66 協力者になる
ようやく協力者として認められます。
加筆修正しました。(22.6.12)
さらに修整しました
(23.05.22)
「レイアーナさん」
しーちゃんが今度はレイアーナの方に強い視線を向ける。
「もし、大地の力をそのままにしておいたら、あたしたちはその災害に巻き込まれるんだよね?」
すると、眉をしかめたまま答える。
『その可能性は高いと思う』
「それ、命に関わるよね?」
しーちゃんが聞くと、渋々と言った様子で言う。
『恐らくは』
「あたし達以外に協力者になれる人はいたの?」
さらに問い詰めると、仕方なさそうに答える。
『そなたらに受容体を渡してからも探してはみた。しかし、適任者は見つかっていない。そなたらには劣るが感応する者はいた。しかし、我らの姿を見た途端に拒絶したのだ』
「じゃ、やっぱり、あたしたちしかいないってことだよね?」
しーちゃんがふんと鼻を鳴らして言うと、レイアーナがため息をついた。
『だが、そなたらには過ぎた荷であることも事実だ。そなたらのように小さい者が多くの人の命を背負う必要があるとは思えない』
するとしーちゃんが、ふっと不敵に笑って言う。
「大人の人っていつもそう言うよね。あたしたち子どもにはわからない、とか、まだ早い、とか。もう一つ聞くけど。大災害が起きるまでに、どれくらいの余裕があるの? 他の協力者を探していて間に合うの?」
『我らはこの地に詳しくない。具体的にいつとは言えぬ。だが、このままにしておけば確実に大きな災害が起こる。今の段階は、我がエミューリアなら早急に対処を求められるレベルには危険だ』
しーちゃんが私の手をぎゅっと握って、二人に向かってきっぱりと言った。
「あたしもれーちゃんも気持ちは固まってる。不安がないわけじゃない。でも、あたしたちがやらなくて大災害が起こる方が、もっと嫌だ」
レイアーナが冷たい声で言う。
『我らは協力出来ない。それでもやるのか?』
私たちの答えは決まっている。顔を見合わせて頷くと、二人に向かってきっぱりと言った。
「やるよ」
「やります」
すると、シュリーアが今まで聞いたことのない淡々とした声で言った。
『あなた方が何とかしたいと思っている気持ちはわかりました。ですが、それでもわたくしはあなた方に警告します。あなた方の思念石はまだ成長途中です。今日わたくしたちがあなた方の受容体に干渉したことにより、あなた方の思念石はより周囲の思念波を取り込み易い状態になっています。わたくしたちが思念波を回収する度に、その流れは大きくなっていくでしょう。シーナは今日、思念酔いを起こしましたね? これからはより強い思念波にさらされます。もしもその流れに呑み込まれてしまえば、シーナの思念波が全て受容体に吸収され、存在そのものを失くしてしまうかもしれません』
「それはどういう意味ですか?」
私が尋ねるとレイアーナが答えた。
『そなたらの思念波が根こそぎ受容体に取り込まれてしまう可能性があるということだ。意識を失うか、最悪の場合は死ぬ。脳そのものが損傷を負う危険性もある。そなたらがまだ成長途中であるためどのような影響が出るか正直分からぬ。我らの世界でもシュリーアの年齢になって初めて思念波の扱い方を学ぶのだ。年齢が下がるほど思念波のコントロールは難しくなると言われている。そなたらはいくつだ?』
「十歳になります」
『そなたらが地球とよぶこの星を、我らの世界ではアレトと呼んでいる。アレトで十歳はようやく学院に通い出す年齢だ。シュリーアは今年十六になる。そのシュリーアでさえようやく学び始めたばかりだ。そなたらは若すぎる』
── このままでは思念石を回収されてしまうかもしれない。どうする? 引き下がる? ……だめだ、そんなこと出来ない!
私は勇気をふりしぼり、レイアーナに向けて言った。
「それでも……それでも可能性があるならそれに賭けたいです。危険なことは分かります。それでも挑戦したいんです。思念波の勢いに呑み込まれなければいいんですよね? それなら頑張れます。今日、ちょっとコツをつかめたと思うんです。それに、失敗しなくても大災害が起こったら、死、死ぬかもしれないのは変わらないですよね?」
しーちゃんも言う。
「あたしは、やらないで後悔するよりはやってから後悔する方がいい。今日酔ったのは、つい他の人の思念波に気を取られてジェットコースターのてっぺんから落ちる時みたいに受容体に引っ張られちゃったからだ。原因が分かってるから、次は失敗しない」
するとレイアーナは一度目を閉じ、再び開くと感情のこもらない声で言う。
『そなたらが災害を防ぎたいと思うならば他に選択肢はない。ならば出来る限りの協力を約束しよう。小さいそなたらを協力者にしたのは我らの責だ。我らが捕まらない時はミシェルに相談すればよいだろう。そなたらにエスエヌエスのパスワードを伝える。これよりそなたらを我らの正式な協力者とする。引き続き思念波を集めてもらいたい。我らは地球の言葉も文字もよく分からぬ。映像で送るので手を貸せ』
レイアーナとシュリーアが手を伸ばす。私としーちゃんは二人の手に重なるように手を伸ばした。
やっと二人もイルラになりました。
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皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。




