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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 第六章 協力者達

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95/194

95 協力者 悠然さん

章を追加しました。お話に変更はありません。


少し加筆修整しました。(05.8.15)

 レイアーナさんがサイイドさんに声をかける。


『離すぞ。少しの間思念波が思念石に流れ込みやすくなる。思念石に気を取られると気分が悪くなることがあるので、意識をそのままらしていろ』


 そう言うと思念石から思念波を離す。


「おっと」


 サイイドさんは思わず声を出したけれど、すぐに普通の顔に戻り、意識を仕事に切り替えていた。静かにエントランスを見回し、お客様の様子や到着する車がないかさりげなく確認している。その後レイアーナさんはサイイドさんと短く状況報告を終えると次回の約束をし、上空へと飛び立った。


 レイアーナさんが空へ上がっていく間に、私は目を閉じて考える。


 ── さあ、次は誰にする?


 そのとき、思念波網の中で拾った映像の一つがぱっと頭に浮かんだ。そうだ、あの人はどうだろう……。




『ようこそ、レイアーナ様。お待ち申し上げていました』


 突然誰かの声が頭の中に響いてきた。意思の強そうな少し低めの声だ。年配の女性だと思う。

 目を開けると一人の女性が立っていた。紺とグレーを混ぜたような少しくすんだ色のかっちりとしたスーツ姿で、少しふくよかだけれど背筋がまっすぐ伸びている。一瞬日本人かなと思ったけれど、目元が細く、目尻が少し釣り上がっていて、何だか油断してはいけない気がする強い視線の持ち主だった。


 でもレイアーナさんは少しもおびえた様子はなく、そんな彼女の様子を鼻でふんと笑いながら見ている。『この手のものはおのれの欲に忠実で逆に扱いやすくて良いな』と考えているのがわかる。レイアーナさん、さらに上手うわてだったよ。


 さすが世継ぎの君と呼ばれるお姫様だ。素直に感動していると、『こいつは駒として扱いやすくて使い捨てにするには丁度良い人材だ』とさらに物騒ぶっそうなことを考えていて、引いた。……これはやばい。駄目だ。絶対敵に回してはいけない人だ。ううぅ、私、すでにさんざん迷惑かけてるよ。よく協力者でいられてるな。……レイアーナさんには絶対逆らわないようにしよう。そうしよう。


 いやな汗を心の中でかきながら二人の様子を見ていると、レイアーナさんが、


『約束通り回収に来た。思念石を確認させてもらう。石は満ちたか? 悠然(ようらん)


 と声をかけた。悠然さんか。Chatterで何かかっこいいタワーの写真を使ってた人だ。三本の高層タワーが並んでいる写真だったから都会の人なんだろうと思っていた。

 悠然さんのいる部屋は四方を壁に囲まれていて、ここがどこなのかはよくわからない。執務室のようで奥に大きくて横幅のある机があり、黒い革張りの椅子が後ろにあった。机の端にはパソコンのモニターがあり、中央には書類らしきものが積んである。


 その手前にコの字型にソファーと椅子が並べられている。真ん中には黒い丸テーブルが置いてあり、白いテーブルクロスがかけられている。全体に細かい刺繍ししゅうがされている豪華なテーブルクロスだ。悠然さんは薄く笑いを浮かべた顔で、


「この三日間会議が多くてあまり外出する機会がございませんでした。ですが、結構集められたと思います。西洋式に挨拶の時に手を差し出すようにしたので、相手の思考を読み取れて大層便利でした。石が満ちれば良かったのですが」


 そう言うと残念そうな顔をする。レイアーナさんはそれを見ながら、無感情に言う。


『では思念石を確認させてもらう。手を出せ』


 悠然さんは自信たっぷりといった様子で手を差し出す。レイアーナさんの思念波が悠然さんの思念石を包み込む。彼女の思念石は翡翠ひすいの指輪だった。三分のニくらいの量がまっている。サイイドさんよりもたくさん集まっていて、しかも濃度が濃い感じがする。レイアーナさんもいい思念波だと感じているみたい。


 溜まっている思念波の感じが人によって違うなんて初めて知った。


 ── 私の思念波はどんな感じなのかな……。


 そう考えたとき、お腹の上の方が少し温かくなった。


 

 ── あれ? 


 そういえば今回はずい分長く夢を見ている。いつもならとっくに目が覚めているはずだ。それに、今まではぼんやりと覚えている感じだったのに、今回ははっきりと自分がレイアーナさんの過去の記憶を見ている自覚がある。


 ── ひょっとして、思念石のおかげ?


 そう思うと、それに呼応こおうするようにまたお腹が少し温かくなった。


『ほう。満ちてはおらぬが、初回にしてはよく集めたな』


 レイアーナさんが悠然さんにそう言うと、悠然さんは突然鼻息が荒くなり、


「ええ、ええ、そりゃあもう。この指輪をした手で握手をすると、相手の思惑おもわくが手に取るように分かるのですよ! 隠していても筒抜つつぬけなのですから、交渉はお手のものですわ。本当にいいものをいただきました。それに、相手にお願いをいたします時に手を取ってお願いいたしますと、すんなりと聞いていただけるのです。素晴らしいです! この調子でいけば今期の成績上昇は確実です。無論わたくしに技術と実力があるからですけれども……」


『もう良い。そなたが思いのほか思念石をうまく使えていることはわかった。では、回収させてもらう。そなたの吸収速度を考えると多めに抜いておいた方か良さそうだ。だが、一度に抜くと反動がくる』


 そう言うとレイアーナさんは簡単に思念酔いの説明をして、思念石から溜まっていた分の三分の二程度の思念波を回収し、悠然さんに声をかけた。

読者の皆様、いつも読んでいただきありがとうございます。95話まで書くことが出来ました。

確実に今年中に100超えます(笑)

まだまだ続きますので、応援よろしくお願いいたします。


面白いな、応援しよう、と思っていただけたら、下の方にある⭐️をぽちっと押したり、いいて、ブクマしていただけるととても嬉しいです。


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の守りが共にあらんことを。

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― 新着の感想 ―
[一言] 協力者はサイイドさんから悠然さんへと切り替わる。 レイアーナさんはやはり凄かったですね(*^^*)
[良い点] ヨウランさんの様子がなんかこう、らしくて頷けてしまい、笑ってしまいました。こんな感じの方が多いは、多いのですよね。私も、そんな印象で。たまたまかな(笑)とても共感できて、面白かったです。
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