表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/194

60 花火って火器?

60話目です。

アクセス増えて嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。


修正しました。(22.5.15)

再度加筆修整しました(23.5.4)

『はい』『うん』


 私達が答えるとレイアーナがニヤリと笑った。


『ここは人が多い。夜までに、さらに集めてもらうとしよう』

『……え?』


 何をするつもりだろう? どくん、どくん、と心臓の音が大きく聞こえる。そのとき、


『戻って来られます』


 シュリーアがそう言ってしーちゃんの側に降りて来た。するとレイアーナが、


『シュリーア。一度思念波を回収する。半分程で良い』


 と指示を出す。シュリーアは、


『かしこまりました』


 と言うとしーちゃんに声をかける。私には、


『今から思念波の一部を回収する。回収後は思念核の空いたスペースに一気に周囲の思念波が流れ込む。波にまれ、思念酔いしないように気をつけろ。受容体にそなたの思念波をしっかりとつなぎ止めておくのだ。出来るか?』


 と確認してきた。だけどこれはさっき経験済みだから、


『大丈夫です』


 とはっきり答えた。


『そうか。では、思念波を回収する』


 ぞわり。今までとは違う感覚がおそってくる。何これ!? とびくりとした身体をはうように、強い思念波が受容体へと向かう。


『じっとしていろ。すぐに済む』


 同時にレイアーナの思念が読み取れた。急いで自分の思念波を受容体に繋ぎ止める。そのままぐっと力を入れるように橋を維持していると、川の流れが逆流するように受容体から何かが流れ出て行くのがわかった。今までと反対方向の流れに、ぞわっと鳥肌が立つような気持ち悪さを感じたけれど、流れから意識をそらすとすぐにただ動きを感じ取れるだけに落ち着いた。

 本当は一瞬の出来事だったのかもしれない。でも、数分か、もっと長くかかったように感じた。流れが止まると再びレイアーナの声が聞こえた。


『回収は無事に済んだ。だが気を抜くな。私の思念波が離れると一気に周りの思念波が流れ込むぞ。呑まれぬようにして耐えろ』


 ほっとして受容体から意識をそらそうとしていたので、慌ててもう一度繋ぎ止める。


『では離すぞ。先程と同じようにしていれば大丈夫だ』


 そう言うとレイアーナの思念波がスッと引いていく。その途端、今までとは比べものにならないくらいたくさんの思念波が一気に押し寄せてきて、飛び込むように受容体に吸収されていく。まるでジェットコースターで急降下しているかのような勢いで、こちらも引きずられそうになる。必死で踏ん張っているうちに、徐々に流れがゆるやかになり、いつの間にか元の状態に戻っていった。

 流れを感じなくなり、ほーっと深く息をついた。気付くと身体中が汗でじっとりとしている。


『……気分はどうだ?』


 レイアーナが私の顔をのぞき込んできた。少し眉が寄っている。きれいな濃い水色の髪が、キラキラしながら顔の横を流れ、顔の周りを彩っている。白い肌に、あまりにも整った顔立ち。思わず心臓がとくんと跳ねた。ラピスラズリ色の瞳と目が合う。宝石みたいにきれいだ……。見とれていると、すっと顔が離れる。

 

『異常はなさそうだな』


 無表情にそう言うと、シュリーアに声をかけた。


『そちらはどうだ?』


 シュリーアはしーちゃんの顔を覗き込むように身体を屈めていたが、レイアーナの方へ向き直ると答える。


『シーナさんは少し酔われたようですが、回復してきておりますわ』


 しーちゃんは少し顔色が悪いけれど、しっかり立ったままで大丈夫そうだ。レイアーナはちらりとその様子を確認すると、


『ではまた今夜に』


 と言うと、身体を浮かせる。その時はっと思いつき、離れていくレイアーナの手に自分の右手を重ね、


『待ってください』


 と伝えた。


『どうしたレナ』


 いぶかしげに見下ろすレイアーナに急いで伝える。


『今晩、家の庭で花火をします。良ければ見に来ませんか?』

『ハナビとは何だ?』


 けげんそうに聞く。あ、やっぱり知らないんだ。そのときシュリーアが、


『もうすぐ到着されます』


 と知らせてくれる。私は慌てて伝えた。


『見てもらえばわかると思います。夜、お待ちしています』

『わかった。ならばその時に来よう』


 二人は以前と同じように天井を突き抜けて帰って行った。それを見送り、しーちゃんに声をかけようとした時に母さんが戻ってくる。そして、


「ごめんなさいね。職場から連絡があったのよ」


 と申し訳なさそうに言う。……あれ、職場?


「今日学校って休みだよね?」


 不思議に思って聞くと、


「それがね、若い子たちは仕事が終わらないからって休日返上で学校に来て仕事してるの。急がなくていいって言ったんだけど……」


 と苦笑してため息まじりに言った。するとしーちゃんが、


「お休みはしっかり休むのが仕事なのにねー」


 と訳知り顔に言った。……良かった。そんなにひどい思念酔いじゃなかったみたい。顔色も元に戻っている。 

 すると母さんもくすりと笑って、


「それがね、仕事が残っていると思うと気になってゆっくり休めない、って言うの。しっかりと仕事を終わらせてからお休みを満喫まんきつしたいんですって。さ、この話はもうおしまい。二人とも気に入った花火は見つかったの?」


 と聞いてきた。私たちは途端に、うわっ、やばっ、と声を出して、大慌てで品定めを始めた。「大体しーちゃんがあんな大きな打ち上げ花火したいって言うからー」と私が言えば、しーちゃんは「花火は女のロマンだよっ」と良くわからないことを主張してきたりして、相変わらずわちゃわちゃ言いながら、無事に手持ち花火をゲットすることが出来た。


はじめましての方、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

再読の方、本当にありがとうございます。皆様の応援が改稿を後押ししてくれています。頑張って終わらせます!


面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。


それではまたお会いしましょう。


皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] むむ。思念波の回収もけっこうぞわぞわするんですね。 そして思念酔いも。ジェットコースター波とは激しいです。 思念波が集まる度にぐるぐるなるのは小学生にはちょっとつらそう、と思ってしまいます…
[一言] 無事レイアーナに思念波を渡すことが出来て良かった! そして夜に花火を披露することに! レイアーナ様へのプレゼントは果たして気に入ってもらえるのだろうか? 続きを楽しみに拝読させていただきます…
[良い点] レイアーナたちはなかなか思考を読ませない印象で。レナたちが子供というのもあるでしょうか。彼女らの視線からだと、本人たちからの視線のときとは、また別に感ぜられて面白かったです。 [一言] 花…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ