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第15話:命令する側の度胸が足りない……

前回のあらすじ


カイジンニキス港国内で大暴れする山賊のボス『ノブナ』と対面するオラウ。

が、どうも織田信長の生まれ変わりっぽいのですが……証拠不十分で有耶無耶になりました。


一方、サカシラはカイジンニキス港国国民の強制疎開を決定!

スイゲンが動き出す前に国民を避難させようとします。

ところが!


「お前達はさっさと帰宅して、ずーと家に引き篭もれ!」


なんとなんと、

既にメッガーネ・グシラと裏取引していたカイジンニキス港国元老院が、既にカイジンニキス港国国民に避難禁止を命じていたのです!

そんな事されたら、ムソーウ王国とスイゲンとの戦いにカイジンニキス港国国民を巻き込んでしまいます。

そこで、


「なら、質問を変えよう。ただ、その前に言っておく、今から言う質問への台詞は『はい』と『いいえ』の2つのみとし、それ以外の台詞を申した者は作戦漏洩罪の名目の下……殺す!」


オラウは、カイジンニキス港国国民の命とムソーウ王国の誇りを賭けて、カイジンニキス港国元老院傘下の兵士達との舌戦に挑むのでした。


へべく!

「なら、質問を変えよう。ただ、その前に言っておく、今から言う質問への台詞は『はい』と『いいえ』の2つのみとし、それ以外の台詞を申した者は作戦漏洩罪の名目の下……殺す!」

「馬鹿もぉーん!そんな事をしてる暇が有ったら―――」

豊臣秀吉(わたし)は、目の前の兵士を思いっきり殴った。

「大事な事なのでもう1度だけ言う。今から言う質問への台詞は『はい』と『いいえ』の2つのみとし、それ以外の台詞を申した者は作戦漏洩罪の名目の下……殺す!」

それでも、目の前の馬鹿隊長は豊臣秀吉(わたし)の言葉を無視して、ただひたすら民草に帰宅を強要するのみじゃ。

この場所が何時凄惨な戦場になってもおかしくないと言うのにだ。

「そこぉー!何をしているぅー!?外出禁止だぁー!早く帰宅せんかぁー!」

豊臣秀吉(わたし)は、余計な事を言ったら殺すとハッキリ言った。

ならば……

「た!……たいちょおぉーーーーー!?」

あー、スッとした。

だってこいつ五月蠅いんだもん。

しかもこいつ……ほとんどの民草はこの隙に一目散に逃げだしおった。

心配するのは一部の兵士のみ。

こいつ、人望無いなぁー?

こいつ、普段から権力に物を言わせて威張ってたのが目に見えるわい。

で、こいつの事を対して心配しなかった男が豊臣秀吉(わたし)の方を向いた。

「先程の質問の答え、ハッキリと言おう。『いいえ』だ」

「ちょっと待てちょっと待て。私はまだ、何も言っていないぞ」

どうやらこの男……先程豊臣秀吉(わたし)に殺された馬鹿隊長よりは元老院に毒されておらず、それでいて芯が通っている様じゃな?

「君の質問の内容なら、既に知っている……我が軍からエイジオブ帝国が送り込んだあの島を倒す方法を訊き出そうとしたのだろ?」

この男、度胸もあるし搦手にも強そうだ。

ここまで言われたら、「言った」としか答えられないな。

「故に、この俺の口から出る言葉はただ1つ……『NO』だけだ」

呆れたな……

カイジンニキス港国元老院とやらが出した今回の強制帰宅命令、自国の民草を生贄にしてまで私達ムソーウ王国の足を引っ張り、その上でエイジオブ帝国相手に有利な交渉を行おうと言う……

領地のなんたるかを何も解っていない臆病マヌケ政治家が考えそうな愚策よ。

お陰でほれ、強制帰宅命令を無視して逃げ出す民草がどんどん増えておる。

「そんな事より、お前の所の民草、お前達の帰宅命令を無視して逃亡しておるぞ?」

「……そうだな」

「追わんのか?」

「はい!」

ここに来て、『はい』と『いいえ』の2つのみと言う制約が効きおった!

本当に意地悪なやっちゃなぁ。

「ならば、この質問に対しては『はい』と『いいえ』以外の言葉でハッキリと言ってくれ」

「……解った」

「お前にとって、軍隊とは何だ?」

男は、少し残念そうな顔をしながら少し悩み、そして、こう歯切れの悪そうな台詞を述べた。

「国の財産と利益を護る者……と信じて戦ってきたのだが、今回の元老院の強制帰宅命令により、私の中の最後の信仰は、今日、死に絶えました」

やはりこいつ……忠臣としての芯がちゃんとしっかり通っている。

豊臣秀吉だった頃の私なら、即スカウトしていたのだがなぁ。

カイジンニキス港国元老院の馬鹿共が自分だけを守ろうとした結果、とんでもないお宝をドブに捨ておったわ!

「で、今度はこちらが質問したい」

「なんだ?」

「何故我が国の国民に疎開を強要した?」

「ふっ。理由は2つじゃ。1つは、あの船と戦う上で民草が邪魔だからじゃ。民草を庇いながら戦うと言う事は、その分こちらの動きが制限され、前に突き進めずに大胆な戦術も出来ない。だから民草には勝手に逃げて貰う事にした」

「かなり乱暴で傲慢な言い方だが、確かに道理であり辻褄が合うな……で、もう1つは?」

「土地を耕す民草が1人もいない領地を貰ったところで、ただの足手纏い。とんでもない粗大ゴミじゃ!」

「変わった子だな君は。かなり乱暴で傲慢な言い方なのに、つい頭を縦に振りたくなる」


で、この忙しい時に信長様に酷似したあの男が……ノブナの馬鹿が来おった!

「何故逃げる?逃げた所で上の糞共に奪い尽くされるだけだと言うのに!」

それは、アンタが強いから言える事!

そう言う無責任な事を言われた民草が何をしでかすか、解って言っておるのかこいつ。

先程の男もそう思ったのか、ノブナに食って掛かる。

「ここに残って戦えだと?それは我々軍人の仕事であり国民に強要する事ではない!勝ち目が無い戦いに国民を参加させる事こそ、自国を辱め堕とす愚行よ!」

「つまり御2人さん、戦いたい奴だけ残り、それ以外はさっさと逃げろと言うのか?」

ノブナとあの男とで、意見が真っ二つに割れおった。

「その通りだ」

「違うな」

「なんだと!?」

そして、ノブナが無責任に持論を口にした。

「つまりお前は、戦う力が無い弱者は強盗の愚行を観て見ぬフリをしろと?そう言いたいのか?」

「その強盗に敗れ殺されたらどうする?死者にとって金は無用の長物。貴様のその言葉、命を失う事がどう言う意味かを知らぬ者の言葉よ!」

「では、その強盗を野放しにするのかお前は?」

「その強盗に勝てる者が、その強盗をたっぷり懲らしめてやれば良い事!それこそが強者の役目であり責任だ!」

つまり、強者が悪党を叩きのめせば済むって事か?

私達ムソーウ王国と同じ事を考えおるな。

だとすると、あのひねくれ者のノブナの次の言葉が容易に想像出来るな。

「で、その強者が強盗だったらどうする?」

「な!?」

あの男は遂に言葉に詰まった。

ノブナもそれを察したのか、ここぞとばかりに畳み掛ける。

「つまり!今目の前にいるカイジンニキス港国元老院は、強盗に成り下がった強者よ!」

「ぐぬぬぅ……」

自国の政治家がノブナに散々馬鹿にされているのに、あの男は返す言葉を失ってだんまりしている。

どうやら、カイジンニキス港国元老院が自国の民草に命じた強制帰宅命令に対し、こやつも思うところは有ったと言う事ね?

だとすると……本当にご愁傷様。

で、もうこの男と話す事は無いと感じたノブナが、今度は逃げ惑う民草達に話しかける様に怒鳴った。

「いいか!戦とはそう言う事ぞ!家が焼かれ、家族が殺され、弱い者は土地を奪われる!戦を無くすにはどうすれは良いか、何故戦が起きるか考えろ!」

ここで漸く、ノブナに言い負かされた男が口を開いた。

「この戦いの原因だと……そんなの決まっている!あんな化物の様な島をこの国に送り付けたエイジオブ帝国が悪いのだ!」

が、へそ曲がりなノブナはそこを曲げて答えを出した。

「お前達の上に立っている元老院が呑気で遅過ぎるから、あんな馬鹿デカい船が堂々とここまでのこのこと来れたのであろう?戦が起きるのは、それは上に立つ者が馬鹿者だからじゃ!」

ノブナの奴、本当にあの信長様の様な事を言ってくれる。

だが、現実はそこまで甘くない。

現に、信長様は天下統一を成し遂げる事が出来ず、信長様の部下だった豊臣秀吉(わたし)が永い年月を掛けて漸く成し遂げたものじゃ。

ノブナよ、現実を知れ!

「で、その人の上に立つべきではない馬鹿を皆殺しにするのに、いったいどれだけの年数が掛かるか本当に解っておるのか?」

「オラウとやら、天下統一は戦を無くす方法に非ず!……とでも言う心算か?」

「いや、豊臣秀吉(わたし)は天下統一そのものを否定する心算は無い。それに、国をひとつにまとめる考えは間違ってはおりますまい。しかしながら、力で押さえ込めば、新しい敵が次から次へと蛆虫の様に湧いて出ましょう」

ノブナの奴、この豊臣秀吉(わたし)を鼻で笑いおった。

「なるほど。お前の様な奴がか」

で、ノブナはふとスイゲンの方を視る。

「ま、どっちにしろあの馬鹿デカい船をどうにかせんと……何も始められん。その事実に、嘘偽りは有るまい?」

「つまり、このお話の続きは、あそこに有るスイゲンを沈めてからと言う事か?」

その時、ノブナはニヤリと笑った。


一方、カイジンニキス港国元老院との密約を終えたメッガーネが意気揚々とスイゲンに戻って来た。

「さて、ムソーウ王国はカイジンニキス港国全国民の疎開を決定したそうですが、これで、ムソーウ王国とカイジンニキス港国元老院との激突は決定的でしょう」

それを聴いたヨツメが首を傾げた。

「何で?」

「『何で?』!?ヨツメさん、貴方はもっと、欲深い政治家の生態を勉強した方が身の為ですよ」

そこへ、伝令兵がやって来て、首を傾げながら報告した。

「報告します。カイジンニキス港国元老院が突然戒厳令を敷き強制帰宅命令を下しました。如何いたしましょう?」

メッガーネにとっては正に計画通り。

意気揚々と指示を出した。

「慌てる必要はありません。予定の時刻になったら、予定通りに砲撃を開始します。それまでに、出来るだけ多くの機動キャノンガリオン船を完成させなさい」

「は」

伝令兵が退席すると、ヨツメが嫌な予感がしながらメッガーネに質問する。

「メッガーネ……お前、その元老院とやらに何をした?」

だがはぐらかすメッガーネ。

「さぁー。わたくしめはただ、元老院の皆様方に生存の秘訣をお教えしただけですけど」

「……本当にそれだけか?」

そこへ、さっきとは別の伝令兵が慌ててやって来て、片膝すらもどかし気に報告した。

「伝令!カイジンニキス港国の各町でデモが発生しております!如何いたしましょう!」

その途端、メッガーネが怒りに任せて怒鳴った。

「あの役立たず共ぉーーーーー!これでは話が違うではないか!」

カイジンニキス港国がメッガーネの思惑通りに動かなくなった事を察したヨツメは、これを復権のチャンスと見た。

(これは……このタイミングでオラウの馬鹿女を倒せば……)

ヨツメは叫びたい気持ちを抑えながら、静かに退室して急ぎ出撃の準備をするのであった。

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