ちょっと変な規約変更の話

　規約変更の話が出ていました。項目的には

「23．なろうデベロッパーで提供しているAPIを利用する以外の方法で、本サイトに自動化された手段を用いてアクセスしたり、データを収集したりすること。」

　を追加するという事です。これは、意味的に全く新規の追加ではなく、「禁止事項を明確化する」という事だそうです。

　カドカワグループのランサムウェアから始まって、なろう・カクヨム・ハーメルンとか一斉にDDoS攻撃を受けたという事もありますが、これはもともと違法行為なわけで、多分規約改正はこちらを対象にしたものというわけでは無いでしょう。

　だとすると、これはやっぱりサードパーティの野良アプリによる小説内容のオフライン読み込みのためのダウンロードを意図しているという事だと思います。先の、公式アプリの発表とも絡んできていると考えるのが自然ですね。

　と言う訳で、普通の「ユーザ」のみなさんは、少なくとも今後は、野良アプリでのアクセスは控えるのが妥当かと考えます。もちろん、以前も黙認であって、許容されていたわけでは無いのでしょうか。

　でも、よく規約を読んでみると少し変なんです。

　一条二項に、「本利用規約に同意の上、ユーザはサービスを利用する」とあり、一条三項に「ユーザは本サービスを利用することにより、以下に記載されている本利用規約の内容について同意したものとみなされます」とあります。なんか、昔のパッケージソフトの「シュリンクを破ったら利用契約に同意したものとみなす」というのを思い出すような。

　さすがにこちらは、シュリンク破らなければ利用契約書を読めないのに、というわけで、CDのパッケージに封印をし、この封印がはがされたら契約、契約内容に不満があり、封印をはがさない場合は返品・返金を受け付ける、なんていうのが主流になりましたが。

　ここで、「ユーザ」とは何かというと、二条五項に「ユーザとは、本サイトを利用するために会員登録している者をいいます」と定義されています。つまり、登録ユーザーのみが「ユーザ」であると定義されているわけです。逆に言うと、未登録ユーザーは「ユーザ」ではなく、「ユーザ」の義務である十四条の禁止事項の制限は受けないわけですね。

　実際には、「ユーザ」は書き手、あるいは評価や感想を書く読み手、を想定していると考えられます。これらの、主にサーバーにデータを保存する行為がシステムの利用行為であり、単に読むだけの行為は必ずしも利用行為とは考えられていない感じがします。

　まあ、任意団体の最大の罰則は除名、という事になっていますので、禁止事項に違反した場合の最大の罰則はBan。逆に言えば、非登録ユーザーは罰則を与えようがない、という事になります。

　という事で、非登録ユーザーは今回の規約変更の影響を受けず、野良アプリを使い続けても影響はない。悪影響をこうむるのは登録ユーザーだけ、という事になるわけで、それはちょっとなんだなあ、と思わないでもないです。

　もともと、ユーザー登録の有無にかかわらず、広告が表示されさえすれば運営にお金は入ってくるわけで、本来登録の有無は収益的には関係が無いのですが、広告を表示しないオフラインリーダーが増えるとそれはまた困るわけで、なのに本来対象としたい非登録ユーザーは今回の規約変更では縛れない。そこがおかしなところかな、と。

　別段登録せずとも、一条二項にあるようにサービスを利用するなら規約に縛られる、という形に持って行きたいところはあると思うのですが、現状例えばGoogleで小説のタイトル検索を掛けると、直接小説の目次に飛べたりします。つまり、規約を強制的に確認させられる機会が無い。それでは、非登録ユーザーを規約で縛る事はできないでしょう。かといって、年齢確認みたいに毎回規約を表示し同意を取る事は現実的でない。

　ならば、ということで将来的に、例えば連載の場合ログインしないと3話目以降は読めない、とか登録を強く勧誘する施策が取られる可能性は無いではないですね。もっとも、こんなことをしたらよそのサイトにユーザーが流れる可能性はとても高そうですけれど。

　そういえば。規約で18未満の「ユーザ」はアダルト系のコンテンツにアクセスすることは禁止されていますが、非登録ユーザーはこの規約に縛られていないので、登録しない限りノクタなりを読んでも規約違反にはならない、という事になりますね。これもまた、なんかおかしいかも(まあもっとも、年齢確認は表示されるのですが)。

　あとは、追加規約を考えると、自分のデータであっても、例えば書いた感想や付けた評価の項目を自動でダウンロードし集計する、なんていう事は違反行為に当たる可能性が出て来てしまいますね。これはちょっと辛いかも。そろそろ書いた感想が5桁に乗るので、この機会に内容をダウンロードして集計しようかと思っていましたが、そう言ったのも禁止されるかな。

　そして、それより。本来ならシステムが用意すべきだと思うのですが、「書いた小説を全部一括してダウンロードできる」機能。少しの数なら個別にダウンロードしても問題は無いのですが、1000件近くも小説を投稿されている方は、手動ではちょっと無理。自動で運用する拡張機能でも作ってみようかとか思ったりしましたが、もしそういった事も禁止するのであれば、是非にも、全作品一括ダウンロードの機能は実装してもらいたいものです。

　ま、この辺りは、実際にはセミオートで実行しても、バレないとは思うんですけれどね……