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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 第六章 協力者達

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96/202

96 協力者 悠然さん 2

前回の続きです。


加筆修整しました。(05.8.17)

『念のためだ、椅子に座れ』


 レイアーナさんがそう言うと悠然(ようらん)さんは、


「いえいえ。姫様を差し置いてわたくしが椅子に座るなど!」


 と笑顔を浮かべて言う。……なんとなく胡散臭うさんくさいな、と思っていたら、レイアーナさんが大きなため息をいた。そして、


『悠然』


  と今度は強い口調で言う。


『そなたに命令する。座れ』


 すると悠然さんは一度(またた)きをしたかと思うと、急に一言も声を出さずに近くの椅子にすとんと腰をおろした。レイアーナさんは悠然さんが座ると同時くらいに素早く動き、悠然さんの前に片膝かたひざをつくとにらみつける。


『そなたが何を考えているかは聞かぬ。だが、私の話を聞こうとしないその態度は許さぬ』


 と強い口調で言った。レイアーナさんは静かに怒っていた。いつもよりも低い声で言う。


(おご)るな。そなたが思念波を集める際に都合良く利用するのは構わぬ。だが、私の話を聞かず、おのれの欲のままに思念波を扱おうとするならば話は別だ。遠からずそなたの命そのものがなくなるか、記憶を失い二度と私に会うことはないだろう。それで構わぬのならば好きにしろ』


 それからレイアーナさんが、あのとってもこわーいニヤリ顔で笑う。


「ひっ!」


 悠然さんが声にならない悲鳴を上げ、びくりと身体を引いた。……わかる、わかるよ。あの笑顔は怖いよね。レイアーナさんは構わず続ける。


『今、私がそなたの思念石から全ての思念波を取り込むだけで、そなたの命を簡単にみ取ることが出来る。……そうして欲しいか?』


 悠然さんの顔色がどんどん青くなっていく。そして、ガクガクと身体を震わせ始めた。


 ── 確かに、思念波をたくさん抜かれたら、その後入ってくる流れも強くなる。全部抜かれたら……本当に危険かもしれない。


 思わず背筋がヒヤリとした。思念石、本当に気をつけよう。それに、絶対レイアーナさんを怒らせないようにしよう。さもないと……。


 それ以上考えると怖いので、あわてて意識を二人に戻した。二人の会話は続いている。


『そなた、死にたいのか?』


 再びあの殺人的笑顔で、さらに顔を近づける。悠然さんはぎゅっと目を閉じブルブルと顔を横に振った。


「め、滅相もございません! も、申し訳ございませんでした!」


 大粒おおつぶの涙をこぼしながら必死の形相ぎょうそうで、


「心してお聞きしますので、どうかもう一度お聞かせ下さい」


 そう言うと震える手をひざの上で強く握りしめた。

 レイアーナさんは冷たく言い放つ。


『次から二度は言わぬ。よいな?』


 ガクガクと大きくうなずく悠然さんに、ふんと鼻を鳴らすと仕方なさそうに説明を繰り返した。それから、


『では、離すぞ』


 と言うが早いか思念波をさっさと引き上げた。……これ、絶対わざとだよね。


「ひいっ!」


 短い悲鳴を上げて悠然さんがぎゅっと身体を縮こまらせ、両手で自分の肩を抱くように丸めた。それでも何とか思念波の波からのがれられたようで、しばらくするとゆっくりと顔を上げた。……その顔は、何歳も老け込んで見えた。


 レイアーナさんはその様子を見ながら、『やはり自力で生き残ったか。胆力たんりょくはあるな。思念体を引きずり戻さずに済んで良かった、こいつはまだまだ利用出来るからな』って考えていた。


 それからレイアーナさんは悠然さんに、ミシェルさんのこととChatterについて伝えると、


『では、また三日後に来る。時刻は今日と同じで良いな』


 そう言って立ち去ろうとした。そのとき、


「お待ち下さいませ!」


 悠然さんが慌てて止めた。それからよろよろと立ち上がると、そのまま執務机に行きパソコンを確認している。カチカチと何度かマウスのクリック音がして、それから顔を上げると言った。


「三日後でしたら二時間早く来ていただけますか」

『わかった。他に用はないか?』


 レイアーナさんは面倒くさそうに答えたけれど、素早く予定を頭の中で確認していたので、今の面倒くさそうな様子は演技みたい。すると悠然さんは、そっと辺りをうかがう様子を見せ、まだ戻らない顔色のままレイアーナさんに再び近付いてくると、そっと自分の腕をレイアーナさんの手に重ねて言った。


『思念通話で失礼いたします。ChatterRoomの事でご提案がございます。我が国は他国とのSNSでの交流を厳重な監視下に置いています。恐らくわたくしのログイン出来るサイトはクローズドであっても内容を確認される可能性が高いと思われます。わたくし姫様の情報を上層部に知られたくありません』


 レイアーナさんは、ふむ、と言うと腕を組み、しばらく考えてから悠然さんに言った。


『このSNSというものにくわしいのはミシェルという協力者だ。そなたの携帯電話でも難しいのか?』

『わたくし個人の携帯電話ですか……。それでしたらいくらかは安全ですが、それでも監視はされているはずです』

『そうか。ならば、そなたへの連絡はミシェルからのみに限定し、そなたとミシェルのみでやりとりするようにした方がいいだろうな。ミシェルに伝えておこう』

『それでは、そのミシェル様にわたくしのメールアドレスをお伝え願えますか?』

『私はそなたらの文字が読めぬ。映像で記憶してミシェルに渡すので、そのメールアドレスを見せろ』

『かしこまりました』


 悠然さんはアドレスを提示すると、


『わたくしに連絡いただく場合も、姫様や思念波などの重要な情報は文面を見ただけではわからないようにして送っていただけるようにお伝え下さいませ』

『わかった、伝えておこう』




『……ちゃん。………ってば!』


 ── あれ? しーちゃんの声がする?


 ── え、何で?


 戸惑っているうちに、いきなり身体がぐらぐら揺れだした。


「うわっ!」


 自分の声に驚いて目を開けると、目の前にしーちゃんの顔がでーんとあって、さらにびっくりした。

見つけてここまで読んで下さってありがとうございます。

面白いな、続きが読みたいっ!と思っていただけましたら下の方にある⭐️をぽちっと押したり、ブクマ、いいねを押して応援していただけるとまりんあくあが大喜びします。


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の守りがあらんことを。

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― 新着の感想 ―
[一言] レイアーナと悠然。 レイアーナさんは悠然を脅してでも言うことをきかせようとする。 確かに怪しい行動をとる悠然を放置した方が危険だ。 そしてミシェルを通しての約束を。 続きも楽しみにしてます(…
[良い点] 国情や国民性のよく分かる話でとても面白かったです。利害で分かりやすく動く方々なのでね。これは作品世界のあれですが現実の方も、もっとそこを考慮していろいろ考えてほしいなんて、思い返してしまう…
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