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すすけ柘榴 柘榴すすけ

炭鉱に一粒の柘榴があったそうです。

元々そこにあったわけではありません。


彼は近くの林にたくさんなっていた柘榴の実の一つでした。

しかし、風に煽られ身は落ちてコロコロコロコロと転がります。

途中で犬に喰われそうになったり、大雨に流されそうになりました。

それでも気を取り直して転がり続けこうして炭鉱に転がっているのです。


鉱夫は気づかず横を通り過ぎます、彼は誰にも気づいてもらえません。

いつぞや彼の体は煤けてしまいました。


それと同じくして彼には意識が生まれました。


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なぜ私はこんな所にいるのだろうか。

何故動けもしないのに人と同じ意識を持ったのだろうか。

そもそも人とはなんなのだろうか。

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考えても誰も答えなんて教えてくれません。

そうしてるうちに彼の体は朽ちて風となり空を飛んで行きました。


意識が消える瞬間に何処からか声が聞こえました。


「ちっ、こんな炭鉱に意味深に落ちていたから柘榴に取り憑いてみたけれどとんだ時間の無駄だったぜ。」


意味のない生涯ではあったけれど柘榴はそれでも満足しました。

そして声にならない声で言いました。


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考えることこそが人だと学べただけ僕の人生は幸福だったよ。

ありがとう、柘榴すすけさん

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お後がよろしいようで

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