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〇〇したい女の子たち  作者: 車男
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ご奉仕したいメイちゃん その2

 「あ、メイさんだ!こんにちは!」

「こんにちは!シュカさん、ですよね?」

「わあ、おぼえててくれたんですね!ありがとうございます!」

広間に飛び込んできた、ショートヘアに制服姿の女の子は、妹さんのシュカさんでした。家の近くの高校に通う2年生です。

「メイド服、カワイイ!ね、よかったでしょ、おにい!」

「そうだね、ささ、手を洗っておいで。ごはんにしよう」

「はあい!」

そう言って、シュカさんはまたパタパタと化粧室へ走っていきました。面接のときも今日も、シュカさんは夏の制服を着ています。半そでのセーラー服にスカート、リボンは青です。髪の色は明るく、肩くらいでぱっつんと切っています。そして前から気になっていたのはシュカさんの足元です。ローファーを履いているのですが、なんと靴下を履いていないようなのです。最近は靴下が短くなっているのがトレンドなのですが、どう見てもシュカさんは履いていないような気がします。フットカバーという可能性もありますが(あたしはすぐ脱げちゃうのでだいっきらいなのですが)、もしかしたらもしかすると…?

 「洗ってきたよ!」

シュカさんはほんの数分で、荷物を自分の部屋に置いて、手を洗ってきたようでした。着替えるのも後回しにするらしく、制服のままです。ただ先ほどと違って、足元はサンダル履きになっていました。スリッパタイプのサンダルを、素足のままで履いています。部屋で履き替えてきたのでしょう。ということは,靴下はやっぱり履いてなかったのかな…?それとも、ローファーと一緒に脱いじゃったのでしょうか…?気になるのですが、直接聞くのはちょっと勇気がありません。

 3人での初めての食事は、ご主人様と妹さんのいろいろなことが聞けてとても楽しかったです。ただ、あたしは自分の足が気になってしまって、それに集中できないでいました。ご奉仕するおうちでこんなことをするのはお行儀が悪いかもなのですが、食事中はテーブルのおかげで足元まではきっと見えません。あたしは素足のまま履いていたローファーを、テーブルの下でこっそりと脱いでしまいました。テーブルの椅子が高くって、あたしの足は床から浮いていました。あたしは右足のつま先で左足のかかとをくいっと下げて、なるべく音がしないように、そろうりと床に脱いでおきました。素足になった左足で、右足のかかとを下げて、また床に脱ぎ置きます。コツ、コツ、とローファーの音が足元で聞こえますが、ほかの2人は食事とお話に夢中で気づいていない様子です。あたしは両方のローファーを完全に脱いでしまって、床につかない足先をぶらぶらとさせていました。同時に、ローファーの中でムレムレになった足の指もくねくねと動かして、かいた汗を吹き飛ばしておきます。パンプスのときと比べて、ローファーは隠れている範囲が広いせいでしょうか、足のムレムレがすごかったのです。脱いでしまうと途端にひんやりとした空気が足を包んで、とっても気持ちよくなりました。

 カチャン。お話をしている中、ふいにシュカさんが持っていたフォークを落としてしまいました。あたしが急いで向かおうとしましたが、あいにくローファーを両方とも脱いでいて、しかもいつの間にか場所が移動してしまったのか、足先でローファーを探しても見つかりません。その一瞬の間に、ご主人様がささっと席を立って、しゃがんでフォークをとってしまいました。無事にローファーを見つけてスポスポと履きなおしたあたしが駆け寄ると、ご主人様は優しくそれを手渡してくれました。

「すみません、おそくなっちゃって…」

「いいですよ、ゆっくりしててよかったのに。これ、お願いしますね」

「はい!」

あたしは手渡されたフォークをとりあえずキッチンの食器洗い機へ入れて、またテーブルへと戻りました。


 遅めのランチを終えると、次のお仕事はそのお片付けです。ご主人様は、そんなのいいよって言ってくれましたが、お片付けこそあたしのお仕事なのでがんばります!その間、ご主人様は書斎で自分のお仕事をしていただいて、あたしはテーブルの上の食器をキッチンへ運んでいきます。

「手伝うよ!」

「え、いいですよ!」

「いいのいいの!あっちに運べばいいんだよね?」

なんと、食後のおやつを終えたシュカさんがあたしのお手伝いをかって出てくれました。食器を運んだあとは、お皿の食べ残しや付け合わせの処理をした後、食洗機にぶっこむのです。一枚一枚洗わなくて済むので、ラクラクです…!

 それを終えると、次はいったんお昼休憩。シュカさんと一緒に、リビングのソファに座ってお話をします。シュカさんはサンダルを脱いで、制服に、裸足で、ソファの上にあぐらで座りました。あたしはそんなことできないので、きちんと足をそろえて座っています。本当は、ローファーを脱いでシュカさんと同じように座りたいのですが…!

「…どう?そのメイド服、カワイイでしょ!」

「は、はい!すごくカワイイです!」

「あたしが選んだんだー。メイドさんって言ったら、やっぱりこういう形だよね!メイさん、すっごく似合ってる!イメージピッタリ!」

「ありがとうございます!」

シュカさんは私の手を取ってほめてくれます。こんなにほめられると、私もうれしくなっちゃいますね。

「スカート丈もぴったりだし…、ローファー、サイズとかどう?」

シュカさんが足元を覗き込みながら聞きます。素足で履いていて、お食事以降脱いでいなかったので、またローファーの中はムレムレです。ニオイがもれてきてないかな…、と心配になります。

「はい、サイズ、ぴったりです!」

あたしは無意識のうちに足をシュカさんから遠ざける方へささっと動かしてしまいました。シュカさんは目をキラキラさせて、なおもあたしの足元を見ています。

「あ、あの、シュカさん…?」

「は!あ、ごめんごめん!その…、靴下って、履いてない、んだよね…?」

「は、はい、ご主人様にそう言われて…」

そういえば、なぜ靴下を履かないことになったのでしょうか。確かさっきご主人様とお部屋でお話したときに…。

「あ…、え…?」

あたしはご主人様との先ほどの会話を思い出して、シュカさんの方を向きました。目をキラキラさせたシュカさんと、ばっちり目が合ってしまいました。いつしかあぐらを崩して、あたしの方へ身を寄せるシュカさん。

「ねえ、ねえ、足、疲れてない?マッサージ、してあげるよ!」

「え、いえ、あの、まだ大丈夫…!」

「いいからいいから!ほら、足、みせてみせて!」

シュカさんは裸足のままソファから降りると、あたしの足元にしゃがんでローファーに手をかけていました。まってください、今ローファーを脱いでしまったら…!

「こらこら、シュカ、メイさんを困らせてはいけないよ」

「はあい、ごめんなさあい」

脱がされてしまうううう…!と思ったところで、ご主人様がタイミングよくリビングへ入ってこられました。危ないところだった…!シュカさんはご主人様の言うことは素直に聞くみたいで、

「ごめんね、メイさん!」

とあたしに手を合わせると、パタパタとサンダルを鳴らしてリビングを出ていきました。自分の部屋に行ったのでしょうか。

「…すみません、驚かせてしまって」

「あ、いえ!」

いままでシュカさんがいたところに、今度はご主人様が座ります。

「いいですよ、座ってもらって」

「あ、はい…」

さすがに、ご主人様はあんなことしないだろうと思いつつ、あたしはご主人様と少しだけ間をあけて座りました。なにやらお話をしたいようなフンイキです。

「…シュカのこと、改めて話しておきますね」

「あ、はい」

「メイド服を着るときに、靴下を履かないでください、とお願いをしましたよね」

「そう、ですね」

「それは、シュカの強い希望だったんです。メイドさんにはぜひ、素足でローファーを履いて、仕事をしてほしいと」

「はあ…」

「何かしてほしいことはあるか、何か作ってもらったり、相手してほしいとか、聞いたんですが、一番最初に出てきたのがそれでした」

「そう、なんですね」

さっきの様子を見ていると、それもうなずけます。

「なのですみません、お願いしていいですか?これからも、その、ローファーは素足のままでということで。シュカには、嫌がるようなことはするなと、言っておきますので」

「あ、いえ、その、嫌だった、ってわけでは…」

確かに、さっきのシュカさんのぐいぐいとくる様子にはびっくりしてしまいましたが、別に足を見られるのは嫌いではありません。それに、あたしもどちらかというと靴下は苦手です。ただ、人様の前でムレムレの足を開放するのはちょっと…と思っていました。

「えっと、それでは、シュカのあれは…」

「はい、あたしも、シュカさんとお話をして、大丈夫だよって言いたいと思います。ただ,無理なことは無理なので…」

「わかりました。よろしくお願いしますね」

ご主人様はそう言って、部屋を出ていきました。一人残された私は、次の仕事へ取り掛かります。食洗機も止まったようなので、お皿のお片付けと、キッチンの掃除です。そのあとは、お庭に干された洗濯物を取り込もうと思います。


つづく

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