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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 1 第一章 楽しい夏休み

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6  乙女心なんて、期待しないで

ようやく発掘作業一日目が終わります。

次回は、レイアーナ視点の異世界からとなります。


加筆修整しました22.8.25

 うん、ここは話題転換だね。


「父さん。玄室げんしつは見つかったの?」


 父さんが嬉しそうにウインナーを食べながら答えてくれた。


「石組みらしきものが見つかったからね。多分そこが入口だと思う。この後、重機で掘り下げて確認してからにはなるけれど、大丈夫そうなら明日、御祈祷ごきとうしてもらってから開けてみることになるよ」


 古墳が造られてから長い時が経つ。その間に堆積たいせきしたものをとり除かないと、その時代の物が見えてこないらしい。そういえば、埴輪が見つかったところも深く掘り下げられていた。発掘って、思ったより大変だ。


 でも、発掘するのに御祈祷って?


「父さん、発掘するのに御祈祷が必要なの?」

「千年以上前とはいえ、お墓だからねえ」


 お墓だから、御祈祷??


「お墓ってことは……。」


 私が考えていると、しーちゃんも不思議に思ったらしい。

 

「ユーレイが、出る?」


 コテンと首をかしげながらそう聞いた。いや、でも幽霊って……。まさか、出るの!?

 出るとしたら、やっぱり、貫頭衣とか、みずら髪の人!?

 あ、女の人なら羽衣みたいなの、着てるのかな?

 それとも鎧を着た武者とか?


 たたられるのはいやだけど、その当時のまま出るんなら……ちょっと見てみたいかも。

 私がいろいろと想像してにまにましていると、背中にげしっと衝撃が来た。痛い。


 振り返るとしーちゃんがこわい顔で、ひじを曲げている。

 またやってしまったらしい。でも、もうちょっと優しく気付かせてほしいよ……。

  私が背中をさすっていると、


「あー。その……」


  お父さんが言いにくそうに口ごもった。

  ん?幽霊じゃないのかな。そっか。お墓といえば──


「そっか。死体だー」


 あっさりと身もふたもない答えをしーちゃんが口に出したことに、父さんの方が引いている。

 しーちゃんは思ったことを口に出してしまうだけで、決して悪気はない。こっちが言いにくそうにしていてもそんなのお構い無しだ。

 あっけらかんとしているので、私も気にしない。まあ、古墳って、ようは大きなお墓だもんねー。


「普通こういうときって、女の子はきゃー、とかこわいーとか思ったりするものなんじゃあ……」


 父さんが一人でぶつぶつこぼしているけど、そんなの気にせず私が続ける。


「古墳なんだから死体があるのが普通でしょう。前に父さんが連れて行ってくれた資料館でも、復元された古墳の中に展示してあったよね?」


 以前父さんが連れて行ってくれた、資料館に展示されていた玄室を思い浮かべてそう言うと、


「あれは、一応復元模型だから……。」


 とまだ未練がましくぶつぶつ言っている。

 古墳の発掘をするという時点で私には想定範囲なので、特に驚かないんだけどな。

 しーちゃんも、お化けとか見たことのないものは信じないタイプなので、特に怖いとかは感じていないと思う。


 普通にもぐもぐとお弁当を食べ続けていると、しばらくしてようやくショックを受けていた父さんが復活してきた。


「こほん。あの方墳には出土品から見ても、ある程度身分の高い人が埋葬されていると考えられるね。……あー、二人とも、明日はお休みでいいかい? それとも、他の友達に会いに行くとかなら、また連れて来てあげるけれど」


「ん? 何で? 明日のそのご祈祷とかって参加しちゃダメなの? だって、その後で玄室に入るんだよね?」

「えー。ダメなの!? 何で何で!?」


 私としーちゃんが口々に文句を言うと、父さんが何かこめかみを引きつらせている。何でかな?

 二人して顔にはてなを浮かべながら顔を見合わせていると、小鳥遊さんが苦笑しながら説明してくれる。


「二人ともお墓の中に入るのって、気味悪くないのかい?

 それに、玄室までの通路とか、中ももちろんだけれど足元も見えないまっ暗闇だよ。虫も出るし、何がみついてるかもわからない。」

「また、危ないからダメってことね」


 小学生せつない。お兄さんくらいの大人だったら良かったのに。またがっかりしょんぼりだよ。ため息をついていると、


「えー! 中入るのダメなの!? あれもダメこれもダメ! つっっまんないーーー!」


 あ、しーちゃんがキレた。足をバタバタして大声で叫ぶ。

 周りの視線が集まってきた。


「詩雛、お前気味悪くないのかい?」


 小鳥遊さんがさすがに慌ててしーちゃんに声をかける。


「むー。虫はやだけど、中は気ーにーなーるー! お宝ありそうだし! あ、死体はどうでもいい。どうせあっても骸骨かミイラでしょっ。そんなの興味ないし!」


 鼻息荒くしーちゃんは言い切った。


「どうでもいいって……あー、怜奈ちゃんはどう? 暗いとこわいよね?」


 小鳥遊さんがね、ね、と同意を求める視線で訴えてくる。

 ごめんなさい小鳥遊さん。こういう話題でもしっかりご飯が食べられる私達に、そんな乙女心は、ない。


「え? 別に。気になりません。それよりも副葬品ふくそうひんの方が気になります! 豪族ごうぞくなら、剣とかあるかも。妻の墓もあるなら、装飾品そうしょくひんとかもありそうですよね!」 


 すっごく楽しみだと答えると、小鳥遊さんのこめかみにも汗の筋がついている。少しひきつった顔で、再度たしかめるようにたずねてくる。


「えー、と。……こわく、ない?」


 二人してにっこり笑いながら、全然、と答えたら、父さんと顔を見合わせて、ちょっとひきつった顔で笑い合い、お互いに頷くと肩をたたき合った。私達に乙女心を期待するのはあきらめたらしい。


 父さんが言った。


「あー。じゃあ、二人とも明日も参加、ということでいいかな?」

「やったぁ。父さんありがとう!」

「ふっふっふっ。ようやくお宝のにおいがしてきたねっ」


 私はにっこり作り笑顔で父さんに礼を言い、しーちゃんは顎に拳をつけながら、にやりとした。あれはばっちり、好奇心が刺激されているね。


 ──ああ、これは明日良からぬことに巻き込まれるかも知れないな。

 と思ったけど、楽しみなので深く考えないことにした。


 午後からの作業は、主に発掘したものをテントの下で仕分けしたり、それを搬出したりと細かい作業をするということだった。私達は荷物を運ぶお手伝いをしたり、暑さに負けて博物館へ避難して、見学しながらおしゃべりをしたりして楽しく過ごした。

   

 その間に父さん達によって無事古墳の入口は確認され、ふさがれている石組みを取りのぞくための準備が整えられた。


 発掘作業の一日目は、こうして楽しく終わった。

発掘に実際に関わったことがあるわけではないので、違ったりするところはある思います。


しーちゃんとれーちゃんのかけあいを楽しんでいただければ嬉しいです。



面白いな、続きが気になる!っと思っていただけたら、ずーっと下の方にある⭐️をポチポチポチっと押したり、ブクマ、いいねで応援してください。


感想もらえるとまりんあくあが大喜びします。レビューいただけると、変な舞いを踊って喜びます。


それではまたお会いしましょう!


皆様に、風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お墓も死体もへっちゃらなれーちゃんとしーちゃんが楽しげでいいですね(๑˃̵ᴗ˂̵) 古墳、発掘……あまりよく知らない分野なので、ほうほう、と私も楽しく読ませていただいてます。だけどタイトル…
[良い点] 一話ごとに短くまとまっているので ストレスなく読み進めることができて とても良いです(*´ω`*)
[良い点] 古墳も言われてみれば、要するにお墓、と気付かされました。まだ子供の主人公たちの感覚と大人の感覚とのギャップが面白いですね。
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