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〇〇したい女の子たち  作者: 車男
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涼しくなりたいすずちゃん

 「あつぅ…」

3時間目、数学の授業が続く中、わたしは全く集中できないでいた。原因は暑さだ。まだ5月なのに、今日は夏みたいに暑い。教室のエアコンはまだ稼働期間外なので動かず、窓を開けて空気の入れ替えをしていた。風は吹いているけれど、窓ぎわの席のわたしは、日差しのせいでポカポカを通り越してホカホカになっていた。カーテンを閉めちゃうと風で大きく膨らんで授業どころではないので、仕方なく開けている。制服はいち早く、夏用の生地が薄い半そでセーラー服にしているものの、じんわりと全身に汗をかいている。小さい頃から暑がりだったわたし。少しでも涼しく過ごしたいといつも思っていた。

 授業は真ん中あたりまで進んでいる。周りを見渡すと、まだ制服の移行期間で、冬用のセーラー服を着ている女子が多かった。みんな腕まくりもしていないけれど、暑くないのかな…?わたしだけ暑いの…?不思議に思いながら、少しでも体を涼しくしようと、わたしは上履きをこっそりと脱いだ。かかとを浮かせて、あとはスポスポと足を上履きから抜く。そして短めの白ソックスだけになった足を机の前に伸ばす。ペタンと床につけると、少しだけひんやりとしてていい感じに気持ちいい。足の指をくねくねと動かして、少しでも多く空気を取り入れる。けれどひんやり気持ちいいのもほんの一瞬で、すぐに足の熱で床は暖かくなってしまった。何か所か場所を変えながら足の裏を冷やしていく。男子がいたらなかなかできないけれど、わたしが通うのは女子高。周りは気の知れた女子ばかりなので、けっこういろいろやっても大丈夫。

 足の裏が冷えてくると、わたしはもっと涼しくなりたいと考える。これ以上涼しくするためには…。これはちょっと勇気がいるけれど…。上履きを脱いでソックスのまま数学の授業を終えると、休み時間。わたしは一度上履きを履いてトイレに立つ。冷たい水で手を洗ってリフレッシュすると、また席に着いてすぐに上履きを脱いだ。昼休み前最後の4時間目も教室で授業。教科は日本史。また眠くなりそうな…。

 挨拶を終えて席に着く。上履きはトイレから戻ってからもうずっと机の下に置いたまま。移動教室の時だけ履こうかな…。お昼が近づいて、太陽はどんどん高くなって、ぐんぐん気温が上がる。風はあるけれど、日差しのせいで窓ぎわの私の席はアツアツだ。わたしはとうとう、先程から考えていたことを行動に移すことにした。わたしは身をかがめて、机の下にある足に手を伸ばす。そして右足の靴下に手をかけると、足の半分が出るくらいまで靴下を脱がせてしまう。左足も同じように。すると予想通り、靴下に隠れていた素足に風があたって、非常に気持ちいい。机の下でぶらぶらさせると、自然と風が発生して、もっと気持ちいい。わたしは一度足を止めると、足の先で脱げかけていた右の靴下を左足で踏み、足を引いてすぽっと脱いでしまった。左足も同じように。そして両足とも完全に裸足になってしまう。床に落ちた靴下は足で横にどけて、素足をペタッと床につける。ひんやりした感触を直接感じて、すごく、気持ちいい。教室で裸足になるのは少し恥ずかしいけれど、この気持ちよさにはかなわないな。上履きも靴下も、いらないんだな。わたしは裸足のままその授業を受けると、昼休み、生徒会の仕事で生徒会室に行くときも、素足に、上履きを履いて向かっていた。さすがに裸足で廊下を歩くのは危ないし、汚いかなと思って、上履きだけは履くことにした。脱いだ靴下は、丸めてカバンの中にいれている。

「おつかれさまです!わあ、すずしい…!」

「あ、すずちゃん、おつかれー」

「あれ、副会長…、裸足じゃないですか?」

生徒会室にすでに来ていた、後輩の書記の子に突っ込まれてしまう。

「えへへ、暑くって、さっきの時間で靴下脱いじゃった」

「だよねー、暑いよねー」

わたしと同学年の生徒会長は、うんうんとうなづきながらお茶を飲んでいる。

「で、でも、素足はさすがに汚くないですか…?」

「いちおう、上履きは履いてるし…?」

「そう、なんですかね…?」

「そこは自由でいいんじゃなーい?ダメってわけじゃあないでしょ?」

「だ、だよね!」

生徒会長がいうなら大丈夫だ!わたしは近くのパイプ椅子に座ると、すぐに上履きを脱いでパイプに素足をのせる。今まで以上のひんやりが足先から全身を包んだ。生徒会特権なのか、部屋の中にはエアコンも効いていて、最高の空間だ。その後、後輩の会計、総務の子もやってきて、ミーティングが始まった。体育祭に文化祭、年間行事の予定を確認していく。やらなければいけないことはたくさんだ。


つづく


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