表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/194

89 あなたの知らない夢の続き

しーちゃんの知らない(消去された)記憶の話です。


少し加筆と修整しました。(05.7.25)

 夜ご飯の後、昨日と同じようにお風呂に入り、二階の自分の部屋へ上がって布団ふとんを敷く。しーちゃんはスマホでおばさんに電話をかけて明日の予定を伝えていた。


「え? 大丈夫だって。迷惑なんかかけてないよ。自由研究も終わったし! ……わかった。んじゃ、明日向こうでね。父さんによろしく。うん」


 電話を切ったしーちゃんはべたっと布団ふとんに張りついてぐったりした後、もっそりと起き上がり行儀ぎょうぎ悪くあぐらをかいた。それから腕を組んでうーんと声を出しながら部屋の中をぐるぐる見回し始めた。


「しーちゃん、どうしたの?」


 私が聞くとさらにむーんむんとしばらくうなってから、ようやく口を開いた。


「ねえ、れーちゃん。昨日の夜教えてもらったChatter見てみない? ミシェルさんのことも確認したいし、他の協力者のことも知りたくない?」

「うん。知りたい」


 私たちの他に八人の協力者がいるってレイアーナさんは言っていた。どんな人たちがいるんだろう? しーちゃんはベッドにきて私の隣に座ると、スマホにChatterの画面を出す。


「まずは登録っと。……うげ、名前書かなくちゃ駄目なのか。フリートークじゃないんだー。うーん、どうしよう。勝手にやったらまずいかな。……ま、いいや。とりあえず入れてみよう。生年月日、電話番号、え! 住所もいるの? ……駄目だ、めんどくさくなってきた。これは勝手にやるとヤバいやつだ、きっと。あー、でもこれ使えないと他の協力者と話ができないんだよねー。うーん……」


 確かに個人情報を登録するのはものすごく勇気がいる。間違って書き込んだものが拡散したりしたら、それこそ大変なことになると思う。でも登録しないと他の協力者の情報もわからないし、その人たちと話もできない。かといって、父さんや母さんには……。どうして必要なの? とか聞かれたら答えられない。

 私としーちゃんは二人して頭を抱えた。


 ── 何かいい方法はないかな? 誰か相談出来る人……。


「あ」


 私が声を出すとしーちゃんががばっとこっちを振り向いて、


「何かいい方法あった?」


 とすかさず聞いてきた。


「いい方法かどうかはわからないけど。昨日レイアーナさんが言ってたこと覚えてる? ミシェルさんのことで」


 一瞬しーちゃんがはてなの顔で首をこてんと傾けたので、この記憶も残ってないのかなとちょっと心配になっていたら、くわっと目を見開いてがしっと腕をつかまれた。ちょっと痛い。しーちゃんは構わずに、


「れーちゃん天才! そうだよ、困った時はいつでも相談していいって言ってたよね! あたしたち、まさに今困ってるじゃん。よし、早速連絡してみよう!」


 すぐにしーちゃんがインストール済みのアプリから無料通話ができるものをぽちっと押して入力し出したので、私はあわてて止めた。


「ちょっと待って、しーちゃん」


 その言葉でぴたりとしーちゃんが動きを止める。そしてぎぎーっと音がしそうなくらいぎこちない動きでこちらを見ると言う。


「待ってる。……ねえ、れーちゃん」


 珍しくしーちゃんの眉が下がり、ちょっと困ったような顔をしている。私の心臓が大きくねた。しーちゃんが続ける。


「あたしさ、今日なんでかわかんないんだけどれーちゃんに頼まれるとね、やりたいって思ってても、やめなきゃ、とか待たなきゃ、って身体が自動的に一時停止するんだ。いつもならさ、やりたい! って思ったらすぐ体が動き出してる感じだったのに……」


 そう言うとあごこぶしを当てる。しーちゃんが考え込むときのポーズだ。それを見ているうちに心臓がばくばくとうるさいくらい大きな音を立て始める。


「そ、それで?」


 内心の動揺どうようを必死で隠して聞くと、しーちゃんがじっと私を見てくる。やばい、冷や汗が出てきた。しーちゃんが言う。


「あたしさ、自分でもこれはまずい、とかやばいとは思うんだよ? だけど、やってみたい! って思ったらもう体が動いちゃってるんだ。それは自分じゃ止められないんだよ。だから、そんな時に一時停止できてるのはある意味助かってるっちゃ助かってるんだけど。でも、今までれーちゃんと一緒にいてもこんなことなかったし、時々れーちゃんが声に出してなくても頭の中に直接れーちゃんの声が響いてきて身体が停止してる時もあるんだよね。……ねえ、れーちゃん」


 どきぎくり。


「は、はい!」


  思わずしーちゃんから目をらしてしまう。しーちゃんはそんな私をじーっと見ながら言う。


「昨日の夜、何かあったね? あたしの知らないうちに」


 ── ぎゃーっ! ばれたー!


 心の中で思わずさけび声を上げると、しーちゃんがにやりと笑って言う。


「今、ばれたーって考えてたよね?」


 ── どわひょえしゃあああぁぁ!


 もうパニックだ。どうしようどうしよう! そりゃあいつかはぱれるだろうって思ってた! うん、それは間違いない。だけどこんな早く、しかも逃げ場のないところで問い詰められることは、想定外っ!


 ──……落ち着け、私。


 ちらりとしーちゃんを見ると、私の心の中の雄叫おたけびがそのまま伝わったみたいで頭を押さえている。


 ── 今のうちに考えを整理するんだ!


 ……思念体になってた時のことは、絶対言っちゃ駄目だと思う。これは決定。じゃあ、そこを飛ばしてどう説明したらいい? レイアーナさんは何て言ってたっけ? 

 そこではっとした。


 ── これだ、レイアーナさんのせい!


 私はしーちゃんに言う。


「あのね、しーちゃん。しーちゃんは覚えてないみたいだけど昨日の夜中に、レイアーナさんとシュリーアさんがもう一度来たの」


すみません。次回に続きます。

続きが気になる、面白いな、と思っていただけたら、下の方にある⭐️をぽちっと押したり、いいね、ブクマしていただけると嬉しいです。

ブクマが一人増えました。ありがとうございます。とても嬉しい…(泣)これからもがんぱります!!


読者の皆様の応援が書く力になります。再読していただいている皆様、本当にありがとうございます(泣)


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とうとうしーちゃんにバレてしまいました!! れいちゃんは隠したい所を隠して話せるのだろうか? 何か勘のいいしーちゃんには全てバレそうな予感が。 続きも楽しませていただきますね٩( ´ω` )…
[良い点] しーちゃんとしては、違和感まみれでしょうから、仕方のないことと思います。気持ちや意志を友人とはいえ制止されるというのは、思想良心の自由に慣れ親しんだ自分としては、どうしても恐ろしく感じてし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ