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コツコツ

すっかり辺りは夜になってしまった。

午後九時以降になると町最大のスーパーマーケットが閉店してしまうので、街灯だけがこの町を暗闇から守る最後の砦である。


しかし、今日は酷く疲れた。

上司からお小言を一時間にわたって聞いたのちに、部下のやらかしたミスをカバーしていたらこんな時間になってしまった。


コンビニすらない無人駅では夕食を買うことすらままならない。

まだ冷蔵庫に冷凍食品があったかなと考えているといつもと違う通りにでた。


やってしまったものだ、上司からも集中しろと怒られていたのが今更身にしみる。

携帯の地図アプリで確認したところどうやら大きく帰宅ルートを外れているらしい。


急いで帰らないと明日も八時出社なので睡眠時間がなくなってしまう。

マップが教えてくれるルートを急ぎ足で歩いて行く。


コツコツ


急いでいるあまり気がつかなかったが私以外にもこの辺りを深夜23時に歩いている可哀想な方がいるらしい。

音からしてヒールの音なので女性なのだろう。


顔を見たい気持ちになったが、成人男性が人気のない夜道で後ろを急にふり向うものなら通報モノなので控えておいた。


コツコツ


どうやらヒールの彼女は私と同じ方向へ向かっているようだ。

顔も見ていないが親近感が湧いてきてきた自分を少し気持ち悪いと思いながら角を曲がる。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------

コツコツ



かれこれ自宅に向かうほど十分。

角を五度曲がったがまだハイヒールの音はまだ聞こえる。


しかも気がついたのだが、音は私のちょうど五メートル後ろから等間隔で聞こえてくるのだ。

先ほどまで妄想をしていた私だがここまでくると恐怖心が覗き始めた。





もしかして()()()()()()()()()()()()()()()()





そういった恐ろしい妄想が頭をめぐりはじめた。

なんとかまかなければ。



コツコツ

自宅の位置がバレないよう意識をしながら競歩で夜の町を駆け抜ける。

しかし、音は一定の距離を保ち聞こえ続ける。



もはや走っている私の背後から同じハイヒールの音が一定で聞こえ続ける。

コツコツ


もはや気が気ではない私は全速力で駆け抜ける。




カッ カッ カッ


全速力で走っても通常速度で追いついてくる化け物が走り出した!!

もうだめだ、振り返って戦うしかない、それしかない!!


この後おこる最悪を考えたが何も抵抗しないよりかはマシだ、私は覚悟を決めて背後の何者かと対峙した。



ーーー目の前には誰もいなかった。


そして音は私を通り過ぎて少し先の街灯で止まった。

そして30秒ほど経ったのち今度は違う音が聞こえた。


コツコツ   トントン




遠ざかる()()()()()を聞いて、

なんだ、やっぱり男かとがっかりした私だった。








お後がよろしいようで

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