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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

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70/194

70 レイアーナ視点  五人目のイルラ

70話目になります。

前回分に大幅加筆しています。気になる方はそちらもお読みください。


加筆修整しました(05.5.28)


『そうか。よくやった。話は後で聞こう。先ずは休め』

『はい』


 シュリーアが体に戻り、思念波を吸収させていく。イルラを得たことで安心したのか、口元がゆるみ、うっすらと笑みがうかんでいる。つられたように私の口元も引き上がっていた。これでイルラは四人になった。……だが、まだ四人だ。


 地球の地図を思い浮かべる。フランス、アメリカ、ブラジル、インド。北半球に三人と南半球に一人。……せめて南半球にもう一人は欲しい。それから、中国にも。


 中国についてはミシェルの調査で、近年目覚ましく発展を続けているという観光客も多いある街を勧められた。

 次の目的地は、ここにするか。

 そのときシュリーアの呼ぶ声がした。思念波の取り込みが済んだらしい。

 

『それでは、報告を頼む』

『かしこまりました………』


 シュリーアの話によると、ニューデリーというインドの中央辺りにある大都市でイルラを獲得したということだった。アリーシャという名前で、大学を受けるための学校に通うシュリーアよりも少し年輩ねんぱいの女性だという。


 アリーシャはジャパンという国のアニメのファンで、シュリーアをそのキャラクターのコスプレイヤーだと思っていたそうだ。アニメとは二次元動画のことらしい。


『コスプレイヤーとは何だ?』


 そう尋ねると、シュリーアは少し眉を下げて微笑みながら答えた。


『わたくしもよくわからないのですけれども、架空の物語世界に登場する人物に仮装する者のことだそうです。こちらの世界で人気があるという二次元動画を携帯電話で見せていただきましたわ』

『こちらの世界の二次元動画か』

『ええ、興味深いものでした。ただ……』


 シュリーアが少し口ごもる。


『どうした?』


 先をうながすと言いにくそうにしながら答えた。


『アリーシャなのですが、少し身体が弱いようです。とても疲れやすく、通学は体調次第なのだとか。ですが、あの国はとても人口が多く、いつも人通りが絶えないそうで、室内にいたとしても容易に思念波を集めることができるだろうと申しておりました』

『ふむ。アリーシャのことは少し気掛きがかりだな。だが、すぐに対処しなければならないほどではないのだろう?』

『ええ。わたくしが気を配るようにいたします。御姉様の方はいかがでしたか?』


 私はジョンソンから思念波を回収したこと、新たにイルラとなったディエゴのことをシュリーアに伝えた。それから次の計画について話す。


『これでイルラは四人になったが、まだ必要な人数の半分ほどしか得られていない。明日はまた別の国で探してもらうことになる』

『かしこまりました。次はどちらに參ればよろしいのでしゃうか?』

『私は中国に行く。シュリーアはオーストラリアに向かえ。目指す都市の場所は分かるな?』

『はい』


 シュリーアがうなずくのを確認し、


『それから今回無事にイルラを得られたら、そのまま帰艦せず赤道上空で待機たいきするように』


 と指示を出す。シュリーアは左胸に右手を当て礼を返した。さらに続けて言う。



『今回得られれば地球全体にイルラが配置されることになる。そこで次は思念波網しねんはもうを構築する』

『思念波網……ですか?』


 首をかしげで言うのに答える。


『そうだ。我らの思念波で地球全体をおおい、イルラの監視と新たなイルラを見つけやすくする。また不測な事態じたいが起きた場合にいち早く対処するための措置そちでもある』

『そのようなことが……』


 目を見開くシュリーアに言う。

 

『出来る。地球はアレトのように思念統制がされていない。それゆえイルラに思念石を与えたことで、どのような事態が起きるかわからぬ。出来るだけ未然に防ぐために必要な措置そちだ。明日は出来るだけ多くの思念波を集め、待機場所に到着次第、思念波を思念核に吸収させておくように。……さあ、もう休もう。明日も忙しくなる』






  翌日、地球に降りた我らは赤道上空で南と北に別れた。そこからユーラシア大陸の東端を、海岸線に沿うように北上し、ミシェルの指定した街を目指した。大陸の突き出た腹の先、北と南に大きな河口を持つ、広い入り江に挟まれた地形にその街はあった。


 大海に面したその街は、異国情緒いこくじょうちょあふれていた。と同時に、マンハッタンほどではなくとも高層ビルが林立し、パリのように近代的な建物が立ち並ぶ一角もある。不思議な魅力のある街だった。古い町並みを取り囲むように高層の建築物が立ち並ぶ。遠目からではそっくり同じ建物がいくつも連なっている場所(おそらくは住居だろう)があれば、反り返った屋根に色鮮やかな瓦葺かわらぶきの歴史を感じさせる建築物が建ち並ぶ場所もある。今まで見たことのない景色に、しばらく目を奪われた。


 ─── アイサに似ているな。

 

 アレトの大国の一つを思い出す。場所的にも同じだろう。街中を歩く人々の多くは肌の色が明るい黄色に近く、髪の色は黒か濃い茶色の者が多い。


『ここが、上海か』


 街の中心部上空で一度停止すると、私は思念波を展開し、イルラを探し始めた。



ネット大賞の感想ページにタイトルと作者名が載っています。嬉しい…。


宣伝です。新作短編を投稿しました。

「星に還る」


 https://ncode.syosetu.com/n0157ig/


 この物語が少しでも心に残ってもらえると嬉しいです。

 その想いが星に届きますように 


本編、短編 どちらも応援していただけるとまりんあくあが変な舞を舞って喜びます。


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 地球を覆う思念派網ですか。シュリーアさんの計画はどんどん進んでいますね。この大掛かりな作業で地球や人間にどんな影響が出るのでしょうか。 もしこれが宇宙人の罠とかなら、協力してる間に気がつく…
[一言] 次々と集まるイルラ達。 様々な人々が世界を救う為に思念波を。 世界の危機を是非救って欲しいですね! 楽しみに続きを拝読させていただきますねꙭ(*˙︶˙*)ノ҉
[良い点] シュリーアのほうは、なんとなく四苦八苦しながらコトを進めていて、それが原因ではないでしょうが、イルラ探しも難航しているように見えました。先のガイドのナンパマンといい、アリーシャも性格のかわ…
感想一覧
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