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スキルが一つしかない世界で、魔王は倒せますか?  作者: けいけき
北の都市メリティ・レイバース
26/29

26話 笑い

読んでみてね!

魔王軍幹部等の執事ゼバス・モーラー

私は長年にも渡り、幹部様の実態に向き合った。

そして…全ての魔族に認められた。


ゼバスが、口を押さえながら笑い出す。


「失礼ですが、私に弱点などございませんよ。あまり無駄な嘘をつかない方がよろしいかと…」


「…確かに、アンタ強いよ。でもどんなに強い奴でも弱点は必ずある。」


ゼバスは笑うのをやめ、玲を睨みつけた。

それはゼバスの地雷を踏む事でもあったからだ。


…貴方には分からないでしょうね…。

絶対的強者を。私が幹部になる為にどれほど努力したかも…。

強い奴でも必ず弱点はある?そんなくだらない理屈は今ここで棄てるべきですよ。


「現実を見た方がいいですよ。ここから先、貴方は自分の人生(キャンバス)に泥を塗る事になる。」


「ごちゃごちゃ言ってねーで、さっさと来いよ!」


ゼバスは小さな声で、玲を罵倒し、深くお辞儀をした。

ビュン!!

速いな…でも、慣れた。

ゼバスはスキル「三乱進(ブースト)」を使用し、一気に玲と直面しようとする。


どうせ、あのガキは「三乱進(ブースト)」の弱点は

発動した際の身体の軌道を変えれないとか思ってるんでしょう。そして避けて一気に畳み掛ける。

確かに軌道は変えられないが、使用した後の事を考えれば、問題なし。

ガキ…お前は何も分かっていない!

経験不足過ぎるぞ!


玲が、ゼバスの「三乱進(ブースト)」を避け殴る。

ゼバスの予測が的中。

玲は勢いよく殴り蹴るが、全て素手で受け止められ、さらに反撃(カウンター)を食らってしまう。

急所を狙った攻撃…玲は、口から吐血してしまい、膝に手をついた…。


「貴方の考えている事なんて、全てお見通しです。

今すぐに負けを認め、ここを去るなら見逃してあげましょう。」


ここに来て、ついに玲の身体に、異変が起きる。

疲労や暴力の蓄積によって、玲の身体は悲鳴を上げ始めた。

初めてだよ…すぐに負けを認めて逃げたいという気持ちになったのは。

でも…まだだ、ゼバス…あいつはまだ勘違いしている。お前の弱点はもう一つある!


玲は、脚で踏ん張り何とか体を起こした。


「しぶといですね〜。勝負はもう着いてるのに」


俺はゼバスに向かって手招きをし、少し挑発する。

その言動にムカついたのか、ゼバスはさらにギアを上げた。


「ふん!!」


ゼバスの全力。その速さ…銃弾とほぼ変わらなかった。

三乱進(ブースト)」は例えるなら猪突猛進。

真っ直ぐにしか進めない。

俺はゼバスの突進を避け、さらに距離を取った。

すぐにゼバスは振り返り、構えをとったが俺が遠くにいる事を確認し、安心した。


「いつまで避けるのですか?もう終わりでしょう。」


「残念ながら…俺にはまだこれがあるんでね。」


玲のポケットから、ある物を取り出し、それをゼバスに見せた。

ゼバスはそれをじっくりと観察し始める。

…アレは黒い物体か?そんな物で何が出来るというのだ?


俺は、ゆっくりとそれを組み立て始める。

そう…これはクリファから貸してもらった折りたたみ式黒龍斬剣だ!

ゼバスはそれを見て、少し関心をし、興味を示した。まるで新しいおもちゃを見る子供のようだ。


「その剣で、私を切るつもりですか?」


「内緒♡」


ふ…その口今すぐに閉ざしてやる!

またもや、ゼバスの「三乱進(ブースト)」が玲を襲う。

…!!

なんと、玲は突進してくるゼバスと向かい合い、ぶつかろうする。


バカが!自ら負けに来るとはな!

---ドン!!


痛い音が、周囲に伝わる。

ゼバスは、その衝撃で後ろにぶっ飛ぶ。

--ッッ!!何という衝撃…でも、確実にガキにぶつかった!…お前もぶっ飛ばされただろ!


ゼバスは、地面に落ちながら、玲の方を見た。

…!ゼバスは玲を見て驚いた。

それは、ゼバスの望んでいた答えではなかったからだ…


なぜ、飛ばされていないんだ…あの衝撃でぶっ飛ばされないのは無理がある…。

なにか理由があるはずだ…。

ゼバスは玲の身体そして周り、全てを確認した。

…なるほど。あの黒い剣。

ぶつかった瞬間、ガキが黒い剣で私を攻撃しようとし、黒い剣は私とガキの間に入り、ガキの盾となった。


でも…それだけではない。

あの剣からは何も魔力が感じない。

正に無…やはり、あの剣!

何か能力があるのではないか、そう魔力の緩和とか。結局それしか思いつかなかった、すぐに体勢を立て直さなくては…。


「おい、もう終わりだぜ…」


玲がゼバスの背後まで、移動し叩き潰す構えをしていた。


--なっ!速すぎる…まさかこいつ、脚が速くなるスキルか!


「お前のスキル「三乱進(ブースト)」は、三回使用後休止時間(クールタイム)が必要になるんだろ?それがお前の弱点だ!」


ガキがぶつかったのは、休止時間(クールタイム)を狙ってか!

完全に無防備…このままじゃ負けるな…。


ゼバス…こいつのスキルは何かを蹴らなきゃ発動できないはずだ。

こいつが嘘をついている可能性だってある…なら、わざとぶつかり空中にぶっ飛ばせば、何もできない!


玲が、ゼバスに斬りかかる。

ゼバスは絶対に避ける事ができない。

しかし…ゼバスの表情は、焦りではなく、不気味な笑みだった。


--ドン!

な、なんだ!?急にゼバスが近づいてきた…。

スキルは使えないはず…。


二人はその衝撃で地面に転がった

ゼバスは、すぐに立ち上がり、玲に向かってお辞儀をした。

それは煽りでもなんでもなく、ただの感謝だった。


「ありがとう…君のおかげで自分の弱みと向き合えた。君に感謝を…」


「…さっきの攻撃、確実に当たる攻撃だった。どうやって避けた?」


ゼバスはお辞儀をするのをやめ、ゆっくりと顔を上げる。その瞳は、とても清かった。

ゼバスは、玲に「付いてきて下さい」と言い、ベンチの方へと移動した。

ゼバスはベンチにゆっくりと腰を下ろした。それを見て俺も座った。

そして、ゼバスはため息をつきながら、空を見上げた。


「島坂玲様…空を見てください。」


…?俺は言われた通りに空を見上げ、雲を見つめた。


「あの鳥は、なぜ飛ぶのか…なんて考えた事はありませんか?」


「うーん。餌を探す為とか?」


「それも一つの答えでしょう。」


ゼバスは、空を見るのをやめ、次は噴水を眺めた。

俺は飽き飽きとしながら、その視線の先を追った。


「さっきの質問にお答えします。」


ゼバスは、「私の指を見て」と玲に言った。


「一つ…私は嘘はつきません。私のスキル「三乱進(ブースト)」は一度に三回使用でき、三回使用後は休止時間(クールタイム)に入ります。」


ゼバスは、自分の指を折ったり、広げたりしてわかりやすく説明しだした。


「二つ目、さっきの玲様の攻撃が当たらなかったのは、私がスキルを使用したからです。」


「いや…でもそれだと辻褄が合わなくなる」


俺は、さっきまでの戦闘を振り返り、少しずつ思い出していく。


「一回目は俺は避けて、反撃を食らった。二回目も避けて距離を取った。三回目はお互いぶつかった…

それで休止時間に入るんだから、スキル使用できないだろ!」


「そうです…それが私の狙いでしたから。……その前の攻撃の時、貴方にパンチをし、さらに追撃をした時がありましたね?あの追撃の時、私はスキルを使用しなかった。…わざと。」


あの追撃の時…あ〜最初の時か!

じゃあつまり、俺が避けた時は三回目ということか。それで、喋って時間稼ぎか〜やられた〜

俺は頭に手をつけ、自分の失敗を振り返った。

それを見て、ゼバスは立ち上がった。


「…私のスキルは、何かを蹴って発動ではなく、体の向き…体の軸が指している方向に、進みます。……なので、さっきの空中にいた時も、玲様の方に身体が寄っていたから、使用して攻撃を避けた感じです。」


玲は、痛感した。

ゼバスという、魔族にまんまとハメられ、俺の考え全てを読まれていたからだ。

こんな相手初めてだ…。


「もしかして、魔王軍で結構強いお方ですか?」


ゼバスは、口を開け、大笑いする。


「幹部になれない時点で、弱い方ですよ…。」


俺はベンチから立ち上がり、杖を持って自分とゼバスを魔法で回復した。

それに驚いたのか…ゼバスは、後退りした。


「これは…回復魔法…玲様はサポーターなのですか?」


「そうだよ!でも…全然役に立てなくてさ…」


玲の落ち込んだ表情を読み取り、ゼバスは少し過去の事を話した。


「私は、幼い頃から魔王軍の執事として皆の世話をしてきました。何百年も前から…しかし、私は弱かった。そして同胞達は皆、冒険者に殺された…。

…貴方を見ていると昔の自分を思い出した気がしまして、これも何かの縁ですね。」


「ゼバスさん…アンタ結構いい人だね!」


ゼバスは、ゆっくりとその場を立ち去ろうとする。

そして、俺に一つ忠告をした。


「玲様…北西に行かない方がいい…死にたくなければ…」


俺は、その忠告を聞き流し、北西へと向かった。












キャラクター紹介

名前 ゼバス・モーラー

年齢 不明

スキル 三乱進(ブースト)

見た目 おじいさん執事

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