表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編5 第五章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/194

56 会合対策会議

やっと異変の欠片が…。すみません、まだ欠片だけです。

 しーちゃんが真面目な顔になってうなずく。


「あたしも見たよ。レイアーナが栗色のくしゃくしゃっとした髪の男の人にミシェルって、呼びかけてた」

「見たのは同じ夢みたいだね。レイアーナとシュリーアが空からパリの街をながめていて、変わった形のビルに向かって飛んでいったよ」


 私は夢の中で見たことをしーちゃんに伝えた。うんうん、と聞いていたしーちゃんが言う。


「あたしはね、シュリーアさんが戸惑ってたのを感じたよ。たぶん初めて地球に来て、初めて人に会ったからだと思う。あれ、すごいね。まんまゴーグルアースを目の前で見てるみたいだったよ。生でって言うと変かも知れないけど、エッフェル塔とかルーブル美術館とか。あと凱旋がいせん門! ただで観光旅行してるみたいで得した気分だったなー」


 そう言って天井を見上げるとあごこぶしを当てる。


「ミシェルさんって働いてるみたいだけど、あの人若いよね?」

「私もそう思った。松永さんとそんなに変わらないんじゃないかな」


 しーちゃんがそのままの姿勢で一人言のようにつぶやく。


あの二人(・・・・)に会う日に、それに合わせてあの夢を見たのだとすると……。やっぱり何かメッセージみたいなものが入ってる、って考える方が自然だよね」

 

 しーちゃんは拳を顎にとんとんと当てながら軽く身体も揺らし始める。考え込んでるときの合図だ。今のうちに自分の考えを整理しておこう。あの人達に会ったら伝えること。聞くこと。

 考えがまとまったのか、しーちゃんが顎から手を離した。


「ねえ、れーちゃん。今日話すことなんだけど……」


 私たちは相談して聞きたいことをまとめた。


  一 協力者になることを伝える

  二 ミシェルさんのことと、Chatter(チャター)のことを聞く

  三 大災害のことをもう少し詳しく聞く

  四 思念波の使い方を聞く


 時計を見るともう待ち合わせの時間が近付いていた。立ち上がろうとするとしーちゃんが、


「二人と会うの、今日の午後で間違いないよね?」


 と聞いてきた。


「うん、三日後のこの時間って言ってたから、たぶん午後三時くらいじゃない?」

「説明会の後ってたぶんランチに行くよね。その後母さんを家に送って、それかられーちゃん()に行くでしょう? 何とかおばさんから離れてれーちゃんの部屋で話せるかなー」


 ちょっと考えて首を振る。


「どうかな。今日ここに来る前、母さんに自由研究のチェックを受けたんだよね。この土日に進めた方がいいんじゃない? って言ってたから、たぶんランチの時にその話を進めるんじゃないかと思うんだよね。その後は実験に必要な材料を買いに行くことになると思うよ」


 れーちゃんがまた顎に拳を当てて言う。


「そうすると、買い物中に時間になっちゃうかも知れない?」


 そうならないといいけど。あいまいに笑ってごまかし、


「しーちゃん急ごう。時間過ぎちゃうよ」


 と言ってしーちゃんを引っ張り上げると入口へ急いだ。ヤバいー、また怒られるーと叫ぶしーちゃんは、きっぱりと無視した。


 入口に着くと母さん達がもう待っていた。でも説明会までの時間が押していたのでお小言はなしでそのまま発掘現場に向かった。危なかったー。

 

 外は少し雲があるけれど晴れていて、やっぱり蒸し暑い。涼しい博物館にいたから余計そう感じる気がする。私もしーちゃんもUVカットの長袖を羽織り、帽子を被った。みんなでぞろぞろと説明会のある場所に移動する。いつもと違い、発掘現場に向かう人がぽつぽつと固まりになって歩いている。


 現地に着くと結構人が集まっていた。中には団扇うちわ扇子せんす携帯扇風機けいたいせんぷうきを持っている人たちがいる。少し歩いてきただけで背中に汗が流れている。突然、首筋に冷たい物を当てられて、ひゃ! と声を出してしまった。母さんが「はい」と手渡してくれたのは冷感タイプのウェットティッシュだった。母さんがくすくす笑っている。……普通に渡してください。ありがたく使わせてもらうけどねっ。


 私たちの後からもどんどん人が来て、発掘現場の前には五十人くらいの人が集まっていた。みな興味津々(しんしん)といった様子で穴の中をのぞいている。そこにはプラスチックの番号札や、発掘された埴輪はにわ欠片かけらが置かれている。ここで説明した後、場所を古墳前に移して見学してもらうって父さんが昨日の夜に話してたっけ。


 ニュースになったからか、まだ人は増えそうだ。父さん達が古墳側に固まって何か話している。しばらくすると拡声器を持って小鳥遊のおじさんが歩いて来た。


 おじさんの話によると、想定以上に参加人数が多いので二つのグループに分けて古墳側と発掘現場側と交替で説明することになったみたい。

 私たちは古墳側になったので、他の学芸員さんの案内で古墳入り口前の広場に向かった。古墳の入り口は前と同じで立ち入り禁止になっている。広場の一番奥、右側がきれいに整地されて、長方形の石組みの中に玄室げんしつで見た土器や刀の一部が置かれている。


「ね、ね、れーちゃん。あれ、古墳の中を再現してるんじゃない?」


 しーちゃんが早くも興奮したのか早口で聞いてきた。


「そうみたい。刀や土器の前に四角く白線が引いてあるのが、石棺の代わりかも」


 うー、わくわくしてきた。


 そのとき、ずわっと一気に思念波が動き、そのまま受容体に吸収されていくのを感じた。何、これ!





このところ、金曜日はアクセスが多い。たくさんのひとに読んでいただけると嬉しいです。

ご意見、ご感想、ご質問、何でもお受けします。どなたでも感想書いていただけますので、よろしくお願いします。

星⭐️をポチッと押していただけたりブクマしてもらえるともっと嬉しい…。よろしくお願いします。


それでは、また3日後にお会いしましょう。

投稿時間は、7時を予定しています。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] しーちゃんとれいちゃんは軽い打ち合わせを。 二人はこれから遺跡の方をみなければ。 そしてシュリーアたちと話さなければ。、 自分たちの話すべきことはまとめたし。 っと!受容体が!!!???
[良い点] エッフェル塔とかルーブル美術館とか凱旋門 とか、羨ましいな〜(*´艸`) 伝える前に内容を二人で整理しておくの大事ですね! やっぱり大災害や、思念派の使い方は気になります。   お母さん…
[良い点] 楽しい発掘現場での現在とこれから訪れるであろうレイアーナたちとのやり取りが並行して進んでおり、2人がバランスをうまく取ろうと気をつけているのが、子供なりに緊張感があって面白かったです。夢へ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ