25話 囮
糖分が足りない…
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「おいおい、いくらなんでもやり過ぎだろ」
無数の衛兵が切り刻まれ、死体の山となっていた。
もはや原型すら想像することはできず、跡形もなくぐちゃぐちゃにされていた。
「まさか、魔族が一人で都市に攻め込んでくるなんて…」
「……君たちは?」
アインはぐちゃぐちゃにされた死体を気にせず、平然と踏んだ。
それに赫怒したメリティ騎士団の兵士は剣を抜き、アインを睨みつけた。
「我らは、北の都市対魔族兵団、メリティ騎士団だ!民間人そして国の衛兵を惨く斬殺した貴様を今ここで殺す!!」
「…あ〜君たちか〜!さっきの衛兵がずっと叫んでいた騎士団は!」
アインは顔に付いた血を手で拭い、狂気的な笑みを浮かべる。
とてつもない殺気…騎士団全員が、怖気付いた。
そしてほんの一瞬、剣を留めた兵士をアインは見逃さなかった…。
ザシュッ
……!!
騎士団全員は言葉を失った。
なぜ…後ろにいた兵士が斬られた…?
前の兵士が壁になっていたはずなのに…
しかし、今は魔族との緒戦中…アインは、油断をし剣を下ろした兵士に襲いかかった。
「なッ…!!」
全員が剣を構え、戦闘態勢に入るがアインのスピードは桁違いだった。
次々と仲間が切り裂かれ、血飛沫が空中に舞う。
誰もアインに攻撃を当てれない…全て軽々しく避け、カウンターを決める。
その圧倒的な力を前に、メリティ騎士団は引き下がる…
「こんなもんか…メリティ騎士団…」
「…お前何者だ!」
アインは剣に付いた血を、血振りして落とした。
そして…騎士団の方を見て言う。
「俺は、魔法幹部死兆のアイン…お前達の中で一番強い奴を出せ!」
その名を聞き、騎士団全体はざわつき出す。
魔王幹部の一人…死兆のアイン…
頭部から汗が滴れる。
すると、兵士の一人が前に出て大きな声で言った。
「…残念ながら、お前は会えないぞ!」
「…なんで?」
不思議そうな顔をするアイン。
その目には光なんて物は無かった…唯の無。
……唾を飲み込んだ。
「…俺達がお前を倒すからだ…!」
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北西方面に行く道中…
玲とラーズの前に一人の魔族が現れる…
そいつは、執事の様な格好をしており、身だしなみをきちんとしていた。
ラーズが、そいつを睨みつけ杖を構えた。
「初めまして…ラーズ・ダリファー様。貴方に出会えて私はとても光栄でごさいます。」
「お前は…魔王軍の連中か?」
しっかりとラーズにお辞儀をし、ゆっくりと顔を上げ、「はい、そうでございます。」と答えた。
「悪いけど、すぐに落ちてもらうぞ!」
ラーズがスキルを発動し、近くにある噴水の水を操る。
そして、一気に玲の時みたいに顔全体を水で包み込もうとした。
…ラーズさんのあの技を避ける術が見つからない…
あれを食らってしまったら絶対に負けてしまう。
その瞬間!
目の前にいた執事は一瞬で消え、ラーズさんの背後を取っていた。
俺は気づくことすら出来なかった…。
ラーズさんはすぐに護りの態勢に入るが、その執事は攻撃をしてこなかった。
ラーズは一定の距離を取り、杖を下ろした。
「お前…どういうつもりだ!」
ラーズは彼に質問をした。
「私の役目は…ラーズ様がアイン様の元へ行かせない。いわば、囮です」
「なるほど…アインという奴が北西にいるんだな。……じゃな早くお前を倒さないとだな!」
ラーズが殴ろうとするが、全て華麗に避けられまたラーズの背後を取った。
「…北の都市到着から経過した時間、16分。あと20分は粘れそうですね〜」
考えろ…俺、今のやるべき事を…!
今優先すべきは北西に行く事…そしてラーズさんをその場所まで進めること!
今俺がすべきことは…!
---囮だー!!
「ラーズさん!俺がこいつの囮になって引き付けます!その間に北西へ--!」
その言葉を聞き、ラーズは一気に走り抜けた。
猛スピードで。
しかし執事は、とても冷静で落ち着いていた。
「…いい作戦ですが、貴方では私に勝つ事は出来ませんよ?」
「おいおい、アンタが言い出したんだろ?俺もアンタがラーズさんの元へ行かせないための囮だ!」
その言葉を聞き、執事は一瞬ポカーンとし、クスクスと笑い出した。
そしてまたお辞儀をして、挨拶をし出した。
「私は、ゼバス・モーラーというお名前でございます。対戦よろしくお願いします。」
「俺は島坂玲…対戦よろしく。」
時間稼ぎとか言ったけど、本気で叩き潰す!
さっきのを見て、こいつはとんでもなくスピードが速い!
俺よりも全然…。
「ほら、もう勝負は始まってますよ?」
耳の近くから聞こえた気色の悪い声…。
俺はすぐに後ろを振り返り、蹴ろうとする。
しかし甘かった…。簡単に避けられ、カウンターを食らってしまった。
「グハッ!!…クソッいって〜!」
顔面にモロ食らった…あいつどんだけ速いんだよ。
ずっと見ていたのに…一瞬で見失った。
でもようやく気づいたよ…このスピード…。
あいつのスキルか!!
「お前のスキルだろ!一瞬で俺やラーズさんの背後を取った桁違いのスピードの正体は!」
ゼバスはニコッと笑い拍手をし、俺を褒める。
「その通りでごさいます。私のスキル三乱進は一度に三回トップスピードを繰り出す事ができるスキルです。」
「わざわざ…説明ありがとよ!」
トップスピードを三回も繰り出すか…。
自身が完全に停止した状態でも、一気にトップスピードに乗る事ができるのか…
俺の上位互換的な存在…厄介な敵だ!
俺はスキルを使用し、ゼバスの周りを素早く回り込み背後から殴ろうとする。
しかし…ゼバスには届かない。
俺のパンチを避け、顔面にパンチ!そしてさらに追撃!
俺は、顎を殴られ地面に膝をつく。
…三回だった、本当に。
一回目は俺のパンチを避けて、二回目は俺の顔面を殴り、三回目はさらに殴ってきた。
止まって動いて…止まって動いて…
俺は、すぐに立ち上がり鼻血を拭って拳を構える。
「ゼバス…お前の弱点がようやく分かったぜ!」
ゼバスは、唖然とし俺の方を見つめる。
さっきの攻撃を食らって私の弱点なんてわかるものなのか?という表情をしている。
「…面白いです。では、次は本気で打ちますよ!」
「来いよ…!次の攻撃で確実に終わらせてやる!」
キャラクター紹介
名前 アイン
年齢 不明
異名 死兆のアイン
スキル 不明
魔王幹部の一人




