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足水

Web拍手(2006/05/15)

 暑いのは夏だからであって、だからといって、暑いのに耐えられるわけもなく。


「はーさん!?」


 振り返ると、彼女が仁王立ちしている。

 彼女が怒っているのは果たして、素足で庭に出ていることか、浴衣の裾をたくし上げていることか、庭の池を囲っている石に座っていることか。


 それとも池に足をつっこんで涼んでいることか。


「気持ちいーよ」

「もー、そろそろ予約のお客さん来るっていったじゃん」

「そーだっけ?」


 そもそも予約制じゃないじゃん。


「今度からそうすることにしようって言ったのはーさんでしょっ」


 言ったかなぁ、と考え込んでいると彼女が庭に降りてくる。


「そんなに暑いなら、春とか秋にすればいいのに」


 好きにできるんでしょ、と怒られたけど、それは難しい注文なのだ。

 だって、夏以外の季節を長く思い浮かべていられないのだ。


「…ごめん」

「いや、いいよ」


 わかっている彼女がすまなそうに言うのに笑って返す。


「しかたない。

 お仕事しますか」


 涼むのはここまで。

 たまには彼女の言うことを聞いてやろう。

はーさんの夏のひととき。

(2006/05/15)

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