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〇〇したい女の子たち  作者: 車男
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お花見したい、花見ちゃん

 「…じゃあ、ここあたりにしようか!」

「え、でもベンチとか…」

「あ、私シート持ってきてるんで!」

そう言って後輩ちゃんはかばんから折りたたんだレジャーシートを取り出すと、一本の木の下に広げました。頭上では桜が満開で、風が吹くと花びらがちらちらふってきています。今日は高校の部活の後輩ちゃんと2人でお花見です。もう一人予定していたんですが、チコクするということで先に公園に来ていました。穴場のようで、私たちみたいなお花見をする人はそんなに多くありません。これならゆっくりできそう!と思っていたのですが、後輩ちゃんはシートを広げて、いそいそとスニーカーを脱ぎ、お弁当の準備を始めました。てっきり公園のベンチに腰掛けてご飯を、と思っていたのですが…。

「…あれ、先輩、ここどうぞ!準備だけでもしておきましょうよ!」

友達といくお花見が初めてだという後輩ちゃんはとても楽しそうに、コップやお手拭きなどを用意してくれています。先輩だからと言って、このままシートの外に立っているというわけにはいきません。もう一人ももうすぐくるだろうし…。

「う、うん、ありがとう!」

私はカクゴを決めて、履いていたベージュのショートブーツに手をかけました。そして汗で引っかかりながらもよいしょよいしょと脱ぎます。そして現れたのは…、素足です。そうです、失敗しました。いつもの感じで、深く考えることなく、私は素足のままブーツを履いてきてしまったのです。お花見という空間、靴を脱ぐことも考えておくべきでした…。後輩ちゃんは準備で忙しいのか、私の素足には気づいていない様子。私は俊敏な動きでブーツを並べて、素足を折り曲げて、なるべく見えないようにコートの裾に隠します。長めのコートを着ていてよかった…。

「あ、せんぱーい!」

その後、飲み物を飲んで待っていると、私と同学年の子、さくらちゃんが来ました。パンツスタイルに、パンプスを履いているようです。もしかして、素足かな…?という期待が当たり、パンプスを脱いで現れたのは真っ白な素足でした。かかとや足先は赤くなっています。

「ささ、どうぞどうぞ!」

と飲み物を手渡す後輩ちゃん。そんなに足元まで気にしていないのかな…?こんな気になってるの、私だけ?と思い返して、私は自分の素足を気にしないようにしました。それよりもお花見を楽しもう!

 2時間ほど、料理をつまみ、お話をして過ごすと、解散の時間になりました。どうやら後輩ちゃんは別の予定が入ってるみたいです。みんなで片づけをしていきます。

「あはは、先輩、足の裏に花びらがいっぱいついてます!」

「え、ウソ!?」

すっかり油断していて、後輩ちゃんに素足の裏をばっちり見られてしまいます。シートの上に落ちていた花びらや公園の土が、足の裏に結構くっついていました。汗でこびりついているのか、手で払ってもなかなかとれず…。

「はい、花見ちゃん、ウエットティッシュ。私もほら、けっこうついちゃった」

わたわたしていると、さくらちゃんが差し出してくれます。その子も足の裏は花びらがびっしりで、土でところどころ汚れてしまっていました。

「あ、ありがとう…」

その後、綺麗になった素足をブーツに入れます。後輩ちゃんにも見られたはずですが、幸い何もなく、よかった!

 後輩ちゃんにさよならをして、さくらちゃんと2人きりに。

「…約束通り、素足で来てくれたんだね」

「…う、うん、約束、だし」

「ありがと。かわいかった」

「え!?」

じゃねー。と言って去っていくさくらちゃん。また風が吹いて、桜の花びらが私の周りを舞っていました。


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