、そこから半径10m以内の座標全てに瞬間移動出来る…。

原点を作るには魔力を出す必要があり、今俺はラーズの魔水によって、魔力を出せる隙間がなく、魔力を出せない!


スキルの使用が出来ない!


無理矢理出そうとしても、反発によって押し返される。しかも水と魔力を混ぜている為、密度が大きい。つまり、水圧が高く、身体が重い。

アインは、かき分けながら出ようとするが、魔水はドロドロとしており、進むのに一苦労する…

そして…ラーズもこの球体をスキルで押さえ付けているので、水圧が高くなり、アインの身体をさらに重くした。


--少しでも気を逸らして、苦しさを和らげるんだ。

考えろ…俺はどうやって魔力無しで、この水の球体を脱出する?














読んでいただき、ありがとうございます!

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