93 協力者達
更新が遅れてすみませんでした。
お待たせしました。本日分投稿します。
修整しました(05.8.9)
よし、ここは話題転換だね。私はしーちゃんのスマホを覗き込みながら言う。
「ふーん、今入室している人は五人いるみたいだね」
会員のところにはアイコンが人数分並んでいて、一番最後に、さっき作ったしーちゃんのアイコンがある。アイコンには風景の写真を使っている人が多くて、ミシェルさんは凱旋門、他にピラミッドや自由の女神、熱帯魚などが並んでいる。中には宮殿みたいな写真のアイコンもあった。しーちゃんはどこから取ってきたのかわからないけど、大仙陵古墳の写真を使っている。
投稿者のアイコンの横に、日付と時刻が表示されている。最新の投稿が一番上に来ているみたいだ。一番最近の投稿はサイイドという名前で、ピラミッドのアイコンだからエジプトの人なのかも知れない。書き込みは、「十時R回収のみ」
その前の人はシエナ。何かの像の顔の部分がアイコンになっている。書き込みは「九時S。ミュージカルについて話しました」
しーちゃんが、
「このSとかRってなんだろう?」
と呟いた。他の人のコメントでも、どちらか、または両方が使われている。あ、ピンときた。
「ねえ、イニシャルじゃない?」
「なるほどイニシャルかぁ。Sがシュリーアさんで、Rがレイアーナさんってことだね。じゃ、その前に書いてある時刻はあの人たちが来た時間で、その後に何があったかを書いてるのかな?」
しーちゃんがスマホをスクロールしていく。掲示板には短い書き込みが多い。中にはRに伝えて、といった二人への伝言や、それについて、伝えました、と返している書き込みもある。逆にRから○○へ、という伝言もいくつかあった。レイアーナさんからの伝言は、了解した、わかった、それでいい、というように短いものが多い。なんだかとてもレイアーナさんらしい。
シュリーアさんからのコメントには、わかりました。そのようにします。など、少していねいな言葉が書き込まれている。そのときしーちゃんがスクロールしていた手を止めて、
「ね、れーちゃん。あたしたちも書き込もうよ」
とキラキラした目で言ってきた。そして、
「まずは自己紹介しないとね。……え、と。私の名前は……」
「あ、しーちゃん、だめだよ!」
ぽちぽちと入力し始めたしーちゃんの手を慌てて止める。
「へ? 何?」
きょとんとしているしーちゃんに言う。
「さっきミシェルさんに言われたこともう忘れたの? ルームに書き込むときは?」
しーちゃんは首をこてんと傾げてはてなのポーズになっていたけれど、すぐにハッとして元に戻した。
「あ、そうか! 英語で書き込まないといけないんだっけ。えっとー、 ウィー アー、あ? げげ、なんって書けばいいのー!」
そのとき一階から、
「まだ起きてるのー? そろそろ寝なさい!」
と母さんの声がした。しーちゃんの声が聞こえたらしい。
「……しーちゃん」
思わずジト目で言うと、
「ごめんなさい」
めずらしく素直に謝った。私はため息を吐いて言う。
「ゴーグルさんに書きたいことを翻訳してもらってから、コピペして書き込めばいいんじゃない?」
「れーちゃん天才! やってみよう」
私たちはなるべくこそこそ声で相談しながら文章を考え、ゴーグルさんに翻訳してもらってはそれをルームにコピーして貼り付けていった。
「私たちはRとSの協力者、レナとシイナです。日本の大阪に住む小学生です。RとSに明日夜七時頃に来て、と伝えてください」
なんとか書き込みができ、私たちのコメントがルームに表示される。しばらくするとミシェルさんから、
「RとSより。了解した」
と書き込みがあった。しーちゃんが呟く。
「ミシェルさんのゲストって、レイアーナさんたちだったんだね」
「そうみたいだね」
「もう、だったら別に急いで切らなくてもいいのにー。けちだ、けち」
しーちゃんはしばらくぶつぶつと相変わらずよくわからない文句を言ってスマホをいじっている。
「しーちゃん、そろそろ寝よう? あんまり遅くまで起きてると明日寝坊しちゃうよ」
そう声をかけると、
「んー、そうだね。寝よう寝よう寝よう」
と言ってさっさとスマホを閉じ、充電ケーブルに接続させて枕元に置くと、布団に潜りこんでいく。
「……ねえ、れーちゃん。今日も同じ夢を見るのかな?」
しーちゃんがわくわくした声で聞いてきた。けれども、私には思いついた計画がある。
「その事なんだけどね。さっきルームの中のトークを見て気が付いたことがあるんだ」
私もベッドに横になりながら話す。そのときふと思いついて御守り袋を枕元に置いた。もしも思念体になってしまった時の保険だ。
「ほほう、何かなっ」
しーちゃんがわくわくした声で聞いてくる。この調子ならうまく乗ってくれそうだ。
「ルームに書き込んでた協力者のほとんどの人たちが、RかSのどちらかしか書いてなかったんだ」
「ふむ。言われてみればそうかも」
しーちゃんが仰向けのまま、顎に拳を当てる。何気に器用だ。よしよし、いい感じ。これならいけそう。
「今回は同じ場所じゃなくてもいいんじゃないかな」
「というと?」
私はドキドキ音をたて出した心臓の音が聞こえるんじゃないかと不安になりつつも、なるべく普通に聞こえるように答えた。
「ミシェルさんがどんな人かは少しわかったでしょう? だから他の協力者がどんな人たちなのか調べてみない?」
ブクマがまた一人増えました!!
応援してくださり、ありがとうございます。
これからも頑張ります!!
今回は無事期日までに仕上がるかさすがにひやひやしました。何とか間に合って良かったです…。
それではまたお会いしましょう。
皆様に風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。




