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〇〇したい女の子たち  作者: 車男
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触りたいふれあちゃん

 「おはようございます!」

「はーい、おはよう、そっち座って、準備しててねー」

毎週土曜日の午前中、私は習字教室に通っている。もともとはお母さんが、行ったらどう?と誘ってくれて始めたものだけれど、習字で賞をとったり、クラスの子や先生に字がきれいになったねって言われたりするようになって、最近は習字がとても楽しくなってきた。

「おはようございます…」

「はーい、ふみちゃん、おはよう。じゃあ前の席、座ってね」

土曜日の参加者はだいたい4人。小学6年生の私、沢木ふれあと、今来た小学4年生のふみちゃん。それに男子が2人。教室の中は畳になっていて、生徒たちは入り口で靴を脱ぐ。先生との決まりで、書いている間は基本正座の姿勢。席は決まっているわけではないけれど、先生がいつも同じ席を指定してくれる。私が前から2列目の右側、ふみちゃんが1列目の右側だ。ふみちゃんが通うようになったのは今年の3月からで、それから約3か月、ほとんど席は固定されている。

 習字が楽しくなってきたのは、もうひとつ、このふみちゃんに会えるというのも大きな理由だ。初めのころは、長袖に長ズボンや長めのスカート、それに靴下までしっかりと履いてきていたふみちゃん。けれど暑くなってきた最近は、半そでのTシャツにショートパンツやキュロット、それに素足で来るようになっていた。今日の格好もそれで、大人しい印象のふみちゃんなのに服装は元気な子のっぽくて、そのギャップがとてもかわいく見える。髪はサイドで二つにくくっていて、顔立ちもカワイイ。妹にこんな子がいたら毎日楽しいだろうなあと思ってしまう。そんな格好のふみちゃんなので、私の前に正座をすると、その足の裏がばっちりこちらを向いてくれる。その足もかわいくって、太ももから足の先まで健康的に日焼けしていて、けれど足の裏は白くって、でも暑いときは赤くなっていて、それにとてもぷにぷにしてそうなのだ。

(さわってみたいな、ぷにぷにしたいな)

毎週毎週、そんなふみちゃんの足の裏を見るたびに思ってしまう。私って、ちょっとヘンな子、なのかな…?もちろん、そんな思いはふみちゃんに言えるはずもなくって、ふみちゃんも大人しい子だから話すことはほとんどなく、2時間の習字教室は終わってしまう。

 けれど今週の習字教室で、とある出来事が起きた。いつものように座って、ふみちゃんの足の裏を観察しながら自分の筆を紙に乗せる。ふみちゃんも紙に文字を書いていて、集中しているのか、足の指はぎゅっと丸まっている。足の裏はきれいで、暑さからか赤くなっていた。今日もぷにぷにしてそうな、かわいい足の裏が見えている。私は一文字書き終わると、一旦筆をおいた。その置く場所がまずくって、机の向こう側に転がってしまった。

「あっ」

ころころ転がった私の筆は、無防備にさらされていたふみちゃんのきれいな右足の裏に着地した。

「ひゃっ」

筆が触れた瞬間、ふみちゃんはぴくっとして、持っていた筆を取り落してしまった。右足の裏には筆の墨がかすれたようについていた。

「ごめんね、ふみちゃん!」

私はあわてて、近くの墨ふき取り用のタオルを手に取ると、ふみちゃんのもとへ。

「い、いえ…!あの、大丈夫ですから!」

そう言って私からタオルを受け取ろうとするふみちゃんだったけれど、

「いやいや、私の筆が落ちちゃったから!」

と私も譲らずに、ふみちゃんの足の裏を見せてもらおうとする。

「あ、あの、本当に大丈夫なので…!」

「いやいや、けっこうついちゃってるから…!」

私はふみちゃんの一瞬のスキをついて、足首をグッとつかんだ。

「ひぇっ」

「すぐ終わるからね…!」

いままで机越しに見ていたふみちゃんの足の裏がすぐそこに…!私はドキドキしていた気持ちを落ち着かせながら、タオルをそっとふみちゃんの足の裏に触れさせる。

「くふ、くふふふ」

ごし、ごし、とふき取る間、ふみちゃんは顔を真っ赤にして、足の指をさっき以上にぐるっと丸めて、なにかに耐えているようだった。

「…もしかして、くすぐったい?」

「ふえ…は、はい、ちょっとだけ…、ひゃうん!」

ちょっと、なのかな?私は力を強めて、一気に残っていた墨を拭きとった。そして最後にこっそり、足の裏に触れてみる、すべすべした肌に、想像以上の柔らかさ。ふわふわ、もちもち。ふみちゃんはそれが終わると、足を投げ出した体制で、はあ、はあと息をついていた。足の裏は、さっきまで以上にまっかっかだ。

「はい、綺麗になったよ」

「あ、ありがとうございます…」

それからしばらく息を整えていたふみちゃんだったけれど、ようやくおさまったのか、また正座の体制になった。あんなことがあったのに、また足の裏をこちらに向けてくれるなんて。まじめだな、ふみちゃん…!

「ありがとうございました!」

「ありがとうございました…」

その後はおちついて練習をして、今週の教室は終了。ふみちゃんとは学年どころか小学校が違うので、今度会えるのはまた来週だ。さびしいよ…。

「先、いいよ」

「あ、すみません…」

それぞれ道具を片付けて、靴を履いて外に出る。私は靴下を履いているので、通学にも使っているスニーカー、ふみちゃんはつっかけタイプのサンダルだった。先週と同じだ。このラフな感じもすごくドキドキする。カツ、カツ、とサンダルを鳴らしながら、ふみちゃんは歩いて帰っていった。来週はどんな格好で来てくれるのかな。いまから楽しみだ。


つづく

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