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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

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90/194

90  いいの!?

前話の続きです。


加筆修整しました(05.08.02)

「え、そうなの?」


 やっぱりしーちゃんは覚えていない。私は構わず続ける。


「しーちゃんは夢の中ですごくしんどい思いをしたみたいだって言ってたよね。でも本当に危なかったんだよ」


 しーちゃんにうそはつきたくない。だから私が話せるところだけ伝えよう。


「私が気づいた時には息をするのも苦しそうでどうしたらいいのかわからなかった。話をするのも難しいみたいで……本当にどうしようって思ってたら、レイアーナさんたちが来てくれて。それでめちゃくちゃ怒られたの。この馬鹿者! って」


 しーちゃんは真剣な顔で聞いている。


「しーちゃんをこのまま放っておいたら命の危険があるって言われたの。それでね、そのときにレイアーナさんが私に『しーちゃんを止められるか』って聞いたの」

「それで?」


 しーちゃんがきらきらと期待に満ちた目で聞いてくる。私は正直に答えた。


「無理です、って言った」

「えーー!」


 しーちゃんが大音量で叫んだので、思わず耳を押さえたけど部屋中にしーちゃんの声が響き渡った。と、同時にとんとんとんと階段を上がってくる音が聞こえ、かちゃりとドアノブの開く音がしてあっという間にイイ笑顔の母さんが入ってきた。


「あ・な・た・た・ち」


 しーちゃんと私は同時にごくりとつばをのみこんだ。あ、母さんのこめかみがぴくぴくしてる……。


「ご近所迷惑な大声はやめなさい」

「「ごめんなさい」」


 母さんが下に降りたのを確認するとしーちゃんが、


「あーびっくりした」


 と言った。いや、びっくりしたのは私だから! じと目でしーちゃんを見ているとぶーぶー言い出した。


「れーちゃんが悪いんだよ。そこはせめて頑張って止めます、くらいは言ってくれないとー」


 いや、無理。これまでどれだけ引きり回されたと……。でも本人が自覚してないってことだけはよーくわかった。嬉しくないけど! まだぶつぶつ言ってるしーちゃんにため息をつきながら声をかける。


「続き、聞く?」


 するとしーちゃんはぴたりと文句を止めた。


「あ、はい。お願いします」


 ……今のは受容体のせいじゃないよね? ちょっと不安に思いながら話を続ける。


「私が無理ですって答えたらレイアーナさんにこのまましーちゃんを協力者にしておくのは無理だって言われたの。放っておくと死ぬかも知れないって言われた」


 さすがのしーちゃんもぎょっとして顔色が青くなった。恐る恐るといった様子で聞いてくる。


「……あたし、そんなに危ないことしたの?」

「うん。そうだと思う。本当に苦しそうだったよ。……覚えてないんだよね?」


 しーちゃんがうなずく。


「うん。……それで?」

「レイアーナさんが私に『選べ』って言ったの。私がしーちゃんに対する抑止よくしりょくを持つか、しーちゃんの記憶を消去するか」

「えっ! もがほがっ……」


 大声を出しそうになったしーちゃんがあわてて両手で口をおさえてごまかした。うん、危なかった。また怒られるところだよ。しーちゃんの興奮が収まるのを待って続ける。


「どっちも選べないでいるとレイアーナさんがね、しーちゃんのおでこに受容体を付けるように命令してきたの。そしたら勝手に体が動いて、気が付いた時にはしーちゃんのおでこに受容体を付けてた」


 しーちゃんがさっとおでこに手を当てる。私は構わず最後まで言う。


「どうしようもなかったの。今、しーちゃんのおでこには私の受容体が付いてる。受容体は他の人には見えないから大丈夫ってシュリーアさんが言ってた。しーちゃんが朝、スマホを鏡みたいにして使ってたでしょう? あの時、スマホにも受容体は映ってなかったし、母さんも今日一日一緒にいたけど全然気がつかなかった。だから、あの人たちが他の人に見えないのと同じで、受容体も他の人には見えないんだと思う」


  私の話を聞き終わったしーちゃんは腕を組むとしばらく黙っていた。それからあごこぶしを当てるいつものポーズを取ると、少し身体を前後に揺らしながら言った。


「話はわかった。それでれーちゃんが止まって、って言うとあたしの体が反応して止まるようになったってことだね? なるほど。んじゃ、この話はこれでいいや。……じゃ、さっきの話に戻るけど、」

「しーちゃん!」

「わっ、なに?」


 思わずしーちゃんの左手を両手で握ると、しーちゃんがびっくりして声を出したけど構わずしーちゃんに言う。


「しーちゃん、怒らないの?」

「何で?」


 何を言ってるのかわからないというふうにしーちゃんがまた頭をこてんと傾げる。私は逆にしーちゃんがいつもと変わらないことにとまどいながら聞いた。


「だってしーちゃん、おでこに受容体付いてるんだよ? 嫌じゃないの?」


 するとしーちゃんは目をぱちぱちとまたたかせて言った。


「付いちゃったもんは仕方ないじゃない。れーちゃんだって付けたくて付けたんじゃないんでしょう?」


 しーちゃんはこの話は終わり、というようにスマホでアプリを検索しながら言う。


 ── 本当になんとも思ってないの?

気付けば90話目です。そしてついに字数が20万字を越えました…。単行本二冊分書いても終わらないとは思っても見ませんでした。


読者の皆様、これからも末長くお付き合いくださいませ。まだまだ続きます。


面白いな、続きが気になる、っと思っていただけたら、下の方にある⭐️をぽちっと押したり、いいね、ブクマしていただけるととても嬉しいです。



見つけてここまで読んでいただきありがとうございます。

再読してくださっている皆様、本当にありがとうございます。この辺り難所で少しでも伝わればと書いています。

ご意見ご感想等ありましたらよろしくお願いいたしますm(_ _)m


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当のこと、全てではないですが説明できてよかったです(๑˃̵ᴗ˂̵) このままお腹に溜めていてはれーちゃんも辛いでしょうからね。 そしてしーちゃんは本当に気にならないのかな? そうだったら…
[一言] しーちゃんにあったことを話したれいちゃん。 受容体の事。 しーちゃんが危なかったこと。 そしてこれから起こることに立ち向かう為のレイアーナ様の配慮。 これからしーちゃんもれいちゃんもそしてこ…
[良い点] なかなか怖い事実かと思いますが、平然と受け入れられるのはすごいですね。ちょっとびっくりしました。れーちゃんもまた、お腹にとどめておくことがヘビーで出来なかったのがまた自然な流れで納得できま…
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