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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

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65 怜奈と詩雛の決意

協力者になるために、二人が決意を伝えます。


修整しました(05.5.21)

 レイアーナが目を細め、右側の口元を軽く引き上げる。


『なるほど。覚悟かくごは出来ているというわけだな。……だが、シーナ。もしも本気で防ごうと思うのならば並大抵なみたいていの覚悟では出来ぬぞ』


 そう言うとくっと口を引き結び、強い視線が射るように見据みすえてくる。するとしーちゃんが真面目な顔のまま答える。


「そうだろうね。大自然の力をき止めようとしてるんだもの、並大抵の力では止められないことはわかってるよ。でも、」


 ぐっとこぶしに力を入れて握りしめるとレイアーナをにらみつける。


「あたしたちが何とかしなきゃ、確実に大災害が起きるんでしょ? 頑張るしかないよ」


 ── やっぱり、しーちゃんはすごいな。


 迷いなく言い切れる強さは私にはない。だけど、だからって置いていかれるわけにはいかない。

 

 私も、自分で決めたから。しーちゃんに負けていられない。ぐっと顔を上げる。大変なことに向き合わなければいけないのは分かってる。でも、もう後には引けない。選んだから。握った拳が震えるけど。それでも。


 頑張れ、私!


「わ、私も同じです。私たちにしか出来ないなら、やります。頑張れば防げるなら、頑張ります。だから教えて下さい。どうすれば防げるのか。お願いします」


 無表情で聞いていたレイアーナが感情のこもらない声を出す。 


『そなたらが覚悟しているのはわかった。だが、ここから先は考えている以上に厳しい道になる。そなたらの思念石を見せてみよ』

「思念石? これって受容体って言うんじゃないの?」


 しーちゃんが不思議そうに言いながらスマホを取り出すと、


「何これ!」


 と青い顔になった。しーちゃんの受容体は、小さなうす青い勾玉の形になっていた。

 え、どういうこと? 私も急いで御守り袋の中に手を入れる。手に当たった受容体の形が明らかに変わっているのがわかった。取り出してみるとあい色に近い濃い青色の、小さな勾玉の形に変わっている。


 ── 何、これ?


 昨日見た時は平べったい角の取れた四角みたいな形だったはずだ。今日一日で異常に大きくなっている。どうして……って、原因はきっとあのものすごい思念波の吸収だ。それしか考えられない。勾玉を持ったまま固まっていると、



『そなたらの持っている石が思念石だ。その中に我らが入れたものが受容体になる。そなたらの思念石はまだ思念核になっていない。これからまだまだ成長するだろう。今日より明日、明日よりその先は今以上に思念波を吸収するようになる。思念波を力として使えるようになるにはまずその思念石を思念核に成長させる必要がある。……だが、今以上の思念波の吸収に耐えるのは辛いのではないか?』


 レイアーナが気づかうように言うと、シュリーアも表情をくもらせて言う。


『わたくしたちが想像していた以上にあなた方は思念波に馴染なじんでおられます。あなた方は成人の協力者からは考えられない速さで思念石を成長させているのです。今ならば短い記憶の消去で済みます。ですが、ここから先は本来持つ思念波にも影響が出てくるでしょう。あなた方の存在そのものに、影響が出ます。わたくしたちのせいとは言え、これ以上負担をかけるのは本意ではありません』


 シュリーアはためらうように唇を結んだり開いたりするのを繰り返し、一度ぎゅっと目を閉じた。それから目を開けると、今までになく強い眼差まなざしで厳しい口調になって言う。


『これからもわたくしたちの協力者であり続ければ、今のあなた方ではいられなくなります。あなた方はわたくしたちに馴染み過ぎるのです。今ならまだ間に合います。わたくしはあなた方を協力者としてしばりつけたくありません。あなた方はまだ子どもです。これ以上協力者でい続ければ、未来まで変わってしまう』


 それを聞いていたしーちゃんの顔がどんどん険しくなっていった。シュリーアが言い終わると同時に、腕を組むとにらみつける。


「じゃあ、聞くけど」


 指先が腕にくいこんで、かすかに震えている。

 しーちゃんが怒っている。それもめちゃくちゃに。私が戸惑っている間にどんどん話が進んでいく。


「そんな()()()あたしたちが協力者に選ばれたのは、なぜ? 他にいなかったからじゃないの?」


 本当は怒鳴どなりたいんだと思う。でもそうすると下にいる父さんや母さんに聞こえてしまう。だからものすごく低い声でしーちゃんが言う。


「シュリーアさん。あたしはあなたの感応者だから分かる。もっと大人の人を協力者に選びたかったんだって。でも、あたし以外にいなかったんだよね? あなたたちが見つけた、大災害を防げるところにいる協力者は、あたしたちの他にいない。そうだよね?」


 シュリーアが辛そうに目を閉じる。しーちゃんは構わず言い続ける。


「あたしは怖くないわけじゃない。考えたら怖くなるから考えないだけ。だけど、救えるなら救いたいよ。あたしとれーちゃんにしか出来ないなら、あたしはやってやる」

早いもので、65話目を投稿出来ました。

まだまだ続きますよ!

今回は私的には力作です。


ブクマ、いいね、ずーっと下にある⭐️を入れてくれると、とても嬉しいです。よろしくお願いします。


現在改稿中のため、本編更新はお休みしています。まりんあくあの新作を読みたい方は、こちらをどうぞ。

しーちゃんが主人公のコラボ小説です。


「しーちゃんが行く!~絶望の箱庭~鳥籠の姫君~のワールドエンドミスティアカデミーにお邪魔しました!」

今回から二章に入りました。二章ではいよいよれーちゃんも転移します。お楽しみに。


 https://ncode.syosetu.com/n0156hr/


それではまたお会いしましょう。

皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] れーちゃんとしーちゃんの強い決意が伝わってきましたが、今度はレイアーナさんたちの方が少し躊躇している様子。 やっぱりこんなことを続けていたら、本来の自分たちじゃなくなってしまうんだろうな、…
[一言] れいちゃんとしーちゃんは更なる気持ちを新たにする。 そして二人の気持ちはきっと未来をいい方向に進められることでしょう! 続きを楽しませていただきます(๑•̀ㅂ•́)و✧
[良い点] 自我が揺らぐというのは、現実世界では考えられないだけになかなか難しく、それでいてとても面白いテーマかと思います。ある意味においては死ぬことと同義な気もします。それを若い身の上で本当に覚悟で…
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